買い物帰り

1人で外出した帰りに出会った時の会話
ネコ缶 (あ、葉月くんだ……なに真剣に見てるんだろう……。)
葉月くん!
ん?なんだ、おまえか。
なんだとはなによ。……あ、買い物?ねえ、なに買ったの?
食べ物。
……ネコ缶……?な、なに!? まさか……これ、食べるの……?
ああ。
や、止めなよ!?
もっと、普通の人間が食べるもののほうがいいって!?
……そうなのか?
そうなのか、って……。
美味そうに食べるんだけどな、あいつら……。
……あいつら?
ネコ。体育館の裏に棲んでるヤツら。
あ……そ、そっかあ。そうだよね。アハ……ハハハ……。
ああ、それに、なかなか美味いよ、これ。
(………………。)
いい男リサーチ あ、ねえちゃん!
あれ、尽。なにやってんの?こんなところで……。
いい男リサーチ!
はぁ?
葉月を尾行して、観察してたんだけど……
そしたら、睨まれちゃって……。

え?
………………。
わっ!?葉月くん!!ご、ごめんね!弟が迷惑かけたみたいで……。
……そうなのか?
弟が睨まれちゃったって……。
……ああ、そうか……俺はただ、どこかで見た顔だと思って。
なんだよ。ビビらせんなよ、葉月!あせって損したぜ。
あんたは黙ってて!……ごめんね、葉月くん。
べつに……それじゃ、俺、行くから。
あ、待てよ、葉月!
もう、尽!みっともないからやめて!!
人気モデル (あれ?人だかりが出来てる……何かの撮影かな?)
(……あ、あれは!)
おつかれぇ! 葉月ちゃん!?
今日もいい写真撮れたわぁ〜、ありがとねぇ。

……それはどうも。俺はこれで……ん?
葉月くん、見っけ!
……おまえか。
今日も、お仕事なんだ。
雑誌の取材。
わあ〜、スゴイね!ねぇねぇ、取材ってどんなこと話すの?
……はい。……いいえ。
……え〜と……それは、いったい……?
……コメント。
はぁ……で、でも、”はい”と”いいえ”だけで、記事になるの?
さあ……読んだことないから、俺。
どっちみち、ヤツら書きたいこと書くし……。

(そんな身もフタもない……。)
イヤー!なんであのコ、葉月クンとお話ししてんの!?
信じらんない!!厚かまし過ぎ!

あ、ごめんなさい……わたしは、あの……。
じゃあ、俺……行くから。おまえも早く帰ったほうがいい。
(たいへんなんだなぁ、葉月くん……。)
昼寝 (買い物に夢中で、ちょっと遅くなっちゃった……。)
(……あれ?あそこのベンチで寝てるの、葉月くんだ……。)
葉月くん!
……おまえか。
公園でお昼寝?もう遅いから、風邪ひくよ?
……遅い……。何時だ、今?
え〜と、今は……。
……またやった。
ねえ……、もしかしてモデルのお仕事、遅刻しちゃったとか?
いや、遅刻って言うより……もうみんな帰っただろ、さすがに。
”さすがに”って!きっと、電話にメッセージとか入ってるよ!
そうだな……。
…………?
静かな一日だと思ったんだ……。
???
電話、家に忘れた。
えぇ!?じゃあ、わたしの電話で連絡を……。
あぁ、俺、向こうの番号知らない。
じゃ、じゃあ、どうしよう……。
どうしようもないな……いいから、おまえは早く家に帰れ。
うん、でも……。
そんなに、心配するな。いつものことなんだ。……じゃあ。
(…………”いつものこと”なんだ……。)
ファッション感 ○○。
お買い物?
いや、これから仕事。おまえは?
うん、ショッピングだよ。
……なあ、みんなよく”ショッピング”って言うけど、
いったい、なに買ってるんだ?
洋服とかアクセサリーとか……
葉月くんだって、洋服買いに行くでしょ?

洋服……いや、俺、自分で服買ったことない。
えっ!?そうなの?
撮影で使ったの、もらったり、
ショップから頼まれたの着たり、いつもそんな感じだから……。
へぇ……ちょっとうらやましいかも。
でも、着たく無い服もあるんだ。
あ、そうか……それはそれで大変だね。
まあな。
ねぇ、葉月くんが着たくない服って?
ボタンが多いヤツ。面倒くさいだろ、着るの。
…………。
じゃあ、俺、仕事行くから。
うん、がんばって。
(葉月くんってヘンなところが子供みたいだな……。)
公園の2人 (あれ?あそこのふたり、葉月くんと守村くんだ。)
おーい!?
……あ、○○さん。こんにちは。
今日はどうしたの?ふたりして。
はい、今ここで葉月君を見かけて、
それで、つい話し込んでしまって。

……じゃ、オレ、仕事あるから。
あ、はい。がんばって。
じゃあね。
この公園でときどき見かけるんです。葉月君。
そうなんだ……守村くんと葉月くんって、どんな話するの?
そうですねぇ……植物のことや、将来のことや……
実は、話すのは僕ばかりですけど。

(やっぱり……。)
でもずいぶん前、中学の頃……
彼、一度だけ話し掛けてきてくれたことがあって……。
僕が、校庭で花壇の手入れをしていたら、
”花が好きなんだな”って。
ただ、それだけなんですけど、
僕、その頃よくひとりでいたから、とてもうれしくて。
葉月君、口数が少ないから
ときどき誤解されてしまうみたいだけど……。
僕は彼と話すの、好きです。
……ちょっと、植物と話すのに似ています。
……いけない、買い物の途中でした。では、僕はこれで。

(そっか……守村くんと葉月くん、けっこう気が合うのかも。)
絵のモデルは…… (あれ?あそこにいるのは……。)
ダメだ!動かないで!
今のキミのポーズがボクをインスパイアするんだ!
いや、俺、これから仕事が……。
ボクは気にしない!さあ、もう一度さっきのポーズを見せて!
……おい。
どうしたの、ふたりとも?
やあ、○○くん。ごめんね、今、取り込み中なんだ。
……取り込み中?
いや、べつに……こいつが絵のモデルやれってきかなくて……。
じっとして!
三原くん……葉月くん、困ってるみたいだよ?
どうして?
だって、急に言われても、みんな予定があるし。
……じゃあ、俺、そういうことで。
あ、葉月クン!?
葉月くん、きっと本当に忙しいんだよ。
……そう……それでも彼は、いつかボクのところに戻ってくるよ。
……そうなの?
だって彼は、美を伝えるためにこの世に遣わされたんだから……
ボクと同じように……。
○○くん、そうだね?
う、うん……そうかな。
理解不能 (あれ?氷室先生と葉月くん。)
……それでは質問する。なぜ君は街中で眠っている?
……はあ、眠かったからだと思います。
……それはそうだろう。
しかし私が聞いているのはそういうことでは無い……。
よろしい、質問を変える。
例えば、君は眠たければどこでも寝てしまうわけではないだろう?
……いえ。寝ます。
待ちなさい……質問の意味を理解しているか?
はい、たぶん。
……では、道を歩いている途中、眠くなったとする。
君はどうする?
……寝ます。
……道端でか?
はい。
………………。
今日のところは行ってよろしい。分析する時間をもらいたい……。
がんばってください。
……彼の言動は難解だ。しばしば私の理解を超える。
しかし、私はなぜか彼に深いシンパシーを感じる……。
○○。それは何故だ?
は、はい!?えーと、ですね……。
(似たもの同士だからですよ。氷室先生。)