欧州の真空管(PX25とDA30属)




MOVの旧型PX25です。ナス管のPX25にはプレートをステムの横から引き出しているものがありますが、それは送信用のDET5であってPX25ではありません。しかし、実際には混同されています。管壁に並列して型式が記されているものを良く見かけます。


新型のPX25です。旧型管からプレート損失は30Wに耐圧は500Vに改善されています。ちなみに旧型管はナス型(プレート損失25W、耐圧400V)です。新型管は、外形だけでなく、電極も補助グリッドを設けて高周波特性を改善し、プレートをアンドン型にして管壁にマイカ板を介してで固定した耐震構造のものに変更されています。グリッドのピッチを見比べないとDA30との見分けがつきにくいです。


PX25Aです。この真空管は、グリッドのピッチをDA30と同等にしたDA30と同特性の真空管ですが、マニュアルではプレート損失は25Wのままです。このことから、DA30はPX25から発展した真空管であることが予想されます。以前、ヤフーオークションで有名な真空管専門店の測定値が記載されていた物を見かけましたが、なんとPX25の条件で測定していました。PX25AをPX25の条件で使うと確実に短命にしてしまうので、注意が必要です。




マツダのPP5/400もPX25同等管です。グリッドのピッチ以外、同社のV503とほとんど同じ形状です。このサンプルは、初期のもので電極保持のマイカが四角です。また、ゲッターはマグネシウム系で広範囲に飛ばされています。管頂にはMazda PP5/400と記載されています。




電極保持のマイカが8角形になった後期のPP5/400です。珍しい茶ベースです。このサンプルは、マルコーニに納入したものでDET5と印刷されていますが、管頂にはMazda PP5/400と記載されています。




英国タングスラムのP27/500です。PX25同等ですが、プレート電圧は500Vまで許容されていてプレートの引き出しはステムの横からになっています。新型管はP28/500のようなST管になっています。


PX25同等管としては、次のムラードのDO24(旧型管はナス型)があります。ストレート管ですが、大きな板チョコのようなプレートをしっかりと支えた作りで安定感のある真空管です。




大陸に目を向けると、若干規格が異なりますが有名なフランスRTのBF25があります。この真空管は、PX25の内部抵抗を高めにしたPX25C同等と言われている真空管でフィリップス系独特の形状のST管です。実はBF25というのは、本来の名称ではなく正式名称はF410といいます。


こちらはフランスフィリップスのF410(旧型)です。この真空管は、リン系とマグネシウム系の2種類のゲッターを飛ばしてあります。なぜそうしたのかは判りませんが、2種類のゲッターを使うのはフィリップス系の真空管に多く見られる特徴の1つです。フィラメント支持はガラスサポートを設けてテンションを利かせた丁寧な作りになっています。


次はチェコのテスラのRD27Aです。この真空管は、PX25同等でグリッドが金メッキされています。旧型にナス型があります。次はデンマークのMP社のU4E8です。独特の偏平な太いST管でF410に近い特性です。






マルコーニの旧型管のDA30です。後述のムラードのDO26(MOVのOEM)と全く同じものです。PX25とDA30の関係はナス管であっても、DA30がグリッドのピッチを変えた発展形といわれているように2本を並べて(左:PX25、右:DA30)みましたが、一見しては見分けが付きません。




ムラードのDO26です。このDO26は、MOVからのOEMでDA30同等管です。ムラード純正のDO26ではありません。この辺の話は、「魅惑の真空管アンプ」で浅野勇氏が、当時の管球事情を説明されています。ちなみにムラードには、DA30同等管としてDO30がこれとは別にあります。


GECのDA30(新型管)です。旧型管はナス型(プレート損失30W、耐圧500V)です。新型管は外形だけでなく、電極も補助グリッドを設けて高周波特性を改善し、プレートをアンドン型にして管壁にマイカ板を介してで固定した耐震構造のものに変更されています。またプレート損失が40Wに改善されているとも言われていますが、貴重な真空管ですから初期の規格の30Wに止めておきたいものです。当時、このクラスでは300Bをも凌ぐ世界最高の出力管の1つだと思います。


GECのDA30で、軍用にルーズベース対策として灰色のベルトが設けられたものです。ベースは耐圧のあるマイカフェノール製(通称:茶ベース)です。電極等の内部構造は前述のDA30新型管と全く同じです。


マツダのV503です。DA30同等ですが、マツダ独特のナス型です。503とはプレート耐圧500Vで損失が30Wを意味しているものと言われていますが、当時の規格表ではプレート耐圧450Vで損失が25Wになっています。同じ形状にPP5/400(=PX25)やPP3/250(=PX4)があります。V503はDA30の新型管のようなドーム型は製造されませんでした。


ムラード純正のDO25です。DA30のフィラメント6Vタイプになります。リブの入ったプレートが、管内にゆったりと納められています。


イタリアのゼニスのP420です。EL156を大きくしたような形の真空管です。PX25とDA30の中間のような特性の真空管です。


<規格>

名称 フィラメント
電圧(V)
フィラメント
電流(A)
プレート
電圧(V)
プレート
電流(mA)
グリッド
電圧(V)
gm
(mA/V)
内部抵抗
(Ω)
増幅度 負荷抵抗
(Ω)
出力(W) プレート
損失(W)
DA30 4 2 400 62.5 -102 6.9 580 4 4500 8 35
PX25 4 2 400 62.5 Rk=550Ω 7.5 1265 9.5 3200 6 30
DO24 4 1.85 400 63 -40 7.5 1070 - 3200 7.1 25
DO26(純正) 4 2 400 63 -92 3.8 950 3.6 - - 25
DO26(MOV) 4 2 400 63 -102 6.9 580 4 - - 30
F410 4 2 550 45 -36 - 2500 10 - - 25