盛岡赤十字病院に勤務していた時の患者さんが、ご両親
と一緒にクリニックをたずねていらっしゃいました。
3〜4才の頃、入院した時に、本人とお母様に、私が何かを
話したらしいのでした。何を話したのでしょうか、
私の記憶はあまりにも薄らいでしまったのですが、午後の
木漏れ日の中で本人とお母様と私が座っている場面がかすか
に浮かんできました。
そのときから、本人は「大きくなったら身体と薬について
勉強したい」と思ったのだそうです。
それで高校を卒業して、早稲田の人間科学部・人間情報学科
を終え、この春富山医科薬科大学の大学院(薬学部)に
進学したとの事でした。その事をどうしても私に報告したか
ったのだそうです。それでわざわざお父さまが車を運転して、
宮古までいらしたのでした。
本人は22才になっていて、当時のお顔をすぐには思い出せ
なかったのですが、ご両親のお顔を見たらふいに、優しい
ぽっちゃりしたお顔を思い出しました。
大学院では何を勉強するのですかと質問しましたら
「生薬に興味があります。」「体内時計についても勉強した
いです。」と大きな瞳を見開いて話されました。
何か解ったら先生にもメールで教えてくださいと頼みました。
改めて小児科の仕事の大事さを思いました。
何年も思いつめていらっしゃるお子さんの心に、思わず
涙がにじんで来るのでした。 ありがたいことでした。 |