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バイオリン(ポラストリー)のある静物
油彩(F50号) 1992

日仏現代美術展入選



楽器をモチーフにした作品は幾つかある。バイオリン・リュート・ギター・フルートなどだ。

中でもバイオリンの色・形・大きさの3拍子揃った理想の姿が実に魅力的だ。バイオリンと一言で言っても個体差があって、どれでもいい訳ではないことを学生の頃に思い知らされた。ある日、絵のモチーフにしようと確か3万円の赤茶色っぽいバイオリンを買った。学生の身で3万円の出費は痛手であったが無理をした。
他の物と組み合わせ一ヶ月以上かけてバイオリンの絵は完成したのだが、その作品を見たある人の言葉になるほど、と頷いた。彼曰く、「この作品、よく描けてて良いと思うのですが、一つだけ気になる点があります。」と。

「何でしょうか?」と聞いてみたら「残念ながらモチーフが安っぽい感じです。」安物のバイオリンを名器のように変身させる腕はなかった。値段相応の味が出た、というわけだ。


「バイオリン(ポラストリー)のある静物」は、3万円のバイオリンから約20年後の作品で、描いた楽器は「ポラストリー」という名器。知人のバイオリン奏者から2ヶ月近くお借りしたものだ。

今回はモチーフが良かったお陰なのか、日仏現代美術展での展示作品となった。