EL12 Push-Pullアンプ
欧州で最もよく使われた中出力のビーム管、EL12のPush-Pullアンプです。EL12は、米国の6L6を高感度にしたような真空管ですが、その音色は上品で濃厚なワイドレンジです。
回路構成は、双3極のリムロック管ECC40を使った簡単なPK分割回路でEL12を振っています。EL12は、自己バイアスでAB1級ppとしました。規格上の出力は、約25Wです。私の通常の視聴レベルからすれば、有り余る出力です。カソード抵抗は、規格では共通で100Ωとなっています。しかし、ペアチューブが入手できないのが現状ですから、調整できるようにしました。つまり、1管あたり150Ω+50Ω(ボリウム)としました。組み上げて調整(DCバランス)しましたが、ほぼ中央でバランスが取れました。結構ばらつきの少ない真空管かもしれません。整流管は、ソケットの関係からムラードのGZ32としました。EL12と同じ形状のAZ12の方がフィットしたかもしれません。傍熱管のppということもあり、S/N比は良好でハムはほとんどありません。アースポイントは、信号側がECC40のソケットと共締めしたラグ板で、電源側がトランスのネジに取り付けたタマゴ端子です。1点アースよりも確実にS/N比を向上できます。
テレフンケンEL12
ヒーター:6.3V1.2A
プレート損失:18W
グリッドリーク抵抗:700kΩ以下
<AB1級pp>
プレート電圧:300V
スクリーングリッド電圧:325V
プレート電流:55〜67mA(1管あたり)
スクリーングリッド電流:6.25〜14mA(1管あたり)
カソード抵抗:100Ω(共通)
負荷抵抗:5kΩ
出力:25W
トランス類は、すべてノグチトランス製です。リーズナブルな価格で種類も多く、特性も良く信頼できます。EL12のソケットの取り付け方ですが、38mmの穴を開けて8mmシャーシに落とし込んでいます。このソケットの取り付け方には「上から」との意見もあるようですが、「はらわた」が見えるようで美観を損ねます。ケースは、リードのMK300を使いました。ボンネット付きの洒落たケースで、銀色の本体はアルミ1mmで加工もし易いです。