団員のひとりごと 第18回

担当: 第二バイオリン 川上

シャコンヌ奮闘記(その1)

 バイオリン音楽の金字塔と言われ、一流演奏家でも期を熟すのを待って初めて録音を残すというバイオリン音楽の名曲中の名曲=シャコンヌに、なんとチャンバラ・アマチュアバイオリン弾きの不肖=私めが取り組むようになったのが約半年前のこと。

 今回は、この間の悪戦苦闘ぶりをちょっと書いてみたいと思います。もちろん、この悪戦苦闘は、現在も、、、どころか未来永劫続くのは間違いありませんんが(^^;)。

 クラシック音楽を聞き始めて間もない頃、ヨーゼフ・シゲッティのCDでシャコンヌを初めて聴き、とても一台のバイオリンで弾いているとは思えない、その多声感あふれる音楽に大変魅了されました。自分がバイオリンを始めてみたところで、長いことシャコンヌは高嶺の花と思っていましたが、カルテットを一緒にやっている新行内くんが、休憩の際にそのシャコンヌを弾いているじゃあ〜りませんか!まあ彼は上手いには上手いですが、神様のように崇拝しているほどでもないわけでして、「まったく手が出ない、、、というほどでもなさそうだ」と思い始めたのが事の始まりでした。

 個人レッスンで習っている先生にシャコンヌをやりたい旨、お願いすると快く引き受けてくださりレッスン開始。しかしながら、はじめに「シャコンヌはソロバイオリンの最も重要なレパートリーの一つだから、忍耐が必要ですよ」と念を押されたのを覚えています。

 さて実際弾いてみると、まず出だしの2の指、4の指で押さえての重音からして指が引きつりそうになる。しかも、長大な名曲の幕開けに相応しい荘厳な混じりけのない響きとは似ても似つかぬひしゃげたような音!!う〜〜ん、こりゃあ左手の押さえも指がつりそうだし、さらに右手のボーイングにも大いに問題ありだな、、としょっぱなから基礎力のなさを自覚したのでした。基礎がなっちょらんので、重音を十分に伸びやかに響かすことができず、その後に続くフレーズもまったくもって悲惨の一言!(;;)。こういう音で弾いているから、世間様ではよくバイオリンの音を「ギ〜〜コ、ギ〜〜コ」だとか、“ノコギリの目立て”などと形容されて誤解をばら撒いてしまうわけだな、、と妙に納得した次第でありました。

 先生は、「ビブラートをかけて!」と言いますが、「はいはいかかってます、手がプルプル震えてますって、、」という状態で、柔らかい滑らかなビブなんか不可能では!?

 それにしても押さえにくい重音のオンパレードで、まあなんとか弾き進みますが全然音楽になっていない。それでも、次の部分へ行くと、これまた重なった音がそれぞれ独自に動きを持って響きあうのに、私が弾くと主旋律!?の方ばかりに気をとられていて、低音の方の流れがまったくない!これでは、バッハを弾いている意味がないにも関わらず、、、、ついつい。おまけに主旋律?もぶつ切り状態で、「もうや〜めた!」と言い出したいくらい。

 しかも最初に接したシャコンヌがシゲッティのものだったためか、本人はシゲッティばりに“神の前に一人立つもの”のような勢いで弓を振り下ろして弾いているのだが、はっきりいって乱暴なだけでシゲッティには似ても似つかぬ様でありました。

 う〜〜ん!!正直言って、基礎がなっていないのをイヤというほど感じましたので、練習のつど、ロングトーン、スケールなどにじっくり取り組むようにした次第であります。

 その先に行くと、アルペジオでバッハらしい旋律が続く個所が出てきますが、同時多発重音から開放されて、まるで“大リーグ養成ギプス”(ちょっと古い!?)が取れたような気分!ここは比較的弾きやすいのでいい気になる。いい気になる分、テンポが速くなってしまい先生に注意される。要するにまったく全体としての音楽を感じていないわけですな。

 あれから、半年、もう何百回弾いたか分かりませんが、アマチュアなりにも満足のいく響きにはならず、ほんと苦労してます。この曲の奥深さを垣間見た思いで、先生に「この曲は一生をかけての課題ですね」と言ったら文字通りに一生の課題になりそうなご発言「そいじゃ、一年で1ページ進むように頑張りましょう」(@_@)

 でも、いいですね〜!この曲は、何度弾いても飽きません。まだまだ下手っピーなんですが、弾くのが楽しくて楽しくて仕方ありません。

 もう少し進歩したら、「シャコンヌ奮闘記(その2)」を書きたいと思います。

 全国のバイオリン愛好者のみなさん、頑張りましょう!!
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