第九試合

a16610_icon_9.jpgスピン 対 ジェシカa16863_icon_11.jpg

『エロの門』

担当MS:リオン

−プレイング−

    ―お願い金太守ってぇ〜・スピン(a16610)のプレイング―

    【因縁イベント】編

    エロの門(全マウサツ異種エロ闘技選手権決勝)
    スピンが光の下に出てきたのは、エロ四天王を、スピンの代で終らせるためだ!
    おそい!ウィチタさんは…もっと疾かった(何が?)
    ルバルクさんなら…完全に見切ったよ(何を?)
    ユウキさんは…これくらいじゃあたおれなかったよ(だから何!)
    たてよ…まだ終っちゃいないぜ。
    だいたい前々から思ってたですけど、栗(クリ)・鼠(ネズミ)って書いて、リスって読むのはエロすぎですぅ〜!
    クリとなんちゃらでリスですよぉ〜!!
    なんか、もう、スピン脳ではエロDVDのタイトルぽく変換されてますですぅ〜。
    もうこのモヤモヤ感どうしてくれるですぅ〜!
    でも、そんなタイトルは少し古いような気がして、ちょっと…ってもしかしてこれもジェシカさんの作戦?作戦?
    まったくこれだから、背後がハンサムなやつは油断ならねぇ!!(←千円札出しながら。)

    ジェシカさん「うるせぇ!!お前のような、セクシーヒーローな背後は地球でも守ってろ!」(←同じく千円札だしながら。)

    …因縁というよりは、因縁ふっかけてる

    【試合イベント】編
    必殺技(?)
    「ロン!3900の1本場で、5400点。アガリやめです。」
    (ラス親のしょぼ手、でも直撃で逆転トップ…って、何の勝負してたんだ?)


    ―御機嫌斜めの栗鼠娘・ジェシカ(a16863)のプレイング―

    <プレイング>
    ぎーりーぎーりーまーで、ふんばーって〜♪

    御機嫌斜めの栗鼠娘・ジェシカ(a16863)

    【因縁イベント】
    こないだ思い出したンだけど、小さい頃近所におマセな女の子が住んでてさー。
    その子ったら当たるを幸い、周囲をエロとカオスに叩き込ンでたのよねー。
    あたしもその子に、隠れた趣味とかおぼこいポエムとかを白日の下に曝されてさー、
    「あー、今あの子が居たら乙女チックに矯正するか、一発ブン殴ってやるかだなー。
     でもアレか、殴ったら頭のネジでケガしちゃうか、てへっ……(ざわっ)」

     スピンちゃんのことかー!!!!(スーパーサイヤ人化)

    中洲!いや泣かす!
    (何でエロワードが必ず出てくるかー!)


    【試合編】
    (先手ジェシカその1)
    ジェ「金太とかおっぱいとか、もっと女の子らしい事言ったらどう!?」
    スピ「いたい、でもうれしい スピン、初めてはお兄ちゃんと決めてたから」
    ジェ「岩山両斬波ー!!!(M字開脚にチョップ)」

    (先手ジェシカその2)
    ジェ「いや、あたしエロ四天王じゃないんだけど……」
    スピ「四天王だから4人じゃダメなんです〜」

    (自爆)
    ジェシカの胸元から1枚のピンナップが……
    黒を基調としたゴスロリ服に身を包み、巨大なヌイグルミをもってはにかむ
    ジェシカの姿(注:めりっさ似合わねえ)
    「ああああああ……ちきしょー、グレてやるぅー!(泣き脱兎)」
    YOU LOSE!

