2A3属
RCAが開発した有名な2A3です。初期のものは1枚プレートでしたが、後に「H型」プレートに変更されました。近年、中国や東欧製の1枚プレートとかプレート損失をUPしたものが生産されていますが、もう2A3とは言えないと思います。そういうものは、ここでは紹介しません。
2A3と言えば、まずはこれでしょう。RCA刻印の1枚プレートです。ゲッターはマグネシウム系で広範囲に飛ばされています。PX4やRE604のようにとても細いフィラメントが何往復もしていて、プレートに均一に電子が到達するようになっています。どこのメーカーも基本的な造りは同じですが、フィラメントの部分がコイルスプリング式と吊り式ものの2種類があります。とても丁寧な造りの真空管です。
CeCoの1枚プレートの2A3です。造りはRCAの物とほとんど変わりません。
シルバニアの1枚プレート(刻印)です。前述のCeCoと比べてもほとんど差異はありません。
アーチュラスの1枚プレート刻印の2A3です。上部の補助マイカに特徴が有ります。右端のような箱に入っています。
東芝(マツダ)と松下の2A3です。もう説明の必要がないくらいポピュラーになってしまいました。コイルスプリングでフィラメントを保持した丁寧な作りです。
ユナイテッドエレクトロンの2A3Wです。ST管から太目のチューブラーに変更されています。このサンプルは独立2枚プレートの物で、シルバニアからのOEMだと思います。特性は高信頼管なのですが、見た目のかっこよさで普通のST管のほうが人気が有ります。
レイセオンの6A3です。あまり人気はないようですが、とても良い音がする真空管です。独立2枚プレートで吊りフィラメントタイプです。
レイセオンの独立2枚ボックスプレートタイプの6A3です。
レイセオンのH型プレートタイプの6A3です。2A3と酷似していて、6A3の文字がないと一見しての区別は困難です。
RCAの6A3です。管壁がラッカー仕上げになっていて内部が良く見えませんが、独立2枚プレートになっています。フィラメント吊りタイプの丁寧な造りになっています。
2A3の6.3Vタイプ、USベースのシルバニアの6B4Gです。通称「独立2枚プレート」です。左の6B4GはJANと書いてありますが、後から販売店で加印したものです。こういう行為は止めて欲しいものです。次は、本物のJANです。6B4Gにはこの他に2A3同様のH型プレートのものや管壁をカーボナイズドしたものなどかなりのタイプがあります。
シルバニアのH型プレートの6B4Gです。フィラメントは吊りタイプで、レイセオンの6A3とほとんど同じ造りです。
こちらはSTCの6B4Gです。CVナンバーで記されているのでそういう真空管と誤解されている方もおられるかと思いますが、CVナンバーは単なる軍用の呼び名です。VT4C=211ということなのです。この6B4Gは、独立2枚プレートですが、極めて近接していてよく見かけるシルバニアの独立2枚プレートとは、全く異なった印象を受けます。強いて言うならレイセオンの4ピラーに似ているでしょうか。
シルバニアの6A5Gです。6A3のフィラメントにカソードスリーブをかぶせた傍熱管です。しかしながら、このカソードスリーブは内部でフィラメントと繋がっており、何のためにこのようなややこしい構造にしたのか、わかりかねます。「ある用途でウォームアップタイムをそろえるため」と言うのが、無難な推論ではないかと思います。
<規格>
名称 | フィラメント 電圧(V) |
フィラメント 電流(A) |
プレート 電圧(V) |
プレート 電流(mA) |
グリッド 電圧(V) |
gm (mA/V) |
内部抵抗 (Ω) |
増幅度 | 負荷抵抗 (Ω) |
出力(W) | プレート 損失(W) |
2A3 | 2.5 | 2.5 | 250 | 60 | -45 | 5.25 | 800 | 4.2 | 2500 | 3.5 | 15 |
6A3 | 6.3 | 1 | 250 | 60 | -45 | 5.25 | 800 | 4.2 | 2500 | 3.5 | 15 |
6B4G | 6.3 | 1 | 250 | 60 | -45 | 5.25 | 800 | 4.2 | 2500 | 3.5 | 15 |
6A5G | 6.3 | 1 | 250 | 60 | -45 | 5.25 | 800 | 4.2 | 2500 | 3.5 | 15 |