WE205D シングルアンプ

有名なウエスタンの丸球、205Dのシングルアンプです。先入観を持たずに、普通の部品で普通に作ってみました。出力は1W未満ですが、結構馬力のある音です。



市場では大変高価になってしまいましたが、高価な部品を使わず一般的なCR結合で仕上げてみました。使用真空管は、12AU7−WE205D−6754です。WE205Dの丸球を引き立たせるために、あえてMT管を使いました。すべてトップシールとなります。6754はあまり聞かない真空管ですが、BENDIXの10000時間保障の超高信頼管です。MT管ですが大変重く、セラミックスペーサーを使うなど、がっしりとした造りです。WE205Dは後期のゲッターのあるタイプを使っています。動作は、Ep=298V、Ip=17.3mA、カソード抵抗=1.5kΩです。負荷はマニュアルから、5kΩとしています。交流点火ですが、フィラメントが4.5Vであることも手伝ってSN比は良好です。

CR結合で、カップリングコンデンサーはMILのビタミンQ(0.1μF600Vと0.047μF600V)です。電源部のフィルターコンデンサーは最近では基板対応のものが主流で大変小型化されています。真空管アンプには不釣合いですが、やむを得ません。ビンテージと称する古いものは格好は良いものが多いですが、容量抜けや耐圧の点など問題があり、使用には要注意です。本機は基板対応のコンデンサーを画像のようにケーブル固定冶具を使ってシャーシに固定しました。トランス類はノグチトランス製、小物パーツはサトーパーツ製、入力はITTキャノン、ボリウムはコスモス製です。いずれも、入手可能な確かな性能の部品です。WE205Dのソケットのみ、ベーク板を加工して作りました。浅野氏の「魅惑の真空管アンプ」に掲載されているUFソケッとの作り方と同じです。ケースは、鈴蘭堂のSU3です。いいケースだったのですが、残念ながら製造中止になりました。
一部のWEマニアの中には、現行部品を軽視して「WEこそが真実」みたいなことをいわれる方がいますが、データに基づいて理論的に何が如何違うから優位性があるのかを述べてもらいたいものです。感情的に熱くなっても、所詮虚しいだけです。

さて、音色ですが、いつも欧州ドイツ管を愛用している私には、小出力ながら低域の馬力は感じますが、若干こってりとしたしつこい感じに聞こえます。これが、某プロの製作者いわくの「コクがあってマイルドな・・・」というのでしょうか?個々人の聞き取り方は、思い入れや環境など多くの要素が絡み合っていることもあって、差異があって面白いです。