−リプレイ−

    ●宿縁はM字開脚のごとく
     十一月二十五日。
     尋常ならざる御前試合は朝の新鮮な空気を血に染めながら、第9試合を迎えようとしている。
    「・・・んん?」
     進行役のチアキは微妙な違和感を覚えた。
     だが微妙に覚えただけならばどーでもよいことじゃろうと思い直し、思考を戻すことにした。

     先の第8試合は、凄惨な技と技の激突を最終的にクロカが制した。
     対戦相手のルナは、勝ちうる試合を敢えて淑女としての誇りを守ったがために敗れ、
    そして散ったのであった。
     その際に放たれた観客達の鼻血の酸鼻な臭いも消えぬ中、第9試合の出場剣士2名が
    呼び出される。
     クズノハエロ四天王、スピン・タツマキ(a16610)。
     同じく、ジェシカ・マクガン(a16863)。
     同門対決であった。
     古今、エロ四天王が互いに敵手となるような事は一度もありはしなかったし、それが
    命を懸けた真剣勝負などとは衆目の想像すら及ばぬ処であった。
    ――八百長試合になるのではないか。
     ゆえに、そう考える者も数多くいる。
     様々な試合予想が飛び交う中、両者が入場した。
     片や、地上最エロを目指すエロテロリスト、スピン。
     片や、本人の意識外でさえエロさを発揮するエロの天才、ジェシカ。
    「ふっ、逃げずによく来たですぅ〜、エロ解禁の18歳〜。」
    「なによー、純愛にもエロにも中途半端な13歳。今日こそ泣かせてやるから。」
     いきなりの舌戦である。
     両者、八百長を行おうなどとは微塵たりとも考えていない。
     それを感じ取ったのか、試合場は興奮の声に包まれる。
     中には早くもティッシュペーパーを用意する不心得者までいたほどであった。
     スピンとジェシカは御大に一礼すると、その特殊な試合形式に備えた。
     エロリスト達の戦いが今、始まったのである。
     しかしエロ四天王の盟友であったはずの両者の心が、何故かくも相憎むほどに離れて
    しまったのか。
     それには深く暗い理由が存在したのだ。
     それはM字開脚の両脚のごとく、決して交わる事かなわぬ宿縁であった。


    ●異種エロ闘技選手権
     時は二週間ほど前に遡る。
     場所は全マウサツ異種エロ闘技選手権決勝。
     先程の「エロ四天王が互いに敵手となるような事は一度もありはしなかった」という
    のは、あくまでも一般の認識の上での事。この決勝戦において既に一度、エロ四天王の
    雄・スピンとジェシカは対手として向かい合っているのである。
     そしてその決勝の激闘も後半に差し掛かる頃、ジェシカは焦りを感じていた。
     どのようなエロ攻撃を浴びせても・・・どのようなエロトークを叩き込んでも起き
    上がってくるスピンのエロ耐久力に恐怖すら感じていたのだ。
     そのレスの弱さに少し引き気味になったジェシカに、スピンが言い放った。
    「スピンが光の下に出てきたのは・・・エロ四天王を、スピンの代で終らせるためだ!」
    「・・・・・・。」
    ――ワケわかんねえーーーーー!!(ビクゥ)
     ジェシカと観客はほぼ同時にそう思った。
     だがスピンの電波は、その間隙を突くかのように連続で畳み掛ける。
    「おそい!ウィチタさんは・・・もっと疾かった。ルバルクさんなら・・・完全に見切ったよ。
    ユウキさんは・・・これくらいじゃあたおれなかったよ。たてよ・・・まだ終っちゃいないぜ。」
    「あの・・・スピンちゃん?」
     ジェシカが思わずツッコミを入れた。
     その時、
    「ジェシカさんダメですぅ〜。スピン、さっきからずっと修羅の門ごっこしてるのに
    全然乗ってくれないです〜。」
    「あら、そうだったんだ。ゴメンね〜?」
     スピン渾身の逆ツッコミが炸裂した。
     これにより、ジェシカの気は完全にスピンに呑まれた。
    「だいたい前々から思ってたですけど、栗(クリ)・鼠(ネズミ)って書いてリスって
    読むのはエロすぎですぅ〜!クリとなんちゃらでリスですよぉ〜!!」
     勢いを好機とし、スピンが一気呵成に攻めへと転ずる。
    「うう・・・そっかなぁ〜、あんまり気にした事ないけどね〜。」
     ジェシカは乗らなかった。いや、乗れなかったと言う方が正しい。
     スピンの勢いを殺す事に全神経を削る必要があったのだ。
     だが、攻め手はそのまま勢いに乗せ、必殺の一撃を放った。
    「なんかもう、スピン脳ではエロDVDのタイトルぽく変換されてますですぅ〜。
    もうこのモヤモヤ感どうしてくれるですぅ〜!」
     ・・・だが、それはこの試合で見せたスピン最大の失敗であったと言えよう。
     その一撃を受けたジェシカが、まるで目醒めたかのようにエロ気(通常の試合に
    おける「殺気」みたいなもの)を漲らせ始めたのである。
    「・・・その台詞だけは言っちゃあいけなかった・・・」
    「あ、ジェシカさんも修羅の門ネタですぅ〜。スピンうれしいです〜。」

