愛してるって言って。
恋してるって想って。
憎んでるって睨んで。
泣いて。
笑って。
怒って。
呼んで。
見て。
余所見しないで。
全部頂戴。
甘い吐息なら飲んであげる。
恨み言なら聞いてあげる。
だから。
全部頂戴。
存在全て。
その瞳に映すのは俺だけ。
その耳が聴くのは俺の声だけ。
その唇が紡ぐのは俺の名だけ。
アナタの全てを頂戴。
「…怖い」
「どこがぁ?」
「アンタのその考え方よ!」
「あ〜。確かに」
「何で?幸せじゃない」
「それこそどこがよ」
「愛情も恋情も憎悪も怨恨も生じる全ての感情を自分一人に向けてくれるなんて最高に幸せでしょ」
「…俺は嫌だな」
「解らないなぁ。…俺、あの人が他のヤツに関心持つのなんか絶対嫌だけど?」
どんな感情であれ、自分以外のヤツに心奪われるなんて、ゴメンだね。
「まぁ、俺大人だし?我慢してるけどね。…手に入れてない、て誤魔化してるから」
本当はどんな時でも俺に囚われていて欲しいんだけどね。
そこまでは言わない。
求めない。
あぁ、でも。
そうしてくれたらどれ程の幸福感を味わえるんだろう。 |