旧ドイツ軍用管 RL12T15 シングルアンプ

旧ドイツ軍の小型送信管、RL12T15のシングルアンプです。プレート損失15Wの傍熱3極管で若干増幅率が高いですが、オーソドックスなA1級シングルアンプに仕立ててみました。小型管ですが、腰の太い戦艦ビスマルクの雄大さを思わせるような魅力的な音色です。


使用真空管は、オールテレフンケンでREN904-RL12T15-RGN1064です。
回路は、CR結合の1段増幅で特に解説する必要も無いと思います。RL12T15を引き立たせるために、整流管にストレートタイプを使ってみました。
RL12T15は特殊なベースで、ベースのキーにカソードが引き出されています。ピン配置は米国のUVタイプ(50等)なので、工夫をすればUVソケットが使えます。今回は、幸運にもオリジナルのソケットが入手できたので、これを入念に磨いて使うことにしました。ただし、このソケットは取り付けが少々厄介で、通常の取り付け方法ですと電極がシャーシに接触してしまいます。そこで、1mmのテフロンシートを下に引いてシャーシ上に取り付けました。裏方が見えて不細工かと心配したのですが、なかなかかっこよく、取り越し苦労でした。

RL12T15の規格はワールドチューブマニュアルに簡単に記載されていますが、詳細な特性曲線が入手できたので、これを元に動作を決めました。以下表に示します。

動作 プレート電圧 プレート電流 グリッドバイアス 負荷抵抗 出力 プレート損失
動作例1 300V 17mA -15V 10kΩ 1.1W 5.1W
動作例2 350V 25mA -18V 10kΩ 1.4W 8.8W
本機の動作 364V 22.1mA -16.6V 10kΩ - 8.1W


OPTはタムラのF475で2次インピーダンスを操作して、Zp=10kΩとしました。チョークコイルは手持ちの山水の30H80mA、電源トランスはノグチのPMC55FとSELのSP61Wを使いました。その他パーツは手持ち品の流用です。
ケースは、いつものリードのMK300です。最近のMKシリーズは塗装が雑になったようで傷が多く、愛用者としては残念です。
RL12T15のプレート損失は15Wですが、B級やC級発振を前提としているので、プレート電流を常時流すA級で使う場合は、電流の流しすぎには注意が必要です。

この真空管の管壁には、帝国海軍を示す「Kriegsmarine」の文字がエッチングされています。Uボートの通信関係に使われていたのでしょうか?興味が尽きない逸品です。
また、傍熱管ではありませんが、RS241やRS242がフィラメント規格を除いてほぼ同等です。


テカデ(左、ハーケンクロイツ紋章入り)のグラファイトプレートとテレフンケンの板プレートを比較しました。次の画像は、RL12T15とそのソケット部分のアップです。