     ジェシカが幼少の頃の話である。
     近所におマセな女の子が住んでいた。
     名は覚えていない。いや、忌まわしき名前ゆえに精神が記憶に留める事を拒絶したの
    かも知れぬ。
     その少女のエロさはまさしく天稟といえるものであり、当たるを幸いに周囲をエロと
    カオスに叩き込むのが常であった。
     当時は「同盟無双」の看板も名高きエロ道場において「エロ龍」と呼ばれ奢っていた
    ジェシカも、彼女の手によって隠れた趣味やらおぼこいポエムやらGoogleの検索
    履歴やらを白日の下に曝され、すっかり立場を失ってしまった。
     だが、ジェシカの心に最も重く不快な鉛玉を沈めたのは、ある時に彼女が言い放った
    一言である。
    「栗(クリ)・鼠(ネズミ)って書いて、リスって読むのはエロすぎですぅ〜!
    なんかもうエロDVDのタイトルぽく変換されてますですぅ〜。」
     記憶の中で彼女の台詞が蘇る。
     それはもはや誰の言葉であったか、少女の名は何であったか。覚えてはいない。
    「あー、今あの子が居たら乙女チックに矯正するか一発ブン殴ってやるかだなー。でも
    アレか、殴ったら頭のネジでケガしちゃうか、てへっ……って、あれ?」

     全マウサツ異種エロ闘技選手権決勝。
    「・・・スピンちゃんのことかー!!!! 中洲! いや泣かす!」
     真実に到達したジェシカは咆哮した。
     だが、スピンはそんな事を意にも介さずに返答する。
    「ここは吉原・堀の内ですぅ〜! タケちゃんマン世代ナメんじゃねえですぅ〜!
    まったく、これだから背後がハンサムなやつは油断ならねぇ!! 休みも満足に取れない
    ほど仕事に忙殺されてろ、この有能社会人!!」
     ジェシカのポケットに千円札をねじ込みつつ。
     ジェシカもそれ(千円札)に応えた。
    「うるせぇ!お前のようなセクシーヒーローな背後は地球でも守ってろ! マイホーム
    建てて奥さんに内緒でヲタ生活用の書斎とか作りやがって!その若さでマイホームとか
    リアルで立派すぎるわ!」
     やはりスピンのポケットに千円札をねじ込みつつ。
    「華麗なるエリート独身貴族!」
    「愛妻家のマイホーム亭主!!」
    「どんな集まりにもあっさり順応する社交性あふれる奴!!」
    「油断するとあっさりと凄い物を作ってくる完璧ホビー超人!」
     一言ごとに、お互いのポケットへと千円札をねじ込み合う。
     まったくの互角であった。
     そして12時間が経過。
     なんだか良く分からない戦いになったので、結局この試合は無効試合となった。
    「のはぁ〜、納得いかないですぅ〜! 夜空を駆ける美しき堕天使め〜!」
    「むう〜、月さえ虜にするしなやかな愛の狩人! 次こそは決着を付けるからね!」
     両者の因縁はここから既に始まっていたのだった。



