世附百万遍念仏

桜まつり

山北町内の行事

神奈川県指定無形民俗文化財

世附の百万遍念仏　付獅子舞

平成18年の開催日
2月11日（土）　１３：００～１５：００
2月12日（日）　１０：００～１５：００

主催：世附百万遍念仏保存会

場所
　能安寺　　

足柄上郡山北町向原

交通
●小田急　新松田駅より富士急行バス
山北駅・中川温泉・西丹沢・玄倉行き
向原下車　徒歩3分

●JR御殿場線東山北駅下車　徒歩2分

600年の歴史を持ち、一般念仏講とは形式が異なり大数珠を
巨大な滑車に取り付け、念仏の唱和とともに屈強な青年たちが
回転させるもので、全国的にも珍しい奇習とされており、
鳥刺しの付く獅子舞が付属している。
（世附百万遍念仏保存会資料より）

見学者に配られたパンフレットより

沿革および概要
　世附の百万便念仏は毎年２月１５日から１７日まで三保世附の能安寺道場で行われてきました｡獅子舞は百万遍とは別の来歴をもち、別々に行われてきましたがいつしか習合したものです｡
　昭和４９年の三保ダム建設で世附地域が水没し、一時中断していましたが昭和５２年に山北町向原の能安寺道場で復活しました｡以後､毎年２月１５日に近い土､日曜日の２日間行われています｡
　百万遍念仏といえば､善男善女が寺院の本堂に円座して､中央に導師を迎え、大数珠を繰りながら念仏を唱えることを、京都智恩寺型百万遍念仏といいますが、世附の百万遍念仏はそれとは異なり、大数珠を巨大な滑車に取り付屈強な青年達が回転させる形式で､全国的に珍しい行法であり史証はないが６００年前の南北朝時代の発祥と伝えられています｡

　
　これが終わると獅子舞が始まります｡この獅子舞は１８世紀末から１９世紀初期に､甲州または伊豆方面から流入したものといわれております｡この獅子舞は代神楽のうちでも特に”鳥さしのつく獅子舞”と呼ばれるもので､これを｢神楽｣と呼んでいます｡獅子の舞には、姫の舞､幣の舞､狂いの舞、剣の舞の四曲があり､遊びの神楽には二上りの舞､おかめの舞､鳥さしの舞の狂言三曲があります｡
　また､全行事が終わる１８日に浄め祓いの舞(悪魔祓い)が行われていました｡これは獅子舞が世附地域の全戸に幣束をもってお祓いをして回り、最後にその幣を永歳橋から流していましたが、現在ではそれを大口橋で行っています。

　　　　　　　　　　　　世附百万遍念仏保存会


大数珠を回す保存会の青年　2001/2/18		神楽｢幣の舞｣　2001/2/18

百万遍念仏　百万遍は通念として､念仏門の後生為楽の行事とされていますが､世附の百万遍念仏は先祖の霊を慰め､地域の安全祈願と､悪疫退散でありますが､また､雨乞いに行われたとも言われています｡　数珠の数は現在３０２個､古くはもっと多かったといわれています｡長さ９m､丹沢の水桃木で作ります｡滑車ははしごのような枠に掛けその側に大太鼓５個を並べます｡さらに小机を据えて算木をおき、念仏の全進行の指揮をとる指揮者によって､念仏衆が念仏を唱え､算木によって数珠の回転数を数えます｡　道場の天井には､山奥から刈り取ってきたスゲ草で縄を作り赤､白､青､黄､黒の５色の小さい幣をつりさげて､しめ飾りを天井いっぱいに張ります｡さらに中央の高いところに不動明王､四隅にそれぞれ白諦白竜王､黒諦黒竜王､青諦青竜王､赤諦赤竜王と書いた紙を下げます｡これを梵天と呼び､修験道､陰陽道の儀軌によるもので、仏法とは異なっております｡また､正門入り口には｢三門神､牛頭天王」右側に｢大天狗｣左側に｢小天狗｣と書いた紙を張ります｡これは道場を荒らしにくる悪霊を追いはらうための守り札とされております｡		念仏が始まると、修験者に扮装した司祭者が道場の正面に坐り、数珠車に向って九字の印を結び、白幣を持って唱言をします｡それが神寄せで司祭者を神寄せ山伏といい、山伏は｢六斉念仏｣を唱えます｡神寄せが終わると大太鼓の音につれて念仏衆により念仏が始まります｡それと同時に青年たちが１人ずつ数珠を手繰って、引き寄せては投げて、グルグルと数珠をまわします｡長蛇のような数珠が波がしらの曲線を描いて回転するのが巧者のわざとされています｡　さらに念仏芸として注目されるのは、念仏声に平音（ひらね)中音(ちゅうね)高音（たかね)の三階音があります。指揮者が白の指揮棒を差し出すと平音で、色紙幣は中音、白幣を差し出すと高音で、三階の念仏声にあわせて行われます｡　念仏最後の日は、太陽が西に入らぬ内に終るよう進めます｡修験者が諸神の昇天を唱えると、念仏衆は道場の中央に大太鼓１個を持ち出し、太鼓の周囲に全員集まって、融通念仏を十回唱えます｡修験者が最後の太鼓の打ち終りを告げると、同時に道場の天井に張られたシメ縄を、道場に集まった人々の手で奪い取ります｡そのシメ縄を家に持ち帰り戸口に掛けておくと、疫病除けになると言われております｡