不動産の鑑定評価がもっとよくわかる本

 「不動産鑑定評価書」を理解し、役立てるために

   

  鵜野和夫 著

  潟vログレス  2013年7月30日 発行  A5判、254ページ

  2,600円+税

 
「不動産を鑑定評価するとは、どういうことか」
「不動産鑑定評価書には何が書いてあるか」
「不動産鑑定士は評価額を、どのようにして決めているのだろうか」
 
難解な鑑定評価理論を、細項目に分けて、日常の言葉で、身近な具体例を取り上げ、
その基礎から理解できるように解説してある。
ユニークな入門書  です。
 
 銀行の融資・建設コンサルテイング・不動産の開発、売買、仲介、ソリュウション・不動産証券化関係等の業務に従事する方の手引書として、
   また、細項目ごとに、関連する不動産鑑定評価基準を掲げて対比させ、用語の
  解説もしているので、
不動産鑑定士試験の受験者から実務修習者までのサブ・テキストとしても最適です。
目次
● 不動産の鑑定評価とは 
不動産を鑑定評価するとは、どういうことか
不動産鑑定評価書には、何が書いてあるか
―鑑定評価書の例と対比させながら解説
● 鑑定評価の方式
取引事例比較法
原価法と開発法
収益還元法(直接法とDCF)
● 不動産の種別と地域ごとの価格形成要因
      地域を分類すると
      住宅地域の要因分析
      商業地域の要因分析 
● 不動産の種類ごとの具体的な鑑定評価の方法 
 更地・建付地・借地権・定期借地権・底地・区分地上権・
農地・林地・宅地見込地
建物及びその敷地地代・家賃等
ごとに評価方法を解説
  
はしがき
                ()
 不動産の価格は,どのようにして決まるのでしょうか。
 その価格は、不動産の類型一土地なら更地か借地権か底地か,土地付
建物ならその建物が自用なのか貸家なのか等々一を基に、その不動産の
個別の状況、その位置している地域が住宅地域なのか商業地域なのか等々
による地域別の特性、そして、さらに、景気の状況や金融情勢や土地政策
等々の一般的要因が複雑に絡み合って形成されています。
ある特定の不動産について、不動産鑑定士が,これらの要因を分析し,
その価格の形成過程を説明し、追い求めて得た価格を鑑定評価額として表
示したものが,不動産鑑定評価書です。
                ()
しかし、不動産鑑定評価書は、鑑定評価特有の専門用語で記述されてい
ますので、法律の専門家や経済の専門家でも理解し難い、ないしは、誤解を
招きかねない面も多々あります。
本書では・不動産鑑定評価書の具体的な例を取り上げて,その読み方を
普通の言葉で説明して、理解を助けるとともに、不動産の価格がどのよう
にして形成され、決定されるかの過程を解説しました。
               ()
本書は、不動産鑑定評価書を読む方を想定して記述しましたが、不動産
の鑑定評価とはどういうものかをまず理解しておきたい方々---_不動産や
建設関係のコンサルタント・税理士・弁護士等の法曹関係の方々_にも
 読んでいただきたいと思っています。
 また・不動産鑑定士の試験を受けようとされている方も,本書から学習
を始めれば理解を早めることができると思いますが、試験向けのテクニツ
 クも必要ですので受験参考書も併読して下さい。
          *       *
 本書に掲載した収益還元法、開発法による試算価格の簡便な算出表と,
そのために必要な複利現価などを簡便に算出する複利計算式を,
 「鵜野和夫のホームページhttp://www5b.biglobe.ne.jp/^unokazuo/
に掲載しておきましたので、本書の解説を読みながら利用すると、理解を
深めるのに役立つと思います。
      *           *        *
なお・本書の姉妹書として、拙著r例解・不動産鑑定評価書の読み方』
(清文社刊)があります。同書は・鑑定評価書の代表的な10事例をあげて、
その読み方を具体的に解説しています。本書で鑑定評価の考え方を理解さ
れた上で利用されれば、より理解を深め、実務に役立つものと思います。
 

平成2572

                         鵜野和夫

 改訂前の「不動産の価格はこうして決まる」書評

「税理士界」(日本税理士会連合会)2005年12月15日発行 1215号

「ブック・レビュウ」

相続税での土地評価は、通常は路線価図と補正率表と通達の算定方式で間に合うが、

土地の形態は多様であり、鑑定評価した方が有利なことも少なくない。

 また、土地・建物を売買するとなると、所得税でも法人税でも、時価により妥当性が

判断され、特に親族間・関係会社間の取引については、適正価格を証するために鑑定評価書

を求めることになる。

 ところで、不動産の鑑定評価書は、それ特有の構成で記述されており、また、部外者には

耳馴れない専門用語が多く、同じ用語でも鑑定評価での特別の意味に用いられているものもある。

 本書は、不動産鑑定士が、どのような手法を使い、どのようなプロセスを経て、土地や建物の

評価額を決定していくのかを、鑑定評価書の例をあげながら解説し、それぞれの手法の論理も

筆者特有の分かりやすい筆法で解説している。

 「はしがき」で、本書は、不動産鑑定士が鑑定評価書を書くための参考書ではなく、

鑑定士以外の不動産関連の職業的専門家のために書いたと記述しているが、筆者は不動産鑑定士であり、

税理士でもあるので、税理士の求めるところのツボも突いており、役に立つ。

「かんてい・Tokyo((社)東京都不動産鑑定士協会)2005年1月発行 68号

「図書室だより」

 鑑定評価書の収益還元法のところに謎めい数式が書いてあるが、

これは(?)

この本は、不動産鑑定士向けというより、依頼者の、

そういう疑問に答えようとしているようだ。

 それに答えるため、鑑定評価の理論の基礎まで掘り下げて、

その考え方を、普通の言葉で、身近な例をあげて、

いわゆる「鵜野節」で語りかけている。

 不動産鑑定士の方も、一読すると、依頼者には、

このように説明すればわかりやすいのかと感心したりする

ところもある。

鑑定評価書に添えて依頼者にこの本を贈るというのも、

一つの利用方法であろう。

 また、項目ごとに「基準」を対比させてあるので、

鑑定士試験の受験参考書を読んでも分からないと悩んでいるとき

の副読本として利用もできる。