    ●超現実麻雀
    「はちゃめちゃ元気! はちゃめちゃ元気!」
     怒り収まらぬまま自宅に戻ったスピンは、牛のぬいぐるみに「じぇしか」と書いた
    奇妙な物体をタコ殴りの刑に処していた。
    「ええーい、ぬいぐるみのくせに立派なおっぱいしてるのが更なる怒りを目覚めさせる
    ですぅ〜! こんな無礼なもの、こうしてやるですぅ〜!」
     牛ぬいぐるみの乳の部分へと「ふぐり」と書き込む。
    「ふっ、お前なんかには女の最も美しい場所に男の最も醜い部分をぶら下げた淫獣の姿
    がお似合いですぅ〜!」
     満足げに。こういうのは本人が満足すればそれでいいのである。
     そんな現実逃避の中、突然掛けられた声によってスピンは現実へと引き戻された。
    「うーん、スピンよ。そんな事やってて、御前試合に本当に勝てるのか〜?」
     お供の鷹、音速丸さんであった。
    「音速丸に言われるまでもないですぅ〜。あれはスピンの得意分野ですぅ〜!」
     御前試合まであと二週間。
     スピンとジェシカが第9試合にて激突するという事は既に決定していた。
     決定していたのはそれだけではない。
     第9試合は特別に「脱ぎ麻雀勝負」という特殊な形式で行われる事も、既に決定して
    いたのだ。
     敵手に上がられるたびに一枚ずつ衣服を脱いでゆき、羞恥心に耐えられなくなった方
    の敗北となる、まさしく常軌を逸した試合法である。
     観客の鼻血で鼻血を洗うような凄惨極まりない戦いとなる事が予想された。
    「麻雀なら跳伝寺奥義の数々を見せてやれるですぅ〜。」
     そう、この試合形式ならスピンが圧倒的に有利であった。
     幼少時から麻雀をやりこんできたスピンに比して、ジェシカは今になってようやく
    ルールを覚え始めた程度と聞く。
     スピンには既に勝利の確信があった。
    「あっほんだらぁーーー!!」
     だが突然、音速丸のスーパー張り手(自称)がスピンの頬を襲う。
    「のはぁ〜! なにするですかぁ〜!」
     スピンの反撃。音速丸の両足を捕まえ、金的にチョップの嵐。
    「あふぅ! おふぅ! うそつき! 痛くしないって言ったじゃない!」
     音速丸のむしろ愉悦に近い声が響く。
     ううう・・・とベッドに泣き崩れる音速丸にスピンは問い正した。
    「で、なんでスピンが男どアホウ甲子園ですかぁ〜! 言い分によっては斬る!」
    「だってだってぇ〜、我らがスピンたんは大物手を積み込むのは得意だけど、早上がり
    は苦手じゃねえか! この持ち過ぎの金蔵!!」
     スピンはハッ、と気付く。自分でも思い当たるのだ。
    「のはぁ〜! そういえば、今回のルールは早上がりめっちゃ有利ですぅ〜。」
    「それに、試合は全自動卓でやるらしいから積み込みはできないよネッ☆」
     イカサマ殺しの全自動卓。
     なんでそんなテクノロジーが存在するのか分からないが、とにかく衆人環視の中で
    さすがに「とっかえ系」のイカサマは無理である。
     だが、そこに音速丸の頼もしい言葉が掛かった。
    「そこでだ! この音速丸さんが、お前に早上がりのパーーーーフェクトな特訓をして
    やろうってえ寸法なのさ! そして惚れろ! 俺様に惚れるがいい!」
    「えー? でも音速丸に麻雀なんて出来るですかぁ〜?」
    「・・・御無礼。ロンです。(天獅子顔で)」
    「のはぁ〜! 人鬼と書いて傀さんですぅ〜! 本物の男ですぅ〜!」
     なんだか知らないがスピンは感動したらしい。
    「よ〜し! スピンよ、長く厳しい特訓になるが、見事ついて来れるか? 勝利を導く
    もの、それは努力と根性だタカヤぁー!!」
    「はいですぅ! あとタカヤじゃないですぅ〜!!」


