GMの意図しないバッドエンド 2005/04/15


 バッドエンドといえば

 ・ハンドアウト

 あなたはPC1に仕えている騎士です。落ち延びたPC1を支えてあげてください。

 ・落ち

 PC1はシナリオ開始時点ですでに死亡していて敵の操り人形になっていました(PC1のPLはハンドアウトで承知済み)。というシナリオをコンベでやった事がある(PLで参加)。アリかもしれないが、全く無駄な努力をしていたかと思うと鬱になった。

卓上ゲーム@2ch掲示板


 この手の失敗は、多く経験しています。プレイヤーは、導入段階でゲームの目標を設定することがあります。しかし、それがGMの意図していない目標であった場合に、多少の混乱が発生するのは、至極当然のことですね。特に、そのプレイヤーのたてた目標が、シナリオの都合上、達成不可能であった場合は、トラブルに発展することもあるでしょう。

 例えばGMが、ボディーガードのキャラクターに護衛を依頼した場合。プレイヤーは、ゲームの達成すべき目標として、護衛対象を護りきろうと考えるかも知れません。しかし、シナリオの都合上、護衛対象がさらわれる(あるいは殺される)と予め決定されていた場合、プレイヤーは在らぬ目標に向かって邁進していたそれまでの行為を「空虚なものだった」と振り返ってしまう可能性があるのです。

 与えられた材料や展開を考慮して、その時々に最適の行為や演出を行うことで満足できる、というプレイヤーならば何ら問題ありません。しかし、計画的にゲームを進行しようと考えていたプレイヤーが、与えられた、あるいは示唆されたと思っていた目標や判断の基準を引っくり返されると、計画が破綻して、今まで はっていた伏線が意味を失い、緻密なリソースの運用で得た満足感がただの思い込みだったことに気づき、得られるものとして期待していた狭義のカタルシスまで姿を消してしまうのです。それは大きな喪失感を生むことでしょう。

 件のプレイヤーは、ハンドアウトとして提示された「PC1を支える」ことを、とりあえずの目標としました。しかし「落ち延びた」という情報が不完全だったので、認識を修正する必要がありました。また「死亡していて敵の操り人形になっているPC1」という材料を得て、以上を踏まえた上での目標を、新たに設定しなおす機会が与えられました。それまで取り組んでいた目標や判断の基準が引っくり返されたのです。

 目標や判断の基準を引っくり返すギミックは、手っ取り早く起承転結の「転」を演出できるのでGMには重宝されます。楽しく感じてもらえるなら良いと思います。けれども「それまでの行為が無になった」と思われ、不満足を生んでしまったら、それはどこかで失敗しているのです。

 まあ、この文章を読んでいる貴方なら、GMとして、目標や判断の基準を引っくり返しつつ、プレイヤーに楽しんでもらうテクニックを、いくつも習得していることでしょう。たまには、そうしたコツや、セッションハンドリング、あるいはシナリオのギミックについて、友人達と話し合い、点検してみると、新たな発見があるかも知れませんよ。


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