ArmA訓練所 2007/05/30 |
Armed Assault(アームドアサルト)とOperationFlashPoint(オペレーションフラッシュポイント)は
タイトルこそ違いますが、同じ制作会社が制作し、ゲームシステム自体に大差はありません。
ですが、いろんな点でArmAはOFPから進化を遂げているようです。
ここではいい意味で変化していないArmAの進化を調べてみようと思います。
OFPの射撃精度はきわめて正確でした。
多少の手ぶれや重力の影響があるとはいえ、狙った箇所に確実に弾が飛んでいくようになっていました。
このため、400m離れていても確実にヘッドショットすることさえ可能でした。
これに対して、ArmAの射撃精度はある程度自然になっています。
同じ銃と弾を用いて同じ場所を狙った場合でも、着弾点がばらけるようになっています。
このため、200m以上離れた敵に確実に弾を当てるのが困難になりました。
人によってこの動作を好む人と嫌う人がいるとは思いますが、個人的にはリアリティがあって良いと思います。
ArmAはHDR(ハイダイナミックレンダリング)に対応していて、明るさの処理が柔軟になっています。
太陽の光を見れば目がくらみ、暗い場所に長くいれば次第に周りの物が見えるようになります。
突如光量が変化すると視界が悪くなりますが、しばらくそのままにしていると視界が回復します。
OFPでは常に物がしっかり見えていたため、ArmAでは敵を視認しづらくなったと言っていいでしょう。
好き嫌いはあると思いますが、リアリティの追求という点では評価できると思います。
OFPではミッションの途中にサーバーに接続した場合、ミッション終了まではチャットのみ可能で待ち時間が発生していました。
次のミッションから参加できていましたが、この待ち時間がプレイヤーにとっては一つの障壁となっていました。
ミッションがあとどのくらいの時間で終わるか分からず、他のサーバーの様子をうかがっている間にミッションがスタートするなど、
オープンなサーバーには不向きな仕様となっていました。
ArmAからはミッションの途中からでもゲームに参加することが可能で、プレイ可能なAIに接続した時点の状況から参加できます。
何らかの理由でサーバーから落ちてしまった場合に再接続を行えば
継続してプレイ可能であることから長編ミッションをプレイしやすくなったというメリットがあります。
この機能の欠点としては、AIの使用を禁止しているミッション(DisabledAI = trueなど)の場合はこの機能を限定的にしか利用できません。
(途中参加は出来るが、そのユニットの初期位置からのスタートとなる)
また、途中参加するとミッションの内容がよく分からなくなったり、
途中経過情報を読み込むための時間がかかったり、サーバーの負荷が増す傾向にあるようです。
ブリーフィングメニューでの武器の変更も途中参加の場合は出来ないため、
プレイヤーの足並みをそろえたり、連携を取るには少々くだけたシステムになった気がします。
また、BLUFOR(WEST)対OPFOR(EAST)などのサイドに分かれて対戦する場合、お互いのサイドに途中参加できるため、
有利ジョイン(強いチームに意図的にジョインする、またはジョインしなおすこと)の発生と
スパイ行為や破壊工作を受ける可能性があります。(TKの様な行為はそもそも防ぎようがありません)
スクリプト処理についても、途中参加を考慮しなくて良いOFPに比べて途中参加を考慮した処理にする必要性が出てきました。
プレイヤーの利便性を高めた反面、ノーマナー行為の影響力が強くなったり、
ミッション制作者の負担が増えたという素直に喜べない面もあるようです。
OFPに登場する建物の大半は四角い箱形で、中に入れる物は数が限られていました。
ArmAに登場する建物はOFPに比べて形も様々、中に入れる建物も増加しました。
大きな建物も登場し、うまくやれば室内ミッションも可能になるかもしれません。
特定の手榴弾が建物に触れただけでは爆発しなくなったため、建物の中が非常に不利ということもないようです。
