新聞記事

北海道新聞夕刊(旭川・道北以外版) 2002.3.12 付
性的強要訴訟 旭医大生に賠償命令 960 万円「PTSDは後遺症」

{旭川}旭川医大看護学科の元女子学生が「性的行為を強要され、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負った」として、同医大の男子学生を相手取り、約4000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が十二日午前、旭川地裁で開かれた。森冨義明裁判長は「脅迫や暴行を加えてはいないが、合意や承諾があったわけではない」として、被告に約960 万円の支払いを命じた。 
 判決によると、女性は1999年4月13日未明、男子学生の車内で体を触られるなどの性的行為を受けた。女性は睡眠障害や吐き気などを訴えてPTSDと診断され、現在も通院している。判決理由で森冨裁判長はPTSDについて「現在でもなお症状が続いており、社会生活や就労に重大な支障をきたしている」と述べ、後遺症として認めた。
 この事件で、女性は男子学生を強制わいせ罪で旭川東署に告訴したが、旭川地検は「暴行、脅迫によって強要されたという事実がない」として不起訴処分とした。旭川検察審査会は2000年10月、不起訴処分は不当と議決し、同地検が再捜査している。
 判決について原告側代理人の秀島ゆかり弁護士は「PTSDを後遺症と認定した点で評価できる判決だ」と話している。

 

朝日新聞 旭川版(平成14年3月12日 夕刊)
性的乱暴受けPTSDに 医大生に賠償命ずる  約960万円 旭川地裁判決

 旭川医大看護学科の学生だった女性が、同大学の男子学生から車中で体を触られるなど性的行為を強制され、身体的、精神的苦痛を受けたとして、男性を相手に約4000万円の損害賠償を求めていた訴訟の判決が12日、旭川地裁であった。森冨義明裁判長は「原告の社会生活や就労に重大な支障を招いている」として、男性に逸失利益など約960万円の支払いを命じた。
 判決などによると女子学生は99年4月、顔見知りだった男子学生から、車の中で体を触られるなどの性的乱暴を受けた。女子学生はその後、睡眠障害や吐き気に襲われ、授業にほとんど出られなくなるなど、心的外傷後ストレス障害(PTSD)になった。
 森冨裁判長は「原告は卒業はしたが、希望していた保健婦の資格を取ることができず、PTSDの症状で就労に重大な支障を及ぼしている」と述べた。この上で、大卒女性労働者の賃金センサスによる基礎収入に対して35%の収入を失ったとして、5年間の逸失利益を認めた。
 原告の弁護団は「性被害の訴訟で、慰謝料だけでなく、逸失利益まで認めたのは、画期的な判決と思う」と話した。

同新聞 旭川以外の全道版(平成14年3月12日夕刊)
医大生に性的乱暴受けPTSDに 960万円賠償命じる 旭川地裁判決

旭川医大看護学科の学生だった女性が、体を触られるなど性的行為を強制され、身体的、精神的苦痛を受けたとして、同大学の男子学生を相手に約4000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が12日、旭川地裁であった。森冨義明裁判長は「原告の社会生活や就労に重大な支障を招いている」として、この男性に逸失利益など約960万円の支払いを命じた。
 判決などによると女子学生は99年4月、顔見知りだった男子学生から、車の中で体を触られるなどの性的乱暴を受けた。女子学生はその後、睡眠障害や吐き気に襲われ、授業にほとんど出られなくなるなど、心的外傷後ストレス障害(PTSD)になった。
 森冨裁判長は「原告は卒業はしたが、希望していた保健婦の資格を取ることができず、PTSDの症状で重大な支障があった」と述べた。
 原告の弁護団は「性被害の訴訟で、慰謝料だけでなく、逸失利益まで認めたのは、画期的な判決と思う」と話した。
 この事件で、女子学生は99年5月、男子学生を強制わいせつ罪で告訴したが、旭川地検は00年1月、「証拠不十分」として不起訴処分にした。同10月、旭川検察審査会は不起訴処分を不当とする議決をし、同地検が再捜査している。

