The  Messages  for  the 21 st.  Century.
  
 気になるメッセージ・・・。
 「世直し 世直し くわばら くわばら」。 幼いころ,地震など大きな自然災害が起きると祖父母がこんな言葉を口にしていた。自然災害は 「神のたたり」であり,人間のごう慢さを正すため神が下した罰,という考えを表現したものだろう。昔の人は自然を畏怖し,それゆえに自然をわがままに傷つけないよう神仏の加護を祈っていた。自然との共生の思想である。 不気味なほどの成長を続ける今の世界にそんな考えは希薄になった。
 不気味なほどの成長を続ける今の世界にそんな考えは希薄になった。過去50年で世界の人口は2.4倍に拡大し,人類が消費するものは・・・中略・・・食料や鉄がが4倍,石油は7倍,電力は21倍になった。地球にかかる負荷は重たくなった。環境破壊や地球温暖化は世界各地で進んでいる。
・・・中略。
 世界各地で,サイクロンやハリケーンが大型化し,進路が変化しているのは地球温暖化と関係があると指摘されている。大地震はもちろん環境破壊と関係づけることはできないが,四川省で死傷者が多数にのぼった背景には,学校,住宅などの手抜き工事があったといわれる。自然災害と人災の複合で大きな被害が出たのである。今,石油,鉄鉱石などの資源がすさまじい勢いで世界中からアジアに運び込まれている。それが地球にかける負荷はどれほどになるのか。
 地球と生物が巨大なひとつの生命体を織りなすという「ガイア」の発想に立てば,人間と動植物の共生の意識をアジアで高めるときかもしれない。



『ガイアの反逆』
丹羽 宇一郎
(伊藤忠商事会長)


2008.5.26 日本経済新聞(夕)1面
『あすへの話題』から抜粋

※コメント: 人間のごう慢さは環境破壊や地球温暖化,”手抜き工事”なんてものでは到底ない。新生児を無理やり生かす,未開地へ文明が土足で踏み込んで生活を荒らす,倫理を無視した遺伝子操作,(これはあまりいいたくないが)男・女の役割を無視(?)した社会進出,などいくらでもあげられる。
 地球を一つの生命体(システム)とすれば,地球は自身の存続のために自然環境を整え,人間・動植物の別なく(神として)それを淘汰(世直し?)していくと考えることができる。地球が,人間のごう慢さからの人口爆発を抑えるのは思いのほか簡単に思える。自然災害,新しい伝染病(エイズ・エボラ),食糧危機,核戦争,化石エネルギー枯渇外食・ファーストフードなどからの化学薬品の摂取,小惑星の衝突(これは地球の意思ではないかもしれないが・・・)など,ほかにもいろいろな手がある・・・。地球上の人類は100年後にはたして存在しているのでしょうか?!(高井)
 四半世紀ほど前,東京で開いたブラックホールの発見者の宇宙物理学者ホーキングの講演の中で彼は,
「地球のように文明の発達した惑星は全宇宙の中に200万もあろうが,それほど文明の発達した星は循環が狂いきわめて不安定になって,宇宙全体の時間からすれば瞬間に近い時間帯の中で消滅してしまう」
といった。
 ある質問者が宇宙時間の瞬間的という時間は,この地球の時間感覚ではどれほどの長さかとただしたら,言下に,「まあ,百年たらずだろう」と答えたものだった。私はその言葉を,東京を預かり環境問題について腐心するようになり,かつまた地球の温暖化が進み,世界中が異常気象に悩まされるようになっている今日,日々改めて思いだしている。(中略)
 少なくとも温暖化の兆候は現在限り刻一刻歴然としてきていて,北極の氷は解けつづけて著しくその厚さを減らし,私もかつて訪れたことのあるスイスのローヌ氷河も1年に1メートルという速度で解けつづけて名勝の体をなさず,これまた以前目にした東ヒマラヤの氷河湖は解けて決壊寸前となっている。あの氷河湖が流れ出すとバングラデシュはわずか数日で国全体が氾濫の危機にさらされる。(中略)
 
われわれはかつてエントロピーの発見によって物質の循環は決して永遠のものではない,つまりこの地球は不滅ではないということを知らされたが,今また人為による環境汚染の中で,われわれの存在の舞台である地球は不滅ではないということをまざまざと知らされつつある。
「現代の黙示録」
石原慎太郎
産経新聞1面コラム『日本よ』
(2007.10.1 朝刊)から抜粋




◆子供の想像力・好奇心を育てるのは大人の責任---
「今の日本は子供から星を奪っています。星は美しい。しかし、子供たちは天の川を知らない。最近は地平線に沈む夕日を見たことがない子供も多いそうです。子供の世界が狭くなれば想像力は失われる。驚いたり、不思議と思ったりするチャンスが減る。子供の好奇心を育てるのは大人の責任です」

◆宇宙でも生命でも偶然が個性を生んだ---
「ある催しで『私が宇宙にいるのはどんな意味があるのでしょう』と質問されたことがあります。
・・・僕が答えたのは偶然ということです。宇宙でも生命でも偶然という要素こそが個性ある存在を作り上げたのです。
・・・巨大な宇宙に自分がいるというのは実に不思議なことです。銀河が生まれ、太陽が生まれ、地球が生まれ、数知れない生き物が生まれ、そして地球上に今40億もの人間がいる。多くの因や縁が重なり合って自分になっている。無数の偶然がある。
『星と人間』
海部宣男さんに聞く
(国立天文台長06.3退官)
2006.12.14 日本経済新聞(夕)15面
◆生命が宿る星,地球。思えば奇跡である。
・・・国際天文学連合の総会で,惑星の定義を見直し太陽系に新顔三つを加える案が示された。・・・「すいきんちかもくどてんかいめい」の常識も大転換する。▼それでも豊かな水と緑をたたえ生命が宿る星は地球しかない。思えば奇跡である。天空にロマンをはせられるのも地上が平穏であってこそ。冥王星の名付け親で天文随筆家の野尻抱影でさえ,戦中は焼夷弾とともに下界を見下す星々に反発を覚えたという(「星は周る」)。われらの惑星を壊してはならない。
【春秋】より
2006.8.18 日本経済新聞1面
◆日本の価値観,世界に広めたい
 