また、衝突判定が厳しくなっており、OFPのように壁をすり抜けたりする確率はかなり減っています。
建物の崩壊はよりリアルになりました。
OFPでは建物や橋はポリゴンの形状をねじ曲げたような形に変形していましたが、
ArmAの建物は爆風を伴って地面に吸い込まれるように崩壊し、あとには残骸が残ります。
橋はゆっくりと崩れ落ちるアニメーションをとり、橋桁の一部が残ります。
1.08パッチから建物が爆風をより遮るようになりました。
爆風を遮るものの裏にいれば手榴弾などの爆風の影響を受けることはありません。
OFPでは爆風はどんな大きな建物でも貫通していたので、この改良は大きな進歩だと思います。
OFPの操作に比べて、ヘリと飛行機の操作がフライトシムのように自由度が増しました。
OFPの航空機は基本的に安定していて、マウスで動かしたい方向を向くだけでした。
そのため、飛行機ではインメルマンターン(操縦桿を引いて上方向に180度反転する)などの機動を取ることが出来ませんでした。
ArmAではこうした制限が取り払われ、航空機で様々な機動を取れるようになりました。
その反面、フライトシムの経験のないプレイヤーにとっては少々操作が難しくなったかもしれません。
もう一つの進化が複数ガンナー(射撃手)機能で、OFPではガンナーは乗り物に一人のみと決まっていましたが、
ArmAでは複数利用することが出来るようです。
ガンナーがもう一人使えるという程度で大きな違いではありませんが、戦車のコマンダーがマシンガンを撃てるのは
便利になったと感じます。
OFPの頃から迫力のあるサウンドという意味ではArmAもあまり良いものとは言えません。
ただし音速を超える弾丸の破裂音やドップラー効果が再現されており、
リアリティという意味では他のゲームより優れています。
今回特に驚いたのは木や壁などの遮蔽物がある場合に銃声やエンジン音が遮られるように聞こえることで、
この再現力は素直に評価できると思います。
OFPでは1グループに所属できるユニットは最大で12人まででしたが、ArmAではこの制限が無くなりました。
通常のプレイスタイルでは12人でも特に問題になりませんが、特定の用途でこの制限はミッション制作者を苦しめていました。
単純な多人数グループ戦闘を1グループ化できるのも一つのメリットですが、
人質救出ミッションなど、人質を自分のグループに加える場合は自分のグループの人数+人質の人数が12人以内でなければならず、
救出チームのメンバーが非常に少なくなりがちであったことがあります。こうしたケースで人数の改善やミッション制作者の労力が軽減されました。
ArmAでは跳弾が再現されています。
ライフルや機銃等で地面や建物、乗り物を攻撃した際に、銃弾と着弾面の進入角度が浅いと弾が弾かれることがあります。
この跳弾にも当たり判定があり、当たるとダメージを受けますが、跳弾によるダメージは直撃より軽減されます。
夜間の戦闘では発射された弾がはっきり見えるため、跳弾の複雑な動きが綺麗に見えます。
ゲーム性にはさほど影響を及ぼすことはありませんが、至近距離に着弾している場合は要注意です。
OFPではごく短距離しか出来ませんでしたが、ArmAでは長距離の水泳が可能となっています。
ただし、あくまでおまけ的なもののようです。
水中にいる時間が長くなると、メインウェポン、サブウェポンの順に装備を水中に落としてしまいます。
また、移動速度も遅いため、島から島への移動に使うことは無理だと思います。
橋が壊された場合に川を泳いで渡ったり、航空機を脱出して海岸付近に着水したときなどに限って使えるものだと思います。
また、海上に落ちた兵士をボートで拾ったりも出来るようです。
乗り物が壊れたときやドラム缶を撃ったときに炎上するようになりました。
OFPでは乗り物やドラム缶は煙を上げる程度で、特定のスクリプトを設定したミッションでのみ炎上する表現が取り入れられていました。
ArmAでは標準で炎上する表現が取り入れられ、炎上したオブジェクトはちゃんと一つの光源として処理されます。
夜間の戦闘でBMP等を破壊すると、雰囲気が出ていていいと思います。
