キスは好き。
何度も何度もしたくなる。
例えば。
朝、起きた時。
作った朝食を褒めて貰う時。
お互いの行って来ます。
お帰りとただいま。
夕食が美味しかった時。
おやすみ。
挨拶だけでも、こんなに。
それから、二人でTV観てる時とか。
横顔がカッコイイ時とか。
目が合った瞬間とか。
淋しい時とか。
もう、数え切れないよ。
いっぱい、いっぱいしたい。
場所もね。
口…は、勿論大好きだけど。
おでことか、ほっぺとか、まぶたに目の端っこ。
こめかみ。
口の横、鼻。
指先。
…全身。
アナタにしてもらうのが、凄く好き。
ドキドキして、ふわふわして、タマラナイ。
くい。
彼の服の裾を軽く摘んで、振り向かせる。
「ん?どした?」
「…」
優しい眼差しに、思わず下を向く。
言える、訳ないし。
したいのと、して欲しいのと、それを口にするのは全然違うから。
いつだって、ここまでが精一杯。
ナサケナイ。
ちゅ。
柔らかい音と感触に慌てて顔を上げると。
目の前には優しくてカッコイイ顔がどアップ。
瞬き、数度の間に、相手の両手が顔に添えられて。
今度は何度も顔中にキスの雨。
甘い甘いソレにとろりと脳が溶ける頃、ゆっくりと開放される。
「…好きだね、キス」
「…ん…。すき」
アナタにしてもらうの、気持ちいい。
「俺以外としてたら許さないトコだけど」
からかう口調にちょっと、心が拗ねる。
でも、口に乗るのは素直な感情。
「…他のひと、は、や」
アナタがいい。
アナタだけ。
「可愛い事、言ってくれる」
「…?」
「ご褒美に、帰ったらいっぱい甘いのしてやるよ」
「…ん」
「だから、急いで帰ろーな」
「うん」
キスは好き。
アナタにして貰う、甘い甘いキス。
ねぇ、お願い。
一晩中、していて?
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