トッププレート,サイドグリッド3極直熱送信管
私の好きな送信管に、「T」のつくトッププレート,サイドグリッドの直熱3極管があります。初期のオーディオンを思わせるような球型のガラス管です。プレート損失60W〜1500W(米国には2000Tという、プレート損失2kWのものも有ります)までで、円筒形プレートのノーゲッター管です。以下に簡単な規格を紹介します。
型番 | 米国名称 | フィラメント電圧 | フィラメント電流 | 増幅率 | 最大陽極損失 |
2T24 | 3C24 | 6.3V | 3A | 23 | 25W |
3T12 | 10V | 4.25A | 20 | 90W | |
3T75B | |||||
4T16 | 100TL | 5V | 6.3A | 14 | 100W |
4T17 | 100TH | 5V | 6.3A | 38 | 100W |
5T20 | 250TL | 5V | 10.5A | 14 | 250W |
5T21 | 250TH | 5V | 10.5A | 36 | 250W |
5T30 | 450TL | 7.5V | 12A | 18 | 450W |
5T31 | 450TH | 7.5V | 12A | 38 | 450W |
6T70 | 7.5V | 12A | |||
7T31 | 7.5V | 16A | 18 | 1000W | |
7T40 | 1000T | 7.5V | 16A | 35 | 1000W |
7T40A | 7.5V | 16A | 35 | 1000W | |
7T45 | 1500T | 7.5V | 24A | 15 | 1500W |
東芝の3T12です。同心円筒状堅牢型のジルコニウム塗布グラファイトプレートの3極管でゲッタはありません。プレート損失90Wでフィラメントが10V4.25Aです。主として小型高周波誘導加熱装置に使用されていました。グリッドは籠状で横に引き出されています。純日本製であることから、意外と入手に時間がかかりました。
TENの3T75Bです。最近入手したものですが、規格がわかりません。型式から、プレート損失100W未満の3極管であることは間違いないです。プレートは、ジルコニウム塗布でゲッターは有りません。とても丁寧で簡素な造りの送信管です。
東芝の5T20(250TL)です。同心円筒状堅牢型のジルコニウム塗布プレートの3極管でゲッタはありません。プレート損失250Wでフィラメントが5V10.5Aです。こちらは、主として高周波誘導加熱装置や工業用高周波電源に使用されていました。上部はプレートで放熱フィン付きのキャップで回路に接続します。グリッドは籠状で横に引き出されています。これも放熱フィン付きのキャップを使用します。下部はフィラメントのみです。低損失時は自然空冷ですが、プレート損失が50%以上では強制空冷になります。姉妹管に増幅度を上げた5T21(250TH)があります。
東芝の5T30(450TL)です。この真空管も同心円筒状堅牢型のジルコニウム塗布プレートの3極管でゲッタはありません。プレート損失450Wでフィラメントが7.5V12Aです。こちらも、主として高周波誘導加熱装置や工業用高周波電源に使用されていました。上部はプレートで放熱フィン付きのキャップで回路に接続します。グリッドは籠状で大電力に恥じない円筒状の板を使って横に引き出されています。これも放熱フィン付きのキャップを使用します。下部はフィラメントのみです。低損失時は自然空冷ですが、プレート損失が50%以上では強制空冷になります。姉妹管に増幅度を上げた5T31(450TH)があります。
5T30の増幅率を上げた東芝の5T31(450TH)です。この真空管は、中波ラジオ局の1kW送信機のファイナルにパラレルで使用されていました。まだまだ使えるのですが、ついに半導体に駆逐されてその場を奪われてしまいました。簡素な造りで丈夫な真空管です。オーディオアンプでも十分に使えますので、そちら方面でがんばって欲しいです。
NECの6T70です。規格はわかりませんが「クラス6」であることから、プレート損失は500W以上1kW未満ということになります。グラファイトブロックにジルコニウムを塗布した頑丈なプレートです。ゲッターが1箇所飛ばしてあります。ベースは後述の7T40と同じで、フィラメントのみの引き出しになっています。形状は211タイプで、ピンの長さが2倍になります。プレートの引き出しは5T30や7T40とは異なり、フィンが直接固定されています。大変がっしりとした「重い」真空管です。
東芝の7T40(1000T)です。この真空管も同心円筒状堅牢型のジルコニウム塗布プレートの3極管でゲッタはありません。プレート損失1kWでフィラメントが7.5V16Aです。プレート損失1kWに恥じないフィンを設けたがっしりとしたプレートになっています。私の持っている規格、外形共に最大のガラス製の真空管です。こちらも、主として高周波誘導加熱装置や工業用高周波電源、業務用AM送信機に使用されていました。上部はプレートで放熱フィン付きのキャップで回路に接続します。グリッドは籠状で大電力に恥じない円筒状の板を使って横に引き出されています。グリッドの引き出しに2タイプあるようで、初期のものはジルコニウム塗布のテープが巻かれています。これも放熱フィン付きのキャップを使用します。下部はフィラメントのみです。低損失時は自然空冷ですが、プレート損失が50%以上では強制空冷になります。この1クラス上に7T45(1500T、プレート損失1.5kW)と形状のみを一回り大きく変更した7T40A、増幅率を下げた7T31(μ=18)があります。