ヒットを生み出す同局の仕掛けとしてよく知られているのが、 特定アーティストの曲を月替わりで集中的に流す「ヘビーローテーション」だ。 番組制作会社スタッフやラジオDJらが選んだ洋楽と邦楽を各一曲ずつ、 一日最低八回は放送する。 選曲の際は、有名アーティストやドラマ、CMなどとタイアップした曲は取り上げない。 無名でも、既存のヒットに飽き足りない音楽ファンに支持されることで 注目アーティストとなり、これが時に将来のヒットに結び付く。
年間千回近くに上るイベント開催も他局にはない特徴。 番組で取り上げたミュージシャンによるライブなど、 ラジオの聞き手以外もFM802の世界に引き入れる効果を持つ。 「音楽を含め、新しいこと楽しいことは802が発信しているというイメージをつくり出したい」 (栗花落光取締役)
実際、昨年夏に同局が主催した無料野外ライブには 七千組の招待枠に百七十万通の応募があったという。 ヒットを発掘し発信するだけでなく、その受け手づくりにも余念がない。 同局の関西圏でのラジオ聴取率は九年連続で一位を維持している。
二年前からは若手イラストレーターの発掘も始めた。 「ものを伝えることに適している規模」(栗花落取締役)という関西で、 若者の感性をどこまでリードできるか、試みは尽きることがない。