札幌高等検察庁検事長  頃安 健司様

旭川地方検察庁検事正  佐藤 典子様

 

要望書

 私たち、かながわ女性会議は会員の一人から旭川医大看護学科の元女子学生が同医大男子学生から性的行為を強要され、そのため、PTSD〔心的外傷後ストレス障害〕と診断され、その女性が男子学生を強制わいせつ罪で告訴したにもかかわらず、旭川地方検察庁は不起訴処分とした事件について、報告を受けました。

 その後、私たちは新聞や事件に関連したホームページの検索、旭川医大における性暴力の被害者を支える会とも連絡を取り、情報を集めました。

この事件の経過を知れば知るほど、女性が男子学生からのレイプ、大学、警察でのセカンドレイプ、さらに検察庁での実情を知るにつけ、女性が受けてしまった心の深い傷に憤り以外の言葉もありません。

2000年10月17日には、旭川検察審査会が旭川検察庁の下した「不起訴」判断は不当という議決が出たと聞いています。検察庁は、被害を受けた女子学生の供述を「合意がなかったもの」と認めながら、加害者の男子学生の言動を犯罪者として立件しない姿勢には多くの矛盾点が認められます。まして、加害者の男子学生の主張である「錯誤」を認めるとはどういうことでしょうか。

加害者男子学生は何の痛みもなく、大学に復学し、医者になるべく実習をしていると聞きます。人を人と思わない倫理観に欠けた人権意識のかけらもない男性を何の制裁もなく、医者にしていいのでしょうか。

一方被害を受けた女性は夢であった看護婦・保健婦の道を閉ざされたばかりでなく、その深い傷はPTSDという症状として、日夜彼女を苦しめています。なぜ、被害を受けた女性が苦しまなくてはいけないのでしょうか。

昨今、女性が顔見知りの男性からレイプを受けたときの心理状態について、また、その被害を受けた後のPTSDについて研究が進んで、裁判の判決に反映していることはご承知のとおりです。横浜セクハラ裁判は高裁で逆転勝訴しました。 

レイプは犯罪です。この性暴力事件をきちんと法にのっとって旭川検察庁は起訴されることを強く望みます。

2001年7月24日

神奈川県藤沢市江ノ島1−11−1 神奈川県立女性センター内

かながわ女性会議

代表  田中正子