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かわせみ
油彩(F 6号) 2002 




もう何年も前の話だけど、長野県、野尻湖の湖畔を散策していて、草叢にうずくまる一羽の小鳥を見つけた。

掌に収まるほどの可愛い小鳥で、生きてはいたけど目は虚ろ、何かにぶつかり気絶していた風で、優しく掌に乗せ暫く様子を伺った。

世の中にこんなにも繊細で高貴に満ちた羽色を持つ鳥がいるんだ!と感心して見つめていた。

しばらくして小鳥の目に生気が戻ったかと思う間もなく、私の掌から飛び去って行った!

その飛翔の姿を見送りながら、この貴い体験を与えてくれた自然の懐の深さ豊かさへの感謝の気持ちに溢れた。

小鳥の名は『かわせみ』。その姿を清流で見かけた人は数いるかも知れないが、掌に乗せてその色に酔いしれた人は稀ではないだろうか。

<清流の宝石>とも呼ばれ、かわせみがいる川は流れが澄んで自然が豊かな証。

羽がヒスイ色をしているので、かわせみを「翡翠」とも書くことを後から知って至極納得した。