水中火山岩   岩石のちがいのページに戻る

海底など,水中でマグマが噴出し形成された火山岩や火山砕屑岩を一括して「水中火山岩」といいます.
  

◆枕状溶岩◆


マグマが水中で噴出すると,「枕状溶岩(ピローラバ)」と呼ばれるものができます.
西洋枕が積み重なった様子と似ているため,その名前が付けられました.
ひとつひとつの枕は「ピローローブ」と呼びます.
枕状溶岩はおもに玄武岩質のマグマが水中に噴出したときにできます.
断面を見ると,周囲に黒い層があり発泡痕が外側に向かって伸びているようすが見られます.気泡が,溶岩の内側から外側へと逃げようとしたためにできました.
周囲の黒い層は,マグマが噴出した際に水中で急に冷やされたためにできたものです.ガラス質で,「殻」と呼ばれています.
写真:ピローローブの断面(中山崎ジオサイト)

横断面を見てみると,中心から放射状(殻に垂直)な割れ目があります.これは溶岩が冷えて固まる際にできたものです.
枕状溶岩によく見られる割れ目です.

枕状溶岩は, のジオサイトで観察できます.


◆ピローブレッチャ◆

枕状溶岩がばらばらに砕けた破片が堆積したものです.ピローフラグメントブレッチャともいいます.

枕状溶岩が放射状の割れ目に沿って割れて,ピザを切ったような形をしています.


◆ハイアロクラスタイトって?◆

「ハイアロクラスタイト」は,溶岩や岩脈などが水中で急激に冷やされて粉々に割れたものが堆積したもので,火山砕屑岩の一種です.
写真:脇野沢・寄浪の枕状溶岩露頭


◆その場で堆積したもの?どこからかやってきたもの?◆

さまざまなパターンの火山砕屑岩がありますが,でき方から主に2種類に分けられます.
現在の場所に直接堆積したもの(現地性)と,一度他の場所で堆積してその後現在の場所に移動したもの(再堆積性)です.
現地性であるか再堆積性であるかは,含まれている礫の様子で判断します.
●現地性の場合●
写真:大間町・黒岩の凝灰角礫岩
現地性の火山砕屑岩の場合,溶岩がその場で破砕したなどで堆積したものなので,岩質が一様な礫や基質からなります.
左の写真では,溶岩(薄く板状に挟まれているもの)とその下部にある礫が同じ岩質になっています.
●再堆積性の場合●
写真:脇野沢地域・九艘泊の凝灰角礫岩
再堆積性の火山砕屑岩の場合,様々な色や,角ばった形や丸みを帯びた形をした礫が見られます.
左の写真では黄~黄灰色の基質に,黒や灰色,赤,黄白色の,角が取れたような礫が多く含まれています.


写真:脇野沢地域・九艘泊の凝灰角礫岩(遠望)
はじめに堆積した場所から,土石流などで現在の場所に移動してきたため様々な種類の礫を含んでいます.
また大きな礫が集まった層や小さい礫が集まった層,礫を含まず基質だけの層などがそれぞれ重なった状態も見られ,水中で堆積したことが分かります.