ラプテフ本島から数キロ南に離れた所に島がある。
神々が降りる島とも呼ばれるその島は海の神ラテスと古代裁きの神ニスクの住まう島。
その島は音楽が流れる島とも言われる。
--- 仲間 : Another Meeting ---
海を臨みながら、歌を歌う。
それはこの島にいる時の癖の様なものだった。
本島から離れたカイサリー島。
ここから全て始まる。
不安を振り払うように僕は歌い続ける。
「マレイグ?」
背後に目を向ければまるで迎えに来たかのようにチェスターとクロンメルの二人が立っていた。
「落ち着いた?」
「どうだろう?」
そのチェスターの言葉に苦笑いをしながら答える。
「何かが足りなくってつい歌う。スタジオで歌えばいいんだけど、どうも落ち着かなくって」
「マレイグの気持ち、俺も分かるよ」
「ボクもちょっとだけね」
そう言い合って笑い合う。
ここには立派な音楽スタジオが存在している。
それを無料で使えるなんてあり得ないくらいだった。
デビューが決まった僕たちはこの先どうなるかなんて分からない。
それなのに、ここを提供してもらえた。
「でもね、それってボク達の実力が認められたって事でしょう?だから思い切っていっぱい使わせてもらおうよ。誰にも文句言われないように。んん、言わせないように」
チェスターの言葉に僕とクロンメルは頷く。
「はぐくむ海よ、恵みの太陽よ、豊かな大地よ。我々にとこしえの恵みを」
ふと思い出したメロディを言葉に乗せる。
この島に伝わる歌だ
「この歌のように残る様な歌を歌いたい」
「この歌に負けない曲を作りたい」
「この歌に勝つ曲を」
三人で誓い合う。
これから先の未来を約束する。
「ボク達が変えよう、この世界を」
「大きく出たなぁ」
チェスターの言葉にクロンメルは呆れる。
「簡単でしょう?音楽で変えられるんだよ」
「音楽で人は変わる。だったら、変えられるかも知れない」
チェスターの言葉に僕は頷いた。
これから先の未来の為に。
僕達は音楽を奏でる。
この島に選ばれた僕達の望み。
海を臨んで歌を歌う。
これから先の未来の為に。
チェスターの曲と、クロンメルのコーラスと僕の歌で。