アメリカの真空管(Western Electric 丸球)

電話用汎用増幅管の101Dです。画像のものは初期のテニスボールチューブですが、ゲッターがあるタイプなので、初期と言っても少し後の時代です。管壁にエッチングで型式が記載されています。また、ピン先には金のチップが埋め込まれていて、「さすが!業務用」の造りです。最大プレート電圧は190Vです。最近の製作記事を見ますと、いろんな理屈をつけて300V近くで使っているものがありますが、素人の浅知恵は止めた方がよいです。すべてが同じように使える補償などなく、短命に終わらせてしまうのが落ちです。メーカーの規格とは厳格な試験の上で成立しているものであり、守るべきものです。

その101DのST管です。画像のものは軍に納められたもので、JAN-CW-101Dとなっています。

STCの4101Dです。これは、ウエスタンの101D同等ですが、ベースの作りなどはこちらの方が丁寧に思えます。板状の電極をガラス棒で巧みに保持した職人技が冴える真空管です。ベースは、ウエスタンのような継ぎ目はなくシームレスで絞り込んでいます。

日本電気の101Fです。ウエスタンの101Fと瓜二つです。日本電気では、この後STタイプも作りますが、こちらはウエスタンと異なった電極になります。ウエスタンではありませんが、技術提携の関係もあってこちらに掲載します。

101ファミリーの101Lです。

101の民生用に該当する216Aです。堅牢な造りのノーゲッター管です。フィラメント電圧は6Vで、通常の酸化皮膜タイプです。

ウエスタンの100番台真空管の中で、唯一の出力管の104Dのメタルベース、ゲッターありです。これより古いタイプはゲッターが有りません。いわゆるノーゲッター管になります。設計プレート電圧は190V最大ですが、バイアスが深いため供給電圧が250V程度になって、使いやすいです。ただし、出力は1W未満です。この真空管の製作記事にも、プレートに300V近くかけた無謀な製作記事があります。真空管愛好者としては、差し控えていただきたいです。

後期型になるガラスプリント、ゲッターありの104Dです。この後のタイプが刻印になります。

日本電気の104Dです。1948年製でゲッターはベースに隠れて見えにくいですが、側面に有ります。ラダーグリッドでゲッターの位置を除いて、ウエスタンそっくりです。

104Dの高耐圧版のD86327(刻印)です。プレートへのリード線がステムの脇から引き出されています。104Dは後にST管になりましたが、こちらはどうなったのか解りません。出力管ということで人気があります。

その104DのST管です。

VT番号の1番目にあたるWEのVT1です。ノーゲッターの堅牢な作りです。フィラメントは白金線の撚り合わせで、長寿命が測られています。ピン先に金チップがあるはずですが、このサンプルには有りません。電圧増幅管に該当しますが、どちらかと言うとコレクションアイテムです。

WEのVT2です。205Bと同等といわれていますが、205Dの規格がそのまま使えます。フィラメントは白金線の撚り合わせで、長寿命が図られています。そんなことも有って、この真空管は中古で管壁が着色していますが動作は良好です。また、ピン先には金のチップが埋め込まれています。

有名なテニスボールチューブの205D(刻印)です。初期の板極管で「良い音がする」とのもっぱらに評判です。ゲッターのないタイプやメタルベースのものなどがあります。最近では、状態の良いものはほとんどなく、高価になってしまいました。

205のST管バージョンと言われていますが、「F」の文字が示すとおり立ち上がりの早いタイプです。このサンプルはトップマークと呼ばれる管頂に型式が記載されているタイプです。