古典管のエージング(慣らし運転)について
間違いだらけのエージング
まず結論から
「真空管は、定期的に使って(エージングして)やらないと劣化する」といううわさがありますが、きちんと保管していれば問題ありません。
きちんとした販売店であれば、そこで行う一般的なテストで十分です。無理に定期的に使わなくても良いです。
設計に当たっても、当時の規格表を参考にしても大丈夫です。ただし、品質管理が今のようにされていない時代のものですから、控えめな動作が好ましいです。
PX25のエージングの例
それでは、PX25を例にとって、エージングの方法を解説します。
@ まず、フィラメント(AC点火)を2.5Vで30分程度点灯し、切らずに徐々に上げて規格の4Vにする。
A バイアスを深めにとって、プレート電圧が200Vで電流が5〜10mAになるようにバイアスを調節する。(注1)
B これで30分程度、様子を見る。
C プレート電流が2倍になるようにバイアスを調節して、そのときのバイアスの変動値からgmを算出する。(注2)
D バイアスを深めに戻して、プレート電圧を350Vにして、電流が20mAになるようにバイアスを調節する。これで30分程度、様子を見る。
E プレート電流が57mAになるようにバイアスを調節し、この値が-26Vであれば規格表通り。(注3)
F 改めてgmを算出する。規格値は7.5〜8.5mA/V、±20%に入っていれば優秀です。
注1
この状態で放電するものは、明らかな初期不良品です。
注2
gmが高いので、配線や作業手順を間違えると発振してプレート電流が暴走して真空管を壊してしまいます。
注3
実際には、新品では-30Vぐらいのものが結構あります。