照準器の一部が3Dモデルとなりました。
光学式照準器でも拡大率が等倍のものは3Dモデルとなっています。
OFPではVキーで照準器をのぞくとそれらしい黒いシルエットが表示されていました。
ArmAではM4 AimpointのドットサイトやM4、M16、AK74、MP5などの照準器はすべて3D視点で照準器をのぞき込みます。
また、M4 M203などのライフルアタッチメントのグレネードランチャーの照準器も3Dモデルとなっています。
このため、照準器の目盛りを見て角度を調整することが出来ます。
スナイパーライフルなどの倍率付きスコープは画面周辺が黒いシルエットタイプですが、
3Dモデルで照準器を再現したのは良くできていると思います。
自動車のホーン(警音器)がネットワーク上で効果を現すようになりました。
OFPで車のホーンを鳴らしても自分にしか聞こえず、周りにアピールすることが出来ませんでした。
ArmAではネットワーク上の他の仲間に聞こえるようになったため、ガンナーを募集したり
後部座席に乗る人を集めたりするのが容易になりました。
また、長距離のトラック輸送などでお互いの距離感を音でつかんだり、異常を知らせるのに有効です。
そもそもOFPのホーンの仕様がバグだったとしか思えないのですが、意思疎通がしやすくなったので私はとてもありがたいと感じています。
OFPでは地面に弾痕が残ることはありましたが、建物や乗り物には付きませんでした。
ArmA ver1.08から建物や乗り物に対しても弾痕が付くようになりました。
弾痕を表示させるにはVideo設定のShading detailをNormal以上に設定する必要があるようです。
ただ、この弾痕は黒っぽい丸が表示されるだけで、見た目の印象はとても地味です。
設定を上げるほど残る弾痕の数が増えますが、Normalだと10発ほども残らず、
MPにおいては自分の撃った弾でしか弾痕が残らないという仕様のため、
個人的には存在意義の分からない機能となっていますが、
近距離で車両のエンジンを狙った際に着弾箇所が確認できるなどのメリットはあるようです。
OFPではノートパッドで自分達の装備を確認する画面はありましたが、その用途は確認か弾薬を捨てるかくらいでした。
ArmAではノートパッドでの表示はもちろん、武器を拾ったりAIに武器を拾わせるときもギアメニューが表示されるようになりました。
自分の所持する武器と合わせて乗り物や箱に入っている武器の一覧が表示されるため、素早く武器の交換が出来るようになりました。
アクションメニューからわざわざTake M16などという選択肢がずらずら並んでいた状態から考えるととても便利になりました。
OFPではスモーク(煙幕)はプレイヤー視界を遮ることが出来ましたが、AIはこの影響を受けませんでした。
また、グラフィックオプションから煙エフェクトを無効に出来るため、プレイヤーですら煙幕を無視することが可能でした。
ArmAではオプションから煙エフェクトを無効にすることは出来ず、AIもスモークの影響を受けるようになりました。
OFPにとってスモークはお遊びでしかありませんでしたが、ArmAからは使い方次第でゲームの幅を広げてくれるアイテムとなりました。
OFPの地面は基本的にのっぺりとした平面の組み合わせで、所々にまとまった草が生えている程度でした。
ArmAの地面も基本は変わりませんが、不毛の土地を除きより細かい草が一面に生えるようになりました。
このため、草が生い茂った草原でのプローン射撃(伏せた状態での射撃)がより困難になりました。
問題点として、まとまった草以外はAIの視界を遮らないため、人間対AIでは不利になるケースがあります。
また、草はプレイヤーの周辺しか描画されないため、草むらに隠れたつもりでも遠方からは草が描画されないため丸見えになるのではないかという指摘がありました。
この点は遠方からキャラクターを見た際に、キャラクターが地面にある程度埋まるという表現で補われたようです。
草の描画距離の問題は賛否両論ありますが、地面のディテールが細かくなったのは良いことだと思います。