地球の表面は「プレート」と呼ばれる何枚かの岩盤(厚さおよそ100km)でおおわれています.それぞれのプレートは年間数cm〜十数cmの速さで移動しています.

日本列島のように海洋底のプレート(海洋プレート)が他のプレートとぶつかっている地域では,海洋プレートがもうひとつのプレートの下に沈みこんでいて,境目は「沈み込み帯」と呼ばれています.

沈み込む海洋プレートの表面にたまっている泥や砂などの堆積物や,ハワイのような火山島は,移動する海洋プレートに載ってベルトコンベアのように海溝まで運ばれてきて,上盤のプレートに押し付けられてしまいます(下図).このため上盤プレートのへりの部分では,海洋プレートからはぎ取られた岩石が次々と付け加わって海側に成長していきます.このようにしてできた“地層”は「付加体」と呼ばれています.プレートの沈み込みが長い間続くと,深海でできた付加体はどんどん太って盛り上がり,やがて陸地になってしまいます.日本列島の土台のほとんどは,アジア大陸の東の縁に成長した付加体でできていると考えられています.

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また,時々プレートの上部をつくっている溶岩や,火山島・海底火山の溶岩も切り取られて陸側に付加します.北海道の山の中には,もう沈み込んでしまった海洋プレートのかけらである古い溶岩=「緑色岩」(上図の緑の部分)が多く分布しています.

私の研究テーマは,この北海道の山の岩石の分布や性質を調べ,

・どのように付加体ができて,成長したか.

・緑色岩がどうやって海洋プレートからはぎ取られるか,とくに火山島が沈み込んだときに沈み込み帯の深い部分でどんなことが起こったか.

・深くまで沈みこんで(地下15-30kmぐらい)はぎ取られた岩石がどのようにして地表に上がってきたか.

を少しでも詳しく知ることです.