新潟大学理学部地質科学プログラムで地質学の研究と教育をしています.
(写真:潜水艇をクレーンで吊りあげて母船から海に降ろす様子)
2022年に有人潜水艇「リミッティング・ファクター号」で宮城県沖の日本海溝の海底(水深7500m)に潜りました.
(写真:潜水艇の観察窓から見た,海底の垂直の崖の一部)
その際,海底の高まりの縁に,高さ26mの崖がありました. この高まりは東日本大震災の地震で持ち上がったことがわかっているため, 崖は地震をおこした断層がの断層が地表をずらしてできた「断層崖」と考えられます.
潜水艇で測った地形から,地震の際中に日本海溝の海底がおよそ100m東に動きながら60m隆起したらしいことがわかりました. このように海底での「その場観察」によって地震時の海底の変動が詳しくわかると,津波発生のメカニズム解明や将来予測に役立つと期待されます.
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3年生の必修科目「地質調査法実習V」の一環として,春に行う野外実習です. 道のない川の中を歩いて地層の分布を調べる練習をします. 春は山菜シーズンでもあります.
3年生の必修科目「地質調査法実習V」の一環として,秋に行う野外実習です. 自分で歩く歩数を数えて簡易測量しながら地層を観察した位置を記録していく 「ルートマップ」を作る練習をします.
卒業研究の調査で,流れが強い川を渡った時の様子. 秋の北海道にて(タイムスタンプの日時は間違っています).
秋の北海道で調査してたら,鮭がたくさん泳いでました(タイムスタンプの日時は誤りです).
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玄武岩の薄片(プレパラート)を偏光顕微鏡でビデオ撮影しました.2枚の偏光フィルターの間に挟んだ状態(クロスニコル)で,鉱物に普段は見られない特殊な色(干渉色)が現れています.大きくて鮮やかな色合いの鉱物はかんらん石,灰色の小さくて細長い針のような鉱物は斜長石です.回転しても暗いままの部分は,火山ガラスや不透明な鉱物(磁鉄鉱など)です.産地:ハワイ島
大学院の授業で,砂箱で付加体の構造ができる様子を実験した様子です.陸側から順次,逆断層ができていくのがわかります.板を押す人は,プレートを動かすのに必要な力の大きさを実感?できます.木の板の上に直接砂を敷いています.
プレートの木の板にプラスチックシート(PET)を貼り,その上に砂を敷いてプレート境界断層が滑りやすい状況を再現した実験(摩擦係数は測っていません).プレート境界の摩擦が大きい場合に比べて,付加体がつくる斜面が緩傾斜になり,逆断層の間隔が広くなっています.2009年撮影.
砂箱を使った,付加体をつくる実験です.木の板の上に直接砂を敷いて押しました.プレート境界の摩擦は,砂の内部摩擦(34度)とほぼ同じと思われます.プレートの動きは人力による手動.砂は豊浦標準砂を使用.着色にはインクジェットプリンタの詰め替えインクを用いました.2009年撮影.
付加体ができる時には,沈み込む海洋プレートから陸側に物質(地層)が付け加わっていきます.逆に,沈み込む海洋プレートが陸側プレートの物質を持ち去る場合もあると考えられていて,そのような作用を,「構造侵食」(または,沈み込み侵食)といいます.様々な傍証から構造侵食作用がおこっている,あるいは過去におこった沈み込み帯もあると間接的に推定されていますが,構造侵食自体が直接観測されたことはありません.本当にそのようなことがおこりうるのでしょうか?砂箱実験で確かめてみました.実験では,地層が堆積していない板(プレート)を,既にある楔型の砂(陸側のプレートの先端)の下に沈み込ませます.その際,衝立と板の間に少し隙間をあけて,砂の一部がプレートとともに箱の外へ運び出されるようにしました.そうして実験してみると,楔型の砂はだんだん小さくなり,構造侵食が再現できています.楔型の砂の先端では,斜面から海溝へ崩落した砂がプレートとともに沈み込み帯に引き込まれていく様子が観察できます.これは構造侵食のうちの「前縁侵食」と呼ばれる作用に相当します.一方,楔型の砂の内部にある青色に着色した層に注目すると,沈み込むプレートに接する楔の底面からも砂が失われていくことがわかります.これは,「底面侵食」と呼ばれる作用に相当します.これまで推定されていた前縁侵食と底面侵食のいずれの作用も,実際に十分おこりうることが実験で確かめられました.2011年撮影.
付加体を作るのと同じ砂箱を使って,1箇所だけに逆断層を作ってみました(2011年撮影).箱の半分に板を敷き,板がある部分とない部分をまたぐように砂を堆積させます.この状態で板を押すと,板の先端部のみが圧縮され,ここに逆断層ができます.この実験では,一か所から両側へ断層がV字型に発生しました.このような,同じ圧縮運動でできる傾斜方向が反対の逆断層のペアを「共役逆断層」といいます.共役逆断層の間では,地面が台地状に隆起しました.日本ではしばしば丘陵地や山地の麓(平野との境目あたり)に活断層があります.そのような丘陵や山地は,この実験のように,逆断層の運動によって持ち上げられたのでしょう.
逆断層の実験とは反対に,半分だけ敷いた板を引っ張ると,上に堆積させた砂の中に正断層ができます.V字型に共役の正断層ができることを期待していたのですが,右下がりの断層側では砂が流れてしまって不明瞭になってしまいました.正断層に伴って地面が陥没した「地溝」の地形はできました(2011年撮影).
大洋中央海嶺でおこる海洋底拡大の様子を,簡単な模型で実感できるように,ペーパークラフトにしてみました.
海洋プレート(PDF 270 kb)
土台(PDF 250 kb)
バーコードのような縞模様は,海洋底で観測される地磁気異常を白黒で表したものです.実際の海洋底では,地球磁場の変化がプレート拡大軸で噴火した溶岩などに記録され,左右に対称的に広がっていきます.隣り合った2つの拡大軸の間で,2枚の紙の帯がすれ違う部分は「トランスフォーム断層」です.隣り合った紙が平行に動く境の切れ目は「断裂帯」と呼ばれ,トランスフォーム断層のすれ違い運動がなくなった部分です.なお,実際の拡大軸では,一度開いたプレートが戻るということはありません.
最終更新日:2024年 10/26 (2024.3/23から)