自然の中で暮らしていると,自分がこの地球上に生かされていることを実感できる。雨の雫一つにしろ,空気の動きにしろ,太陽の輝きにしろ,これがあるから今日も私は水と食べ物を与えられ,生きていられるのだなと思う。だから自然との共存という言葉を耳にする時,人が自然に優しくするという感覚では受け止められない。反対に,自然が人と共存してくれていると感じる。私たちは,この地球という大自然の中で生かせていただいている,そんなとても謙虚な気持ちになるのだ。
高木美保
うふふナチュラルライフ
「人は自然に生かされている」

2003.11.19 朝日新聞
清流とは=生命育む場であってこそ
・・・そして,水はきれいでも生き物が住まない川をたくさん見てきた。・・・多くの魚や水生昆虫が川底の石や石の間に産み落とした卵は,伏流水や湧き水の流れや川底の性質を利用して育つ。
 ところが,そこに泥水が流れ込み川底が泥で覆われると,透水性はなえ,卵や幼い命は息絶えてしまう。
 ではなぜ,命を奪う泥水が発生するのか。・・・砂浜に裸足で立つと,波の引き際に砂が掘られて足元がぐらつく。同じ理屈で,河床の小さな石や砂は流水によって簡単に持ち去られる。だが,新たな石や砂が上流から供給され,均衡を維持しているのだ。
 この絶妙な関係を断ち切るのがダムだ。流れがせき止められることで小石や砂の供給バランスが崩れる・・・
稗田一俊ひえだ かずとし
−私の視点−
(2003.9.13 朝日新聞)
◆「地球外への移住=火星の未来」を描いた原作者から、子供たちへのメッセージ
 “火星を第2の地球にする計画”・・・1000年ぐらいのスパンがないと、惑星改造は不可能です。1000年人類が生き残れたらの話ですが・・・。
 その間、生き残る努力を精一杯やれば、火星少なくとも金星までを居住圏化できれば、人類の“種”としての寿命は相当長く、恐竜のようなみじめな最期は遂げなくてすむと思う。
 その努力は、百代、一万代後の彼らの遺伝子の中に強烈な願望として残るはず・・・
松本零士
BSエンターテインメント
「火星はほくらの惑星だ」

2003.1.2 NHK教育
(2002.1.13 NHK BS2の再放送)
◆・・・とても身近とはいえない。はるかに遠い世界のことだ。
 私たちの生活に直接影響を与えるとも思えない。しかし、そのことを考えると私たちの生きている世界の不思議さを心から実感する。
  そんなものの一つにブラックホールがある。

  ・・・・些事に追われるばかりのときには、そんな宇宙のことを考えてみる。
天声人語
(2002.11.25 朝日新聞)
人間を含む動物は,植物なしでは生きられません。
・・・動物は植物から,生きていくための食糧をはじめ,きれいな水,空気に至るまで様々な恩恵を受けています。20世紀の経済社会は,この恩恵に報いるどころか際限なく森林を伐採し続け,植物の世界を一方的に痛めつけてきました。その結果,・・・毎年何万という生物種が地上から姿を消し,生物多様性も危機に瀕しています。
  21世紀には,失われた森を取り戻し,森と共生し,森に感謝することから,新たな第一歩を踏み出す必要があります。
三橋規宏mitsuhashi,tadahiro
「地球の限界とつきあう法
(2000.11.7日経ビジネス人文庫)
◆星空は、良きアドバイザー。
・・・いま、私たちの多くは、星空をゆっくりと眺めることすら少なくなっています。それは、世界中の情報をクリックひとつで簡単に手に入れている反面、目先のことに追われ、ものの見方が狭くなっているからかもしれません。その昔、先人たちは、星がもたらすわずかな情報を手がかりに、深い考察と豊かな想像力でその意味するところを読み解いてきました。(略)
   ・・・・・このように先人たちの想像力の翼を広げてくれた星空は、いまも変わらず存在しています。(略)・・・何百光年も、何千光年もはるか彼方にいる星たちと改めて語り合ってみると、私たちが抱えている悩みや不安、見過ごしている真実にも新たな光があたるかもしれません。
ユナイテッドメディア社
STAR<星>
「21世紀へ伝えたい宝物」
(2001.1.28 朝日新聞日曜版広告)
◆この宇宙で、われわれはひとりぼっちかもしれない・・・!?
  「われわれが、銀河を担う唯一の存在である可能性はある。
宇宙で生命は まれなものだから、互いに存在する時間が一致しない、という可能性もある。」
  「遠い遠い未来、たぶん数千年先のことだが、人々は星空をながめながら、どこが地球なのか指させなくなるだろう。/宇宙への飛躍は、われわれが海から陸に上がったのと同じような大きな転機になる。何世紀もかかるが、われわれは多くの星に移り住むだろう。」
   ・・・・・・・・・しかしその前に、地球は人類の遠い旅への始発駅としての役割を果たせるのだろうか。
  「まず環境問題だ。自然を守り、地球の温暖化を防がなくてはいけない。・・・」
アーサー・C・クラーク
「2001年宇宙の旅」原作者

(2001.1.4 朝日新聞)

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