夜中にふと、目を覚ます。
無意識につながれた手と穏やかに眠る君を見ると、何故か無性に起こしたくなる。
息がかかるほど顔を寄せても、君は気づかない。
「起きてよ」
「話をしよう」
つぶやく声も聞こえない。
時々、あまりにも静かだから、寝息を確認するのが癖になった。
「側にいて」
「居なくならないで」
君は以前そう言ったけれど、それは正直言ってオレの台詞。
「側にいて欲しい」
「居なくならないで欲しい」
何度ココロに願って、何度言葉に出しても、ある日突然居なくなりそうな、そんな恐怖に時折おそわれる。
「……何してるの?」
「何って…」
いつ目を覚ましたのだろうか。
眠たげな目で、彼女はオレを見ていた。
「…いつ起きたんだよ」
「今」
「……そうだよな……。まだ、夜なんだからもう少し寝てろよ。起きる時間までまだあるし」
「……ん…そうする」
そう言って彼女はゆっくりと眠りに落ちていく。
声を聞いたら、不安が消えた。
なぜだか、無性におかしくなる。
どうしようもなく、彼女が居なくちゃオレは駄目になりそうで。
時々は、起こしてみよう。
声が聞きたいから。
瞼の奥の瞳が見たいから。
君は怒るかもしれないけど。