スラッシュ!オンラインセッションとは
「スラッシュ!オンラインセッション」 は、Aの魔法陣用の運用教則のひとつです。
Aの魔法陣は、もともとオンラインプレイに向いた作りをしています。
(少量の情報交換でゲームが成立するため、無駄な打ち込みが少なくなる。また、短文で明確な意思表示が可能なため、相手の発言意図を確認する手間が省かれる。参加者がゲームの進行状況を把握できるため、プレイ時間をコントロールし易い。プレイヤーが達成すべき目標と、それを可能とする手段や手順が明示されるため、卓ごとに、あるいは進行ごとにSDに確認を求める作業が少なくすむ・・・など)
が、よりスムーズなセッション運営を行えるように、管理人がさらにひと工夫加えて作成したものが、この「スラッシュ!オンラインセッション」なのです。
■スラッシュ!オンラインセッション 導入の効果
「スラッシュ!オンラインセッション」 を導入することで、以下のプレイヤーが新たにAの魔法陣で遊ぶことが出来るようになる・・・・かも知れません。
1:オンラインTRPG初心者
2:時間のない方(あまり遊べない方)
■基本的なゲームの進行
■時間
このゲームはプレイ時間3時間30分、実シーン数5、1ターンあたりは5分を目安に処理を進めてください。行動宣言は成功要素作成を含めて3分以内を目安にプレイヤーに指導してください。
手順として、SDが状況を説明し終え、行動宣言を求めた後、プレイヤー達は役割で決められた行動順を無視して、ターンの行動宣言を一斉に行ってください。
これは打ち込みの時間を有効活用するためであると同時に、ルールブックを忘れた参加者が、オンラインでサマリーを参照するだけでゲーム参加できるように配慮して、「スラッシュ!オンラインセッション」を使用した際は役割とヒーローポイントのルールを使用しないためです。
また、オンラインで役割を相談し選択する手間を省き、ヒーローポイントを得るためのキャラプレイに時間を費やさない、という時間節約のメリットもあります。
以上の特殊な制限に伴って、1シーンは全部で6ターン、各キャラクターは全ターン行動可能とします。行動宣言後、SDに認められた成功要素を使用し、SDが指示した順番で、各プレイヤーは判定を行ってください。
■目的
大目的として、セッションの最終目標を最初に明確化し、全プレイヤーに周知してください。さらに、あらゆるシーンにおいて、目的は明示されるべきです。これも、決して曖昧にしないでください。
■セッションデザイナー教則
■成功要素抽出の基準
成功要素は6つまでなら、なるべく認めるようにしてください(一時的成功要素含む)。ただし、7つめ以降は、あれこれと難癖をつけて却下する方向で裁定することを、予め参加者達に認識させてください。協力成功判定に供出できる成功要素も、各個6つまでとします。
■難易度の設定
SDはゲーム開始前に、予定する全シーン数の2倍と同じ個数だけ、ダイスを持ってください。このダイスを難易度ダイスと呼びます。
シーン開始時に、そのシーンの小目的に見合った個数(任意:最大3個)のダイスをふり、その合計値をキャラクター数でかけた値を難易度としてください。なお、この時ふるダイスは難易度ダイスを使用し、一度使用した難易度ダイスは、このゲーム中、二度と使用しないでください。
難易度ダイスを使用する意味は 「初心者SDの負担を減らす」 と 「SDのバランス感覚に対する不平不満をプレイヤー達に感じさせない」 ことにあります。同時にこれは、顔も知らない人を相手にするオンラインセッションで、理不尽な難易度設定を行うSDと遭遇する可能性を想定しての予防策でもあります。
また、一度にふれる難易度ダイスは最大3個なので、成功要素を最大限抽出したキャラクター達なら、なんとか対応可能な範囲で難易度が設定される・・・・というオートバランス機能も組み込まれています。
ただしSDは、難易度ダイス2個は難関であり、ダイス3個にいたっては、解決できない可能性もある高難易度になることを認識してください。
世界観(世界法則)とキャラクターの立ち位置を照らし合わせ、勝機がほとんど無いと思われるチャレンジの場合のみ、難易度ダイス3個を使用しましょう。
■リスクの設定
戦闘は、中間判定で手傷、失敗で死亡、成功で勝利、時間切れ(ターン切れ)で敗北死亡・・・・といった感じでデザインせよ、と本家スラッシュ!のブリッツクリークでは述べられています。
ですが、いつも高い難易度で、なおかつ上記戦闘なみの高リスクでは、まいってしまいます。勝つのが難しくても、相手には大怪我させられるほどの攻撃力がなかったり、いざとなったら逃走可能な敵もいることでしょう。
もちろん戦闘以外の、どのような局面であっても、成功、中間判定、失敗、ターン切れで、それぞれどのような結果になるのか(どのようなリスクを負うのか)、任意に設定するのがSDの仕事ですから、SDの皆さんは普段のプレイ時から、各シーンの状況にあわせ、TRPG経験をいかし、適当なリスクを提示していることと思います。
しかし、理不尽に高いリスクを連続要求するSDや、どのようなリスク設定にするとよいのか、分からないという初心者SDも多いのではないでしょうか。
そういった理不尽なSDに対する防衛策と、初心者SDが難易度を考える手間を省く方法を提示するとともに、リスクの削り(あるいは自己決定)というTRPGの醍醐味をプレイヤー達に体感してもらうため、「スラッシュ!オンラインセッション」では、明確にリスクの設定方法を決めておきます。
