「・・・何か、熱っぽいな」 自分自身の身体の不調がヤケに気になる。 「風邪でも引いたか」 宇宙風邪はタチが悪い。下痢から始まって嘔吐、関節痛、発熱、咳、胃痛、頭痛、ありとあらゆる身体の不調が一度にでる。 言わば、“一思いに殺してくれ”という程の苦痛を味わうのである。 「薬でも貰いに行くか」 フラフラとした足取りで、医務室を目指す事にした。 「・・・・この薬は、飲むと眠くなる作用がある為、車の運転や細かい作業をすると危険なので極力しない様にして下さい、だと?」 アルトの操縦は車の運転や細かい作業ではないだろう。 「水、水」 薬が嫌いな為、口に放り込んで水を一気に飲み干した瞬間、糖衣錠の筈なのに何故か苦い、そういう表情をする。癖である。 「敵もこないだろうからー」 言いかけた言葉を遮る様に警報音が鳴り響く。 「敵機、アステロイドに出現!その数、20!」 「各員、戦闘配置につけ!」 慌ただしいブライトの声が響く。 「、まあ、アルトは車ではないから」 ジャケットを着込みグローブをはめて、アルトアイゼンの操縦席に乗り込む。 「アルトアイゼン、出撃るぞ」 宇宙空間に飛び出す。そのGに薬の副作用がその魔の手を広げ出した。 「ちっ、めまいがし始めた」 ふるふると頭を振る。しかし、振ればふる程めまいがひどくなる。 刹那、敵の攻撃がアルトに当たる。 「キョウスケ大丈夫?」 思わずエクセレンが声をかけた。 「俺の、」 「キョウスケ?」 「俺のアルトに当てやがったのはどいつだあぁっ!装甲厚いからって修理代は一番高いんだぞぅ!ぶっ殺す!」 言うが疾いか、リボルディング・ステークを繰り出す。おまけにエクセレンを巻き込んで合体技をかます。 「絶対安静ね」 キョウスケが飲んだ薬の注意書きに“MS及びMA、PT等”の操縦厳禁が加えられたのは言うまでもない。 |