RE134シングルアンプ
戦前ドイツの小型出力管、RE134のシングルアンプです。16cmラジオ用スピーカー(パイオニアのP-16A)と一体化させたモニター仕様に仕上げてみました。決してHi-Fiではありませんが、女性ボーカルを美しく聞かせてくれます。
回路構成は、いたって簡単なCR結合の1段増幅です。使用真空管は、戦前ドイツの一般的なものでまとめました。すべてテレフンケン製で、整流管はRGN1064(メッシュプレート)、電圧増幅管はREN904(旧型、金色)です。RE134は第3帝国以前の物のようで、ハーケンクロイツではなくて旧ドイツの鷲のマークが入っています。できるだけ長く働いてもらいたいので、奨励動作の内輪で使用することにしました。本機の動作を以下の表に示します。
動作 | プレート電圧 | プレート電流 | グリッドバイアス | 負荷抵抗 | 出力 | プレート損失 |
奨励動作 | 250V | 12mA | −17V | 12kΩ | 0.65W | 3W |
本機の動作 | 240.5V | 11mA | −15.5V | 12kΩ | - | 2.6W |
トランス類は、電源トランスがノグチトランスのラジオ用、ヒータートランスがSEL製です。いづれもリーズナブルな価格で種類も多く、特性も良く信頼できます。海外製の中古トランスには、とんでもない価格が付いていますが、その価値はいかがなものでしょうか?中古ゆえの不安もあり、私には理解できません。出力トランスはスピーカーに付属しているもので、パイオニア製の5kΩ-7kΩ-12kΩの汎用タイプです。スピーカーが3W仕様ですから、出力トランスもこの範疇だと思います。カップリングコンデンサーは、MIL規格のウエストキャップ0.1μF600Vハーメチックタイプです。長期安定性が期待されます。RE134はプレート損失3Wの小型出力管なので、カソード抵抗は3Wで十分です。フィラメント電流が150mAと少なく、電圧が高めに出たので1Ω3Wを2本入れて気持ち分、下げています。ケースは、アイデアルのケースを改造してパンチングメタルのパネルをつけてスピーカーを固定して、アンプ部はリードのシルバー塗装の汎用ケースを使いました。
出力は650mWと小さいですが、能率の良いスピーカーと組み合わせたこともあって、手軽なモニターシステムとしては十分です。ただし、当然ながら重低音を望むことはできません。スピーチレンジです。しっとりとした女性ボーカルは結構良い感じです。
フィリップスのRE134同等管、TS30です。差し替え可能です。
REN904には銀色のコートのものもあります。
RGN1064には戦後のストレートタイプもあります。