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故郷の渓流
油彩(F30号) 1979年 
個人蔵

模索と試行錯誤しながら絵を描き続けて10年経った26歳の時の作品である。

故郷(愛媛)は地形的に山と海が比較的接近した自然豊かな所で、川幅の狭い急流が多い。


そんな渓流の一つを徘徊してようやく納得の場所を見つけたが、足場が悪くて描き始めるのに結構苦労した。

朝10時から陽が逆光になる午後4〜5時までの一日約7時間に及ぶ制作、それを2週間続けて夏休み休暇は終わった。

まだ下絵段階ではあったが、苦労が実ったと感じられる充実感はあった。



完成したのは3か月後のことで、個展の展示作品の一つとなったが、会場に来ていただいた大学の恩師であるミルワード教授から電話があって「故郷の渓流を譲って欲しい」旨を告げられた。

それから数年経ったある日、ミルワード教授が学会の訪問先だった愛媛から電話されて「Mr.Tsuzuki、あなたの描いた渓流は何という名前ですか?現地に行ってみたいです」との言葉に驚いた。今なお心に残る言葉である。