同新聞 全道版(翌13日朝刊)
医大生に賠償命令 960万円 乱暴で女性PTSDに 旭川地裁

内容は上記と同様

毎日新聞 全道版(平成14年3月12日夕刊)
性的行為強要で女子学生PTSD 医学生に957万賠償命令 旭川地裁判決

 性的行為を強要され、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になったと、旭川医大看護学科の元女子学生が同大医学科の男子学生に4000万円の損害賠償を求めた訴訟で、旭川地裁は12日、男子学生に957万円の支払いを命じた。森冨義明裁判長は「原告の社会生活に重大な支障をきたした」と性的行為の強要とPTSDとの因果関係を認めた。
 判決によると、元女子学生(当時4年)は99年4月13日、旭川市内で男子学生(同6年)に性的行為を強要された後、不眠やおう吐などなどの症状を訴え、PTSDと診断された。
 元女子学生は強制わいせつの疑いで男子学生を告訴したが、旭川地検は99年12月、「強制と認める証拠がない」と不起訴処分にした。
 しかし、判決は「原告は明確に合意、承諾したとは言えない」と認定。さらに「原告は学内の対応に怒りや不満を示しており、これがPTSDを悪化させた可能性もある」と“2次被害“の可能性も示唆した。
 元女子学生は「男子学生が刑事事件で裁かれることを望んでいる」とのコメントを出した。また、弁護団は「後遺障害の逸失利益が認められたのは画期的で、全国的にも珍しい。同じ被害に遭った他の女性にも大きな力になる判決」と評価した。
 同地検は検察審査会の「不起訴は不当」の議決(00年10月)を受けて再捜査している。(渡部宏人)

読売新聞 全道版(平成14年3月12日夕刊)
 旭川医大性暴力訴訟 男子学生に960万賠償命令 地裁判決 心的障害で逸失利益認定

 旭川医大医学科(旭川市)の男子学生(当時6年)から性的暴力を受けたとして、看護学科 (当時4年)に在籍していた女性が男子学生を相手取り、損害賠償を求めていた裁判の判決が12日、旭川地裁であった。森冨義明裁判長は、慰謝料に加えて心的障害による女性の逸失利益も認め、被告に約960万円の支払いを命じた。性暴力事件で逸失利益の賠償が認められたのは全国的にもまれだという。
 判決によると、女性は在学当時の1999年4月13日未明、同大付近に駐車した男子学生の車の中で、体に馬乗りなどされた上、性的暴力を受けた。女性は事件後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、「憲法で定める人格的尊厳を壊され、精神的苦痛を余儀なくされた」などとして、同年7月に提訴。慰謝料と逸失利益などを合わせて約4000万円を請求していた。
 裁判では、行為が合意かどうかが争点となったが、森冨裁判長は「原告が自分の意思で応じたものではない」と判断。その上で「原告のPTSDの診断は相当であり、社会生活や就労に重大な支障をきたした」とし、慰謝料の他、女性の労働能力は5年間にわたり35%相当が失われたとする逸失利益を加えて、男子学生の賠償責任を認めた。 
 原告側代理人の秀島ゆかり弁護士らは「慰謝料だけではなく、PTSDを後遺障害と認定して逸失利益を認めたのは画期的な判決と思う」と話している。
 女性は事件後の99年5月、旭川東署に男子学生を強制わいせつ罪で告訴。旭川地検は不起訴処分としたが、検察審査会はこれを不当と議決し、現在再捜査が進められている。
 女性は保健婦と看護婦の資格を取得したが(筆者注:看護師の免許は被害前に既に取得していた。保健師の免許は未だ取得できていない)就労できず、現在も療養中。男子学生はいったん無期停学になったが、その後復学した。

 

北海道新聞 (平成14年3月12日homepage)
  性的暴行訴訟 旭医大生に960万円の賠償命令  2002/03/12 13:30

 【旭川】旭川医大看護学科の元女子学生が「性的行為を強要され、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負った」として、同医大の男子学生を相手取り、約四千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が十二日午前、旭川地裁で開かれた。森冨義明裁判長は「脅迫や暴行はなかったが、合意があったわけではない。被告は社会生活や就労に重大な支障をきたしている」として、被告に五年間の逸失利益や慰謝料合わせて約九百六十万円の支払いを命じた。