    〜〜( ´∀`)ノ それから3分間ぐらいの月日が流れたデスよー 〜〜


    「見事ね、ミス・スピン・・・。もうミーに教えられる事は・・・ナッシン・・・」
    「コーチ!!」
     音速丸はなぜかボロボロで横たわっていた。そしてなぜかニセ外人であった。
     音速さんはううっ、と声を絞り出して言い残す。
    「オメーはもう、早上がりにかけちゃこの世の誰にも負けん。例え相手がショウコ
    ちゃんやミキちゃんでも勝てるはずだ。スピン、エースをねらえ・・・。」
    がくっ
    「音速丸コーチ!音速丸コーチ!」
     スピンは半狂乱で音速丸を揺さぶる。
     その瞳に涙が溢れた。
    「・・・カスミちゃんには! カスミちゃんには勝てないですかぁ〜!! のはぁ〜!
    一番好きなのにぃ〜!!」
     愛するコーチを失ったスピンの叫び・・・なんじゃないかと思える声は、夜分遅くに
    スピン家のご近所さんへと響き渡るのだった。

     音速丸は数時間後、何事も無かったかのように起き上がったけど。



    ●脱げ!ヤツよりもエロく
     再び場面は御前試合の試合場に戻る。
     試合場に据えられた麻雀卓。
     それぞれ対面となる位置に、スピンとジェシカは静かに腰を下ろした。
     二人麻雀。前代未聞の特殊試合形式である。
     そして審判の手が上がった。
     脱ぎ麻雀勝負の開始である。
     その展開は序盤から、観衆の想像以上に早いものだった。
    「ロン! 子のピンフ出上がりで1000点直撃ですぅ〜!」
    「えーっと、ロン? よく分からないけど。」
     双方一歩も引かぬスピード勝負。
     スピンが上がればジェシカも上がる。
     まるで同背後が勝負しているかのような、一進一退の接戦であった。
     あえて両者の相違点をあげるとすれば、スピンの方はその表情に驚愕の色を隠せない
    という点であろうか。
    「のはぁ〜、素人のジェシカさんがなんでスピンと互角ですかぁ〜!」
     事前の調べでは、ジェシカはようやくルールを覚えた程度の腕であったはず。
     それが何故、早上がり・積み込みと麻雀の百歩千手の極意を操る自分と互角なのか。
     その疑問には、客席からの声が答えた。
    「フッ・・・巨乳キャラは素人でも麻雀がクソ強い! それは自然界の摂理!!!」
    「のはぁ〜、なんて事ですぅ〜!」
     観客ことリオンの叫びにスピンは大きく納得する。
    「そーいえばいちいち覚えがあるですぅ〜! 巨乳キャラはほとんどがボスキャラか
    隠しキャラで、最強最悪な強さでしたぁ〜!! うぅー、巨乳許すまじ〜。」
    「きょ、巨乳巨乳って言わないでよっ!」
     ジェシカが赤面する。
     さて、現状ではどちらが有利なのであろうか。
     双方とも両手足のアクセサリーや小物を脱ぎ終わっており、ここからが勝負といった
    ところである。
     ただし、基本的にノーブラであるジェシカと、服の下に下着を着込んでいるスピンと
    では、辛うじてスピン有利と言えた。
     だが、ここにきて運や気勢の流れはジェシカへと傾いている。
    「勝つですぅ〜・・・スピンの中に、一匹のエロが棲んでいる・・・」
     スピンの中の修羅・・・もとい、エロが目覚めるというのか。
     それに気付いたのは、スピンの親友であるウィチタだけであったが。
    「スピンさん・・・」
     ぎゅっ、と手の中のぱんちゅを握り締める。
     それはスピンの中のエロが覚醒する事を恐れるかのようであった。
     そして、ウィチタが見つめる中で激闘は再び幕を開ける。
     と思ったら。
    「あ、これってツモでいいんだよね?」