SDは小目的の難易度設定時、難易度ダイスの合計値に以下 「リスク決定表」 の左枠の難易度修正を加え、その判定には右枠のリスクを適応させてください。なお、リスクを事前に、プレイヤー達に明示する必要はありません(ベテランゲーマーなら行動を起こす前に、リスクを調査する宣言を行うことでしょう)。
リスク決定表 |
難易度修正 |
リスク |
失敗 |
ターン切れ |
-9 |
全員ゲームオーバー(PC喪失) |
全員ゲームオーバー(PC喪失) |
-7 |
個人ゲームオーバー(PC喪失) |
全員ゲームオーバー(PC喪失) |
-5 |
個人再判定不可 |
全員ゲームオーバー(PC喪失) |
-3 |
- |
全員ゲームオーバー(PC喪失) |
-3 |
全員再判定不可 |
全員再判定不可 |
0 |
個人再判定不可 |
全員再判定不可 |
+2 |
- |
全員再判定不可 |
■運用例
SD「君達の目の前には鍵のかかった宝箱がある。シーンの小目的はこれを開けて宝をゲットすることだ。難易度は(クローズダイスをふる)・・・・9。さあ、行動宣言してくれ」
盗賊「じゃあ、僕は<器用><盗賊歴><罠識別><開錠><開錠用具>の成功要素で宝箱を開けるよ。いいかな?」
SD「了解。成功要素は全て認める」
僧侶「ワシは協力成功判定で<カルフォ><的確な指示>を供出するぞ」
SD「OK」
盗賊「よし、固定値で10を確保。ダイスは2個ふる」
戦士「まてまて、まだシーンは始まったばかりだ。俺が宝箱を蹴って難易度を削ってやるぞ」
SD「先に言っておくが、それを実行するなら逆成功要素にするからな(笑)」
戦士「あ、じゃあ静観していよう。しかし、罠くらい調べた方がいいんじゃないかなぁ。どんなリスクがあるか分かったもんじゃないぜ?」
僧侶「大丈夫じゃよ。さきほどのシーンでSDは、グレーターデーモンを倒すための難易度決定に、ダイスを3つもオープンでふったじゃろ?開始2シーン目にしてまた難易度ダイスを沢山ふることはあるまいて」
盗賊「そうそう。きっとダイスを1個をふって、3がでたから人数の3でかけて、難易度9なんだよ(ダイスをふって)あ、1の目が出たから、グリードロールで失敗しちゃった」
SD「え〜と、実は難易度ダイスは3つふって、12がでたんだ。罠はテレポーターだから、難易度修正-9で、3、それを人数の3でかけて、最終的な難易度を9と伝えたわけだ」
盗賊「・・・・と、いうことは?」
SD「全員、石の中にいる」
一同「・・・・・・」
■達成のさせ方
シーン内では、最終的な目的を達成するための難易度をいかに減らす(これを削りといいます)か、戦力である成功要素をいかに整えさせるか、に主眼をおいてプレイヤー達を誘導してください。
削られた難易度は、以後、全プレイヤーに適用されるため、SDはパーティー全体にとって削りが有益であることを、早い段階に、初心者達に認識させてください。
■プレイヤーの行動宣言
行動判定:小目的達成のための行動判定を行えます。あるいは、小目的とはまったく関係のない提案を行い、その実行のためにSDが任意設定した難易度を目標値として行動判定を行えます。
削り:小目的の半分の難易度の判定をおこない、成功すれば小目的の難易度を1下げることができます。この判定自体にリスクはありません(自分の行動ターン数が消費されるのみ)。
リスク削り:小目的と同じ難易度の判定をおこない、成功すれば小目的のリスクを1段階下げることができます。この判定自体にリスクはありません(自分の行動ターン数が消費されるのみ)。
リスク調査:小目的の半分の難易度の判定をおこない、成功すれば小目的のリスクを知ることができます。この判定自体にリスクはありません(自分の行動ターン数が消費されるのみ)。
成功要素を整える:一時的成功要素ひとつの登録。あるいは、永続的な成功要素ひとつの登録を行います。成功要素の登録は他の行動と並行して行えます。
■アイテムの概念
世界観(世界法則)によっては、成功要素の半分(つまり10個)は、能力や技能や特徴ではなく、アイテムや装備とするように設定してもかまいません。
その場合、アイテム購入の演出が「成功要素を整える」宣言と結びつきます。が、もちろん時間スケール30秒の荒野で戦闘している最中に、アイテム購入の行動宣言など受け入れられる事はありませんし、また、高校生が銃器を購入するためには、それなりの難易度で判定を求められることでしょう。このように、アイテムの概念を導入すると、ゲーム自体の難度と深みが増すのです。
■協力成功判定
協力成功判定は判定を行った個人のみが、それを成功させたものとします。
例えば、敵を倒すのが小目的ならば、誰か一人の仲間が判定を成功させるだけで、シーンの目的は達成されることでしょう。活躍した一人が敵の脅威を退けたことで、仲間達も生きのびることができるわけです。
しかし、ドラゴンのブレスを回避するのが小目的だったり、スポーツの練習試合で活躍してレギュラーに選ばれることが小目的だった場合は、協力判定で誰かが成功しても、その仲間達に直接の利益はありません。
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