 原告側代理人の秀嶋ゆかり弁護士によると、PTSDによる逸失利益が認められたのは全国的にも珍しいという。

 判決によると、女性は一九九九年四月十三日未明、男子学生の車内で体を触られるなどの性的行為を受けた。女性は睡眠障害や吐き気などを訴えてPTSDと診断され、現在も通院している。判決理由で森冨裁判長はPTSDについて「今でも人に触れることができないなど、なお症状が続いている」と述べ、後遺症として認めた。

 この事件で、女性は男子学生を強制わいせつ罪で旭川東署に告訴したが、旭川地検は「暴行、脅迫によって強要されたという事実がない」として不起訴処分とした。旭川検察審査会は二○○○年十月、不起訴処分は不当と議決し、同地検が再捜査している。

 判決について秀嶋弁護士は「PTSDを後遺症として逸失利益を認めたのは評価できる。(旭川地検の)再捜査にも大きな影響を与えると思う」と話している。また、原告の元女子学生は「保健師になりたいという強い夢と希望が失われた。悲しみや苦痛は言葉にできない。受けた傷は一生消えません」とのコメントを寄せた。

HTB homepage

セクハラ訴訟でPTSD認め賠償命令

 PTSD、訳すと心的外傷後ストレス障害は、生命の危険にさらされたり、激しい恐怖を体験するなど強烈なショックを受けたことで、心に深い傷が残り、精神状態が不安定になってしまうことを言います。このPTSDを巡って、旭川医大の元女子学生が、先輩の男子学生から性的暴力を受けたとして、損害賠償を求めた裁判で、旭川地裁は性的暴力によるPTSDの損害を、一部認める判決を言い渡しました。訴えを起こしているのは、旭川医大看護科の元女子学生で、99年4月、当時先輩だった医学科の男子学生から、車の中で性的行為を強要され、精神的な苦痛や後遺障害を負ったとして、男子学生に対し、およそ4千万円の損害賠償を求めています。この裁判で元女子学生は、性的暴力によって、強い抑うつ状態が続き、仕事にも就けないなど、PTSDを負った点を主張しましたが、被告の男子学生は、性的行為は合意の上であって、症状もPTSDではないと全面的に争っています。
 12日の判決で、旭川地裁の森冨義明裁判長は、行為は女性の意思に反したものであり、2年以上も経過した現在も、吐き気や他の人と接触できないなど、PTSDの症状が続き、社会生活に重大な支障をきたしているとして、被告に対しおよそ960万円の損害賠償を命じました。
 女性はこの男性を強制わいせつの罪で告訴していますが、地検ではいったん不起訴となり、その後、旭川検察審査会が、この処分を不当と議決し、現在地検で再捜査しています。

ZAKZAK homepage

看護学生に性暴力、医学生に賠償命令
PTSDによる逸失利益を認定

 性的暴力を受け身体的、精神的苦痛を受けたとして、旭川医大(北海道旭川市)の看護学科の女子学生=当時(22)=が、同大医学科6年の男子学生=当時(24)=に約4000万円の損害賠償を求めた訴訟で、旭川地裁は12日、男子学生に約960万円の賠償を命じる判決を言い渡した。

 森冨義明裁判長は「暴行はなかったが、合意ないし承諾があったといえない」と指摘。慰謝料だけでなく、心的外傷後ストレス障害(PTSD)による後遺障害による逸失利益を賠償するよう命じた。

 判決によると、女子学生は1999年4月13日未明、同市内の空き地に止めた車内で、男子医学生に体を触られ、性的行為を強要された。女子学生は不眠や吐き気などの症状が出て、PTSDと診断された。

 女子学生は99年5月、医学生を強制わいせつ容疑で告訴したが、旭川地検は同12月嫌疑不十分で不起訴処分とした。女子学生はこの処分を不服とし、旭川検察審査会に審査を申し立て、同審査会は2000年10月、不起訴不当の議決をしている。

 医学生は99年9月、無期停学処分を受けたが、約1年後、処分を解除され復学したという。

 女子学生側の弁護団は判決後会見し「PTSDを後遺障害として逸失利益を認定したことは評価する」と話した。

ZAKZAK 2002/03/12