欧州の真空管(EL156属)

世界最高峰の真空管、テレフンケンのEL156です。ジルコニウム処理をした50W損失に耐えるプレートや、太いカソード、ロッドをビーム制御電極とした構造など、さすがドイツの技術の集大成の真空管といえると思います。EL156は世界でもっとも高性能な出力管です。


4種類を並べてみました。ベースの色は判りにくいですが、左から黒,こげ茶,こげ茶,灰黒色です。左2本には、コードナンバーが印刷されています。

私の知る限りの最も古いEL156です。電極の支えが「V字」型マイカになっていて、ベースの固定は石綿を使っています。プレートのジルコニウム処理は、よく見かけるような薄茶味灰色ではなく黒味灰色です。ベースは黒色で、コード番号が有ります。

2番目に古いと思われるEL156です。電極の支えは、よく見かける「I字」型マイカになりました。ベースの固定は石綿を使っています。プレートのジルコニウム処理は、よく見かけるような薄茶味灰色ではなく灰色です。ベースはこげ茶色で、コード番号が有ります。

3番目はベースがこげ茶色以外は、よく見かけるタイプのEL156です。ベースの固定はベークライトセメントを使っています。プレートのジルコニウム処理は、よく見かけるような薄茶味灰色になりました。ベースはこげ茶色です。

最新のEL156です。ベースは灰黒色です。ベースの固定はベークライトセメントを使っています。プレートのジルコニウム処理は、よく見かける薄茶味灰色になりました。

シーメンスのEL156はテレフンケンが倒産した時に一時期で回ったようですが、最近は見掛けません。ロゴ以外、テレフンケンのものと全く同じです。たぶんOEMだと思います。

テレフンケンのEL151です。EL156より1クラス上のプレート損失60Wのいかにもがっしりとしたビーム管です。規格はEL156に良く似ています。ピンの中央部が少し凹んでいてソケットにパチッと嵌まります。

シーメンスのF2a11です。同特性(ベースの違いのみ)にF2aがあります。EL156よりは少し小さい規格ですが、さすがドイツ管!丁寧で精巧な作りです。プレート損失30Wの高感度出力管です。

フィリップスのEL51です。とても大きなサイドコンタクト管です。プレート損失は45WでAB級で70Wの音声出力が得られます。タイトのサイドコンタクトソケットがありますが、まさにこの球のために作られたのではないかと思うほどです。規格はEL156に良く似ています。