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籠のある静物
油彩(F30号) 1989年 
個人蔵
第二回多摩うるおい美術展にて「優秀賞」及び「市長賞」受賞作品



これまで沢山の静物画を描いてきたが、毎回何をモチーフとするかが最大の課題で、当然のことながら

個性的で魅力ある物を求める。色・デザイン・大きさなど3拍子揃った物が理想だ。


秋になると葡萄やマンゴーなど魅力一杯の色・形を湛えた果物が店頭に並んで絵心を刺激される。生も

のは時間が勝負で、描き終わったモチーフの葡萄が哀れに腐食してたりする。その点「籠のある静物」は

埃が集るまで存分に描きこむことができた。籠の網目描写には気が遠くなるほど時間と神経を要したが

、その労力に見合う造形美を感じた。


描く手順は恐らくは職人が籠を編むのと同じだと思う。先ずは骨組みの縦軸を決め、そこに横軸を互い

違いに編んでいく、という具合だ。








会場でこの作品を見ていた女の子が画面の一部を指さしながら「てんと虫がいる!」と、

反応してくれたのが印象に残っている。