大地の物語 序章

 薄暗い空はいつも冷たい雪を降らせる。
 いつ止むとも知らない雪を降らせる雲の上には岩盤があることを地上に住む者は誰もが知っていた。

 後に神の卵と呼ばれる隕石が落ちたのはそう遠くない前の事。
 隕石の影響で世界中が厚い塵に覆われ、陽の恵みを求め、塵の上に昇ろうとした。

 そのきっかけはそんな些細なことであったにもかかわらず。

 天井に空中都市を設計しようと考えたのは各都市の代表だった。
 提案者は蒼天都市とよばれているヴァンジェロの指導者ミクトラン。
 控えめな性格ではあったがある種のカリスマ性がありヴァンジェロ周辺には彼の支持者が多かった。
 ミクトランは世界中より技術者を労働者を雇い、空中都市群を作り上げたのである。

 だが、事件はそこから始まる。

 控えめな性格と思われていたミクトラン。
 空中都市群をそして管理システムを搭載するダイクロフトをそして完全に天上に大地を作成するベルクラントを完成させるやいなや地上に宣戦布告を出したのである。

 だが、その宣戦布告は事実上の地上に住む人の殲滅を意味していた。
 ベルクラントにつけられたレンズは集束レーザー砲であり、その攻撃を狙い受ければひとたまりもなかったのである。

 そうした状況に地上に住む人は、声を上げた賢王と呼ばれるほどの名将、レアルタの指導者メルクリウス=リトラーの元、天上軍と戦うことを決意したのである。

 後に、天地戦争と呼ばれるこの戦いの幕はこうして切って落とされたとも言われている。

 常に劣勢と言われていた地上軍が大逆転劇を迎えることが出来たのは、ある時期に現れた若い逸材だというのはもちろん言うまでもなかった。

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