     ジェシカ、天和。

    「のはぁ〜、あんたは負けが込んできたミキちゃんか誰かですかぁ〜!」
     スピンはツモる事も出来ずに卓に突っ伏した。
     これが脱ぎ勝負ではなく点数の勝負であったなら、ここで勝負が決していたところ
    であろうか。
     辛うじてルールに守られたスピンといえよう。
     スピンはぶつぶつ文句を言いつつも、ゆっくりと脱ぎ始めた。
     その次の瞬間、客席が激しく波を打った。
     男どもが一斉に前かがみになったのである。
     スピンの脱ぎ方は常軌を逸していたのだ。
    「パンツから先に!?」
     ジェシカは愕然とする。
     その声をよそに、スピンの纏うチャイナ服の足元から白い布がするりと降りた。
     その聖なる布から片足を抜き、もう片足を・・・少し布を引っ張りつつぱちんっ、と
    小さなゴムの音をたて、脱いでのける。
    「エローーーーーーい!!!」
     客席から赤い血柱が上がった。
     13歳とは思えぬエロさ。それが観衆の鼻に出血を強いたのであった。
    「うぬぬ・・・なーんか悔しいなぁ・・・。」
     うめくようなジェシカの言葉にスピンは答える。
    「スピンはジェシカさんみたいに巨乳にはなれないですぅ〜、だから・・・」
     それを客席から見つめるウィチタは、額に汗を浮かべながらその言葉を継いだ。
    「スピンさんは・・・貧乳のまま巨乳に対抗するために・・・」
     再び試合が始まる。
    「ただのエロになるというのですかぁ〜!」
     ウィチタの予想通り、エロさを開放したスピンの猛攻はここから始まった。
     なんと、局の最中にいきなり歌い始めたのだ。
    「金太負ける〜な、金太負ける〜な、キンタマケル〜ナ♪」
    「スピンちゃん! みんな見てるのに、金太とかおっぱいとか・・・もっと女の子
    らしい事言ったらどう?」
     スピンはしばらく黙考してから答えた。
    「いたい、でもうれしい スピン、初めてはお兄ちゃんと決めてたから・・・」
    「岩山両斬波ー!!!」
     あまりにも苛烈なエロトークに、思わずジェシカの北斗神拳ツッコミが炸裂する。
     だが、そこに間隙があった。
     サッ、とスピンの手が神速で閃く。
    「あ、それロンですぅ。」
    「うぐぅ・・・」
     電光石火のすり替え。
     いくら巨乳の超絶神通力で爆発的な大豪運がなだれ込む(雑誌の広告風)ジェシカ
    とはいえ、所詮は素人である。
     周到に仕組まれたイカサマを見抜く力はない。
    「ちぇっ、脱げばいいんでしょ?」
     ジェシカは溜息をつくと、ビキニのブラに手を掛ける。

    ごくり

     と、客席から音が鳴った。
     ある者は鼻血に警戒し、ある者はそんな手間も惜しんで試合場に見入る。
     何をするつもりか分からないが、早くもティッシュを持って幕間に引っ込んでしまう
    者までいた。
     もはや、あのご立派なものを隠す障害物は存在しない。
     伝説が岩戸を開き、外気に触れる時がやって来たのだ。
     そんな期待感を無視するかのように、ジェシカはさっさと豹柄ビキニブラ脱ぎ捨てた。
    ――ああッ!!
     観衆からどよめきの声が上がる。
     なんということか。
     ジェシカは豹柄ビキニの下にもう一枚、綿のブラジャーを装着していたのである。
     呆然と声を失う観衆を背に、ジェシカは不敵に笑う。
    「タネ銭を多く持ち込むのはギャンブルの基本じゃない?」
    「のはぁ〜、闇に舞い降りた天才みたいな事言ってるですぅ〜!!」
     負けた。
     いや。麻雀で、ではない。
     スピンが全開のエロを発揮しても、ジェシカのエロさに勝てなかったのだ。
     その証拠が、現在の客席である。
    「ふぬおぉぉぉぉ!?」
    「むぅぅぅぅぅ・・・!」
     あまりにも過酷な寸止め加減ゆえに、そしてワイルド少女ジェシカの新鮮な下着姿に、
    客席が苦悶漲る地獄絵図と化しているのだ。
    「な、なんで悶絶っ!?」
     ワケが分からないジェシカ。
    「のはぁ〜、存在しえない位置に咲いた一輪のブラ! なんてエロさですぅ〜!」
    「え? ええっっ?」

