判決後、傍聴された方々へ寄せたコメント
「傍聴された、市民の皆様へ」

 本日は、私が提訴致しました民事訴訟に関し、おいでくださり有り難うございました。また、1999年7月の提訴以来約3年間、様々な形で、訴訟や被害に関心を持ってくださり、お陰様で今日、旭川地裁の一審判決を迎えることができました。ここに改めて、御礼申し上げます。
 金銭での損害賠償で、ふるわれた性暴力による苦痛や言葉にならぬほどの辛さが、なくなるわけではありません。何故、こんなに命を削りながら、自分は民事訴訟を続けているのか・・・目眩や吐き気と共に、精一杯私なりに考え、法律へ問い掛けてきた3年間でした。
 弁護士からも説明があると思いますが、去る1月22日には、再び旭川地検での事情聴取を受けました。その後3月に入ってから、私個人から、旭川地検の参席検事と、犯罪被害者ホットラインに、代理人を通して手紙を出しました。「私は今やっと少しずつ、被疑者に、深い憤りを感じている。また、被疑者とは別に、旭川東警察署と、旭川地方検察庁の一部の方々にも、非常に深い憤りを感じている。金銭での賠償など、ある意味私には、意味はありません。被疑者を起訴され、刑事裁判の法廷で、真実を可能な限り明らかにして頂きたいのです」と、精一杯、時分の感情を、言語化し表現致しました。私は、被疑者が、まず起訴されることを、強く望んでおります。
 暴力を振るわれた側の人間に対し、調べ上げたり、逃げ切れなかったと追及する社会の現状、そして、暴力を振るわれた側の人間には、告訴や提訴をしたり、加害者を罰したり、更生させる、社会の偏見を変えていく・・・そのような『義務』など、決して存在しないこと、今この瞬間にも、性別や年齢にかかわらず、自らが望まぬ性行為を強いられている人が、悲しく辛いですが、存在するであろう事実を、どうかこれからも、他人事ではなく、知っていて頂けたら、私は本当に、有り難い限りです。
 直接お伺いできなかったことを、お許し願います。A子という仮の名前ではなく、いつか、もっと元気になり、本名でお会いできることを、楽しみにしております。どうぞ皆様も、お健やかに、お過ごしください。本日は、本当に有り難うございました。

                       旭川医大性暴力訴訟 原告 A子