愛媛県の実家には年2回(夏と正月)帰るのが習慣だった。
2010年の冬、母親が庭の植込みで見つけたと、きれいな鳥の巣を掌にのせて持ってきた。
巣は既にかなりの日数が経っている様子で、埃や枯葉の断片などに覆われ如何にも空き家といった風。 |
巣の細工を壊さないよう用心しながら掃除して、改めてその造形美に心惹かれ、絵に描いてみようと思った。
原寸より何十倍も拡大して鳥の名人技を披露したくなった。
外側の骨組みには大きめの蔓性の材料を使用し、内部はシュロの細毛のような柔らかい素材を用いて居心地良さそうに仕上げている。
どこぞで見つけたビニールの紐まで繋ぎに利用しているあたり、現代っ子と言えなくもない。 |
小鳥の在りし日の温める姿を想像しながら四つの卵を加えてみた。ムクドリか何かの仄かな青緑色の卵を、好奇心一杯の目で見ていた幼い頃の記憶が甦ってきた。
巣立った鳥の声が森に木霊しますように!森の木が伐採されませんように! |
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