「コレ、似合うと思うんよ。はどう思う?」
………金髪のカッコいいお兄さんに、見せられたモノについてなんと答えて良いか正直分からなかった。
滅多に見かけない男のスカート姿なんて。
皇帝達の暇つぶし2 修学旅行みたいな?
お買い物、お買い物。菊ちゃんのお使い〜♪昼間はそれ程寒くないんだけど、夜はめっきり寒くなってきた。
冬ももうすぐだなぁと思うと、どんな事が待ち受けてるか楽しみになる。
秋はまだ終わらないけどね。
「日本のお菓子ってチョーうまいと思わんー?」
「アメリカにいた時のお菓子は色がたくさんだったなぁ」
「なぁなぁなぁ、ピンクのお菓子ってあったん。あったんやったら、買ってきてくれればよかったんしー」
「ピンクのお菓子?えぇーまずそうだよ」
「そう思ってるのはトールだけだと思うんよ。俺は思わんしー。なぁなぁピンクかわいいと思わん?」
目の前を高校生ぐらいの二人が歩いてる。
金髪の少年と金茶色い髪の少年。
「トール、トール。そう言えばまだ菊の家につかないん?俺疲れたんよ」
「えー、まだ10分も歩いてないよ。それに、歩こうって言ったのはフェーリャじゃないかー」
「そんな事知らんしー。今からポーランドルール発動!俺のターン!って言う事で。トールは俺の事負ぶって菊の家まで行くんだしー。言う事聞かなきゃ、お前の首都がワルシャワになるしー」
「な、なにその理不尽なの。やめてよねーフェーリャは!大体、歩きたいって言ったの、フェーリャなんだよ!」
「俺、そんな事言ってないしー。大体歩いた方が気持ちいいって言ったのトールだしー、俺じゃないんよ」
「あのねー」
………もしかして、ポーランドとリトアニアの二人?
菊ちゃんの名前が出てるし『お前の首都がワルシャワになるしー』って言ってるし。
声かけるか…。
彼らが向かっている道は本田邸に向う小道を通り過ぎているし。
「あのー。菊の家って聞こえたんですけど。そっちだと行きすぎてますよ」
名前、知らないんだよね。
あたしがとりあえず呼び止めると二人はキョロキョロしてあたしが呼び止めたと言う事を分かったのかあたしの方までやって来る。
「えっと…」
金茶色の髪にコバルトグリーンの瞳のフツ面(多分リトアニア)があたしの方見て困った表情を見せる。
あたしも声をかけたはいいが何と言っていいのか分からない。
「お前、なんで菊の家知ってるんよ」
「えっと…です…」
って名前名乗れば分かるなんて思わないけど、
「あ、菊さんの妹さん!だよフェーリャ!」
「え、菊の妹っ?!ピャッ」
あたしが誰だが気づいた金髪にジャスパーグリーンの三白眼の男の子はフツ面の後ろに隠れる。
人見知り機能が発動してるなぁ…。
あたしもどっちかって言うと人見知りなんだけど。
「あ、ゴメンね。俺は、トーリス・ロリナイティス。リトアニアです。で、コッチの隠れたのがー」
「フェリクスだしー。ぽ、ポルスカ様って呼ぶこと許してやるんよ。ピャッ」
トーリスさんから顔を出したらすぐに隠れてしまう。
「フェーリャ、彼女に失礼だよ。ゴメンね、フェーリャ…フェリクスは恥ずかしがり屋なんだ。彼はフェリクス・ウカシェヴィチ。ポーランドだよ」
と、トーリスさんが教えてくれる。
やっぱり、ポーランドとリトアニアの二人だったんだ。
「えっと…案内しますね」
「こっちじゃなかったっけ?」
トーリスさんは向かおうとしていた道を指す。
「この道慣れないと迷うんです。あたしも最初のころよく迷いましたよ」
この辺は家が結構多い上に、本道の一本裏がわにある。
車の往来は少なく、もっとも、本田邸へ向う道で車を利用するのは本田邸に住む菊ちゃんとあたしか本田邸に用事がある人だからそんな困る事なんてないんだけどね。
よく散歩道とか抜け道にはなってるけど。
菊ちゃんの話、くるん兄弟は一人じゃ絶対来れなくて迷って必ず菊ちゃんに助けてーって電話してくるんだって。
仕事の時は迎えの車があるから大丈夫なんだけどね。
小道を入り進んで行くと、本田邸の門が見える。
「、お帰りなさい」
玄関周りを掃除してた菊ちゃんが、帰ってきたあたしを見つける。
その後ろのリトポーの二人も。
「おや、トーリスさんにフェリクス君。お待ちしてましたよ。なかなかいらっしゃらないのでどうなさったのかと心配していました」
「本田さん、済みません、フェーリャが……」
「きくー。トールが変な道行って迷わせたんだし。ヒドいと思わん〜?」
「…………お疲れ様です。お二人とも、玄関で立ち話でも何ですから中へとどうぞ」
菊ちゃんが二人を出迎えた。