     だが、破綻は春雷のごとく突然にやってきた。
     脱ぎ捨てた豹柄ビキニが風に煽られ、一枚の紙片が宙を舞う。
     なんだろう、とジェシカがそれを手にして確認した、その瞬間。
    「ああああああ……ちきしょー、グレてやるぅー!」
     やおら、ジェシカが泣きながら試合場からの逃亡を謀ったのである。
     場は騒然となった。
     突然の試合放棄。
     あまりの寸止めさ加減に観客達はただ困惑する他ない。
     こういった事態に備えて待機していたトートは、素早く鉄串を構えると
    「ジェシカさん、ごめんなさいデ」
    「なんじゃそりゃあーーーー!! まだなーんにも美味しいCG見てないよ?」
     突然大声でわめきだした金髪のシャバ僧に
    「スよー。」
     遠慮なく鉄串を叩き込むのであった。
     唖然とするスピンへと審判が勝利を告げる中、ジェシカの走り去った方角に向けて
    御大の鎖が疾(はし)った。
     トートのターゲットが逸れたため、御自ら粛清に動いたのだろう。
     そしてしばらく後。
     御大の手元へと手繰り寄せられる鎖には・・・意外にもジェシカを肉塊にした形跡は
    なく、ただ一枚の紙片を掴んでいた。
     御大はそれを手にすると、満足げに笑う。
     それはジェシカの「黒いゴスロリ服に身を包み、巨大なヌイグルミを持ってはにかん
    でいるピンナップ」だったのだ。
     羞恥心を越えた勇者であるエロ四天王とは言え、こういう方向の恥ずかしさには耐え
    られなかったのであろうか。
     そしてそれを知るからこそ、御大は敢えて死よりも残酷な措置を取ったのだろう。
    「ああああーーーっ、見ないで見ないでぇーーーーっ!!!」
     砂煙をあげながらジェシカが戻ってきた。
     鎖の仕業であろうか、上手い具合に服がビリビリに破られている。
     グッジョブ!と、観衆は御大へと親指を立てた。
     御大も親指を立て返すと、例のピンナップを空の風へと放つ。
     風は薄いピンナップをさらに煽り、いずこかの空の果てへと飛ばし去るのだった。
    「ああっ、そんなぁっ! やだやだぁー!! やめてぇーーーー!!」
     半脱ぎのジェシカの口からこぼれる台詞の数々に、客席は再び地獄絵図に陥る。
    ――ジェシカさん・・・恐るべし・・・
     時期を見計らって勝負に乱入し、エロ四天王の二角を一挙に倒そうと画策していた
    ウヅキも、そのエロさを前にしては腰を浮かす事すら忘れていた。

     勝者であるスピンは、そのエロ時空を前に静かに呟く。
    「ふ・・・ジェシカさん。やっぱりあんた天才ですぅ〜・・・。」

     晩年、エロ武蔵と呼ばれたスピンが著した「絶倫の書」にはこう記述されている。
    『生涯において、エロさで遅れを取る事は一度としてありませんでしたぁ〜。』
     と。
     この部分はスピン自身が記したのではなく、後年になってその弟子が書き加えたのだ
    とも言われているが、その真相は定かではない。



     試合の終結を見守ると、ウィチタはゆっくりと席を離れた。
    「さすがスピンさんとジェシカさん・・・素晴らしい試合だったですよ〜。」
     その背に声がかかる。
    「ぱんちゅ娘、そんな余裕こいてて大丈夫にゃか?」
    「・・・ルバルクさん。その言葉、そのままそっくりお返ししますぅ〜。」
     両者の間にエロオーラの渦が巻き起こった。
    「ふっ。そうエロ気だたなくても、猫とウィチタちゃんの試合は次の次にゃ。もっとも
    今の試合みたいにクリーンファイトで終わらせる気はないにゃが。」
     ルバルクの瞳が大根を手にした時のように怪しく淫靡に輝く。
    「覚悟は出来てるにゃね?」
    「その答えは試合場で・・・股間に直接教えてあげますぅ〜。」
     エロ四天王決戦・第二戦、ルバルク対ウィチタ。
     それもまた、二試合後に迫っていたのである。



    ―終―

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