ダッシュ球

3−,4−で始まる強制空冷ガラス製真空管です。特にEimacのものが有名です。

米国型番 国産名称 フィラメント電圧 フィラメント電流 第2グリッド増幅率 最大陽極損失
4−65A 3F65 6V 3.5A 60W
4−125A(4D21) 4F21 5V 6.5A 6.2 125W
4−250A(5D22) 5F22 5V 14.5A 5.3 250W
6156 5F22A(ボタンステム) 5V 14.5A 5.3 250W
4−400A 5F23 5V 14.5A 5.3 400W
5F23A(ボタンステム) 5V 14.5A 5.3 400W
4PR400A(8188) 5F23P 5V 14.5A 5.3 400W
4−1000A 7F25 7.5V 21A 1000W
7F25B(ボタンステム) 7.5V 21A 1000W
4PR1000A(8189) 7F25P 7.5V 21A 1000W
3−400Z 5V 14.5A 200(直熱3極管) 400W
3−1000Z 7.5V 21A 200(直熱3極管) 1000W

東芝の3F65(4−65A)です。この真空管はタングステンフィラメントの直熱4極管でジルコニウム塗布プレートでゲッタはありません。音声増幅、変調、発振などに広く使われたプレート損失65Wの送信管です。この真空管は、プレートが赤熱してもプレートのジルコニウムが活性化してガスを吸着して真空を保ちます。上部はプレートで上からのみで支えています。籠のように見えるのはグリッドです。自然空冷または強制空冷で使用します。

Eimacの4−125A(4D21)です。米軍の核施設?の保守用の放出品のようです。この真空管から放射線が出る訳ではありません。フィラメントは、5V6.5Aの直熱4極管で、ゲッターはありません。プレートに塗布したジルコニウムがゲッターの働きをする真空管です。プレート損失は、125Wで、125MHzまで使用できます。

シルバニアの4−250Aです。規格は、プレート損失250Wの強制空冷の直熱4極管です。ゲッターはありません。プレートに塗布したジルコニウムがゲッターの働きをする真空管です。フィラメントは、5V14Aで点灯時から空冷する必要があります。

NECの5F22Aです。Eimacの4−250A同等(正確には6156同等)ですが、ピンが直接ボタンステムで引き出されています。規格は、プレート損失250Wの強制空冷の直熱4極管です。フィラメントは、5V14Aで点灯時から空冷する必要があります。海上保安庁からの放出品です。

NECの5F23Aです。Eimacの4−400A同等ですが、ピンが直接ボタンステムで引き出されています。規格は、プレート損失400Wの強制空冷の直熱4極管です。5F22Aと並べてみましたが、ご覧のように5F22Aのプレートにフィンを追加してプレート損失をUPした真空管です。フィラメントは、5V14Aで点灯時から空冷する必要があります。この真空管は、防衛庁NDS規格のものです。

JRCの5F23Aです。NECとは異なってグラファイトプレート仕様になっています。規格は同じですが、こちらのほうが丈夫に見えるのは私だけでしょうか?

4-1000Aのパルス対応管、4PR1000A(8189)です。高圧を印加して使用するため、この真空管から放射線(X線)が出るので注意する旨の注意が印刷されています。フィラメントは、7.5V21Aの直熱4極管で、ゲッターはありません。プレートに塗布したジルコニウムがゲッターの働きをする真空管です。フィラメント点火と同時に空冷するタイプの強制空冷管で、プレート損失は1kWです。4−1000Aと外観は全く同じです。専用ソケットのSK500はベース側面より強制空冷できる構造になっています。

NECの4−1000A同等管の7F25Bです。4−1000Aはアルミベースになっていますが、この7F25Bはピンが直接ボタンステムで引き出されていて、プレートはグラファイトブロックにジルコニウム塗布になっています。規格は、プレート損失1kWの強制空冷の直熱4極管です。フィラメントは、7.5V21Aで点灯時から空冷する必要があります。通説では、4−1000Aより丈夫と言われています。

フィリップスのYD1130です。Eimacの3−400Z同等管の高増幅率直熱3極管です。主にGG(グランデッドグリッド)でリニアアンプに使われます。

4-1000Aを高増幅率の3極管に改造したEimacの3-1000Zです。高圧を印加して使用するため、この真空管から放射線(X線)が出るので注意する旨の注意が印刷されています。フィラメントは、7.5V21Aで、ゲッターはありません。プレートに塗布したジルコニウムがゲッターの働きをする真空管です。フィラメント点火と同時に空冷するタイプの強制空冷管で、プレート損失は1kWです。アマチュア向けがメインだったので、有名な割には意外と入手が困難な送信管です。マニュアルには、グリッド接地型のB級プッシュプルのオーディオ用途も記載されています。