リトポーの会話を聞いてると…トーリスさんって…ホント苦労してるんだなぁってありありと分かって思わず苦笑してしまった。
「二人は何で日本に」
「遊びに来たんよー。あと買い物?」
「久々に休暇が取れたので、旅行でも良いかなって思ったら、フェーリャが」
「そうですか」
きっと、日本がいーんよって言ったに違いない。
それで決まったに違いない。
菊ちゃんとあたしは二人で確信した。
「なぁなぁ、オレ買い物行きたいんよ、原宿いかん?」
原宿、そう言えばこのところ行ってない。
「原宿ですか〜また高度なところに」
「カワイイ奴が売ってるらしいんよ。だからオレ、それを買いにきたんだしー」
「…と言うわけです……」
フェリクスさんの行きたい所は分かった。
「じゃあ、トーリスさんの行きたい所ってドコですか?」
「え?オレ?」
「はい」
フェリクスさんだけじゃなくって、トーリスさんの行きたいところも聞かないとね。
と思ってたんだけど……。
「トールもオレと同じところで良いんよ」
とフェリクスさん。
「あのねぇ、オレだって一応行きたい所ぐらいはあるんだよ」
「そんなの知らんし〜」
「はぁ」
「………マジであるん?」
「別に」
「……………トールが行きたいって言うなら行ってやらん事もないしー」
と目の前で繰り広げられる幼なじみ(元連合王国)の会話。
なんか、和むね。
拗ねたふりしたトーリスさんに気がついたのか、フェリクスさんが気を遣ってる。
「別に大丈夫だよ。まぁ、ちょっと、浅草行ってみたいなって思ってただけだからさ」
「じゃあ、浅草もいくしー!決定だしー!!」
フェリクスさんの言葉に浅草に行く事にもなりました。
「良かったですね、トーリスさん」
喜んで菊ちゃんとわいわいやってるフェリクスさんを見ながらあたしはトーリスさんに話しかける。
「まぁ、オレの日常の基本はフェーリャの我が儘に付き合うって事だから、ちゃんは気にしないで」
そう言って笑顔を見せるトーリスさんにあたしは曖昧に頷く事しか出来なかった。
「そうだ!。にオレの事、フェリクスさんとかじゃなくって違う風に呼んで欲しいんよ。にもポルスカ様って呼ぶ事許すし〜」
「誰もポルスカ様なんて呼んでないよ。ちゃん、オレもトーリスでいいよ」
それ以前にポルスカは国名だ。
「トールの事はどうだっていいんだし〜。それよりもオレの事だし」
「どうだっていいって……フェーリャ…」
うん、自由奔放だなぁ。
「じゃあ、フェリクス君とトーリス君で」
フェリ君じゃ、フェリシアーノもいるから呼ぶとき迷うもんね。
「まぁ、それで良いんだし」
「よろしくね、ちゃん」
こちらこそ。
と言うわけで、私が原宿へのお買い物おつきあいとなったわけですが……。
「なぁなぁ、コレ、かわいいと思わん?オレに似合うと思うんよ!」
「あのねぇ、それ女の子用」
「トールじゃなくってに聞いてるんだし、オレだったら似合うし。もそう思わん?」
「………そ、そうだね」
大丈夫、最先端のちょー端っこにいる男の子ならスカート履いてる。
リアルに履いてる人………店員さんは履いてた(タイトなロングな)けど、一般人で履いてる人見ない。
テレビで見た事あるけど、実際問題スカート履いてる男の人って100人に一人とか二人の割合じゃないのかなぁなんて思ったりするけど。
きっと、大丈夫。
「似合うと思うよ」
「マジー?オレ、ピンク好きなんよ。ピンクってどー思う?」
………ピンクのスカートは着こなし難しいと思うから止めて。
フェリクス君が『男の娘』でも多分止めるよ。
ピンクのスカート〜お花の髪飾り〜♪って思わず歌い出しそうになってるけど。
スカート履いてる男なんて言うのも滅多に見ないのに、それ以上にピンクのスカートなんて!!!
あぁ、案外ゴスロリなのも…似合うかも……。
って落ち着け、あたし!!!
この二人(主にフェリクス君)に感化されてどうする!!!
フェリクス君は男の人。
一応、彼の国の人のためにも止めるべき何だ。
似合いそうだけど。
「ちょっとコレ試着するしー」
試着って〜〜。
フェリクス君はスカート持って試着室に行っちゃった。
あっけにとられてるあたし達を横に察そうと出てきた彼は何だか似合ってるし。
男の娘……行けそうだな、オイ。
と思ったあたしは間違ってないはずだ………、多分。
って言うか、あたしの隣で泣いてるトーリス君は……一応慰めた方が良いのかな?
その後、彼はそのピンクのスカートと他にシャツも買い求めになられまして………、浅草で菊ちゃんと合流し浅草観光をして二人は帰ったのでした。
なかなか楽しい二人だったなぁ。