最新版
わかりやすい
「土地建物に関するすべての法律知識」

鵜野 和夫 著   日本実業出版社
B6判並製本 320ページ 定価 本体100(税別)   平成23年6月1日  改訂3版 第19刷

「家の建てられない土地を買ってしまった」「ローンが借りられない家だった」…といった失敗のないよう、土地建物の売買・貸借・建築等に関するすべての法律知識を、実用的にやさしく解説。かけがえのない土地建物を守るための必読書。


 

土地建物に関するすべての法律知識    初版の「まえがき」

 

 あるフランス人が日本人を評して、「ウサギ小屋に住む働き中毒」といってから、この言葉が日本ですつかり流行してしまいました。こう土地も建築費も高くなってしまっては・ウサギ小屋ぐらいの住宅しか、われわれの手に入らなくなったともいえます。

 もっとも、」「不思議の国のアリス」が訪れたウサギの屋敷は、かなり広壮で、目のさめるような花壇や涼しそうな噴水のある庭もついていましたが……。

それはともか-として、チヨツキのポケットから取り出した懐中時計をせわしげに見ながら,せかせかとかけていったウサギの後についていったために、不思議の国にさ迷い込んでしまったところからアリスの奇妙キテレツな体験が始まるわけですが、たとえウサギ小屋程度であったとしても,住宅を求めるということは生まれて初めてという人がほとんどでしょうし、住居に落ち着くまでのプロスで、アリスよりもつと当惑したり、びつくりしたりすることを経験することでしょう。

しかし、アリスが、ウサギの穴に入るとき、この不思議の国の案内図とガイド・ブックを持っていたとしたら、これほどめんくらわなくてもよかったかもしれません。

 この本は、土地や建物を取得したり、譲渡したり、あるいは貸し借りしたりという,一般の人々にとってはやや特殊な世界に足を踏み入れるにあたり、その世界の仕組みやしきたり(法律)を説明する案内図でありガイド・ブックとして利用してもらいたいと思って書きました。.

 とりわけ、土地と建物の取引をするにあたって、トラブルの生じたときの解決、できればトラブルを起こさないための予防のため最も重要で、そして、一般の人にとって煩わしいものは、法律関係でしょう。したがって、この本は、土地や建物の法律の解説に重点をおいていますが、法律だけに限定せず、法律以前の問題として留意しておかなければならない事項もつけ加えて説明しておきました。

 土地や建物の取引で問題になりそうなケースを重点的に説明しましたが、この本の特徴は、土地や建物の取引を取り巻く法律の全体の姿を浮かびあがらせて、全体との関連から個々の問題を解明しようとしているところにあります。

 したがって、当面ぶつかっている問題の箇所だけを拾い読みするのでなく、この本の全部を読んでから問題の部分を読み返すようにしてください。そうすれば、難解でわけのわからなかったように思えていた法律の内容が、かなりわかりやすく身近なものになってくるはずです。

 なお、アリスがお姉さんの読んでいる本を一、二度ちらりとのぞいて、「絵も会話もない本なんて、一体なんの役に立つのかしら」とつぶやいたことを思い出して、なるべく図解と図表を多くして、理解を助けるように努めました。

 

昭和和55年6月6日

鵜野和夫

土地建物に関するすべての法律知識 新版発行にあたって

 振り返ると、本書の初版を発行してから20年を超えてしまいました。

 その間、借地借家法の大幅な改正、定期借地権や定期借家権の創設が行われたり、建築基準法や都市計画法も、目まぐるしく改正されています。

(税法などは毎年のように改正されています。)

 また、不動産を取り巻く経済環境や社会情勢も大きく変わっています。

 平成12年には、またまた、建築基準法と都市計画法の大幅な改正や住宅の品質確保促進法の改正(平成11年制定)や終身借家制度1231日より)が創設されました。

 平成16年には、民法の口語化改正と不動産登記法の大改正がありました。織り込んで解説しています。

この本の内容は平成23年6月1日現在の法令に基ずいています。

平成23年6月

鵜野和夫

 

 本書の税金部分のこれ以後の改正については このホームページの 最近の不動産税制の改正 に掲載してありますので、参照してください。

 

土地建物に関するすべての法律知識   あとがき

 これで、土地建物の購入や建築をするとき、売却するとき、貸し借りをするときの法律のあらましと、重要なポイントの知識を理解できたことと思います。ヒの知識を基本として、良識と冷静な判断で対処していけば、大過なく取引を終えることができるでしょう。

 しかし、法律の世界は、さらに一歩足を踏み入れると、まだまだ複雑怪奇なものであり、思いがけない落し穴もありますので、この本で得た法律の知識を過信して、危険な相手と取引したり、きわどい取引に手を染めるようなことは避けてください。

 土地建物の取引で失敗するケースの多くは、割安の掘出物を見つけようとすること、うま過ぎる話にのること、そして、枝葉末節にこだわって大筋を見失うことが原因です。これだけは、くれぐれも注意してください。

 なお、土地建物の取引にからむ税金の知識の概要や節税項目を、それぞれのケースに応じて入れてありますが、この本では本当の要点だけにとどめておきました。この税金についてさらに詳しく知りたい人、実務にあたって計算しようとする人のためには、この本の姉妹編として、

 鵜野和夫著『わかりやすい土地建物の税金常識』(日本実業出版社)

がありますので、本書と合わせて利用してください。

鵜野和夫


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