白金の髪に神秘的なアメジスト色の瞳は兄だと判明した人譲りなのだろうか。
名前は冷たいと言うか寒い印象を浮かべる国だと言うのに火山の国だと言うアイスランド。
会話が成立するのか?
としばし彼と見つめ合う事数秒。
アイスランドことエイヴィン・アーザルステインソン君は我が家の前で佇んでいました
「おい、早くきてもてなしやがれ」
口の悪いパフィンはファミリアとか使い魔とかだったらエイヴィン君の本性は……なんて考えて
「えっと、どうぞ」
と、とりあえず、家主である菊ちゃんはいないけど、あがって貰う事になった。
「知ってる。ハルと会ってる。公式行事だとかハルが言ってた」
なんだ、エイヴィン君知ってたのか。
今日、菊ちゃんはノルウェーのハルバールさんと会談してる。
公式行事だとか言って寝ぼけ眼で出てった。
前の晩まで「嫁、サイコー」と叫んでたせいで寝不足なのだ。
菊ちゃんは。
「えっと……えっと……日本にはどうして?」
「別に?来ちゃ悪かったの?」
「いや、そんな事ないです。いやただ、観光か仕事かどっちかなぁ?って」
「皆、来るって言うから」
ん?
「皆?」
ハルさん以外?
「ティノとかベールとかディーとか皆」
北欧5勢揃いか!!!(方言の悪夢再来か(笑))
「それに先に来れば先に話せると思ったから」
え?
先に話せるって?
「ただ、と話したいと思っただけ。皆に邪魔されないようにするには先に来るしかないし」
心持ち顔を赤くするエイヴィン君はなんだか可愛い。
少年にきゅんとするお姉様方の気持ちが少し分かったり。
「そっかぁ。じゃあ、菊ちゃん達が帰ってくるまでゆっくりしようね」
「う……うん」
お茶の準備をしてオーブンにとある物を放りこむ。
1つあまるがそれは菊ちゃんの分でいいか。
「なしておめぇーがいらんだ?」
突然現れたハルさん。
そのハルさんはエイヴィン君を見て言う。
「は、ハルバールさん!!!あの、不法侵入!!!」
「菊が入ってかまねって言ったんだ」
は?
「ついそじぐりで一緒だったんしたばって、あんこが急さ観光したいって言い出して行ったんだじゃ」
菊ちゃーん、一言、言ってよ〜〜。
「くーん」
ぽち君があたしのケータイ持ってきた。
そこには菊ちゃんからのメールが。
もぉ、こういう時はメールじゃなくて電話して!!
「で、なしておめぇーがいらんだ?ヴィ」
「別に、いちゃ悪い?」
「別さ悪りどは言ってねだべ?」
「言ってるように聞こえる」
「おめぇーの、気のせいだろ?さきさ来らだば来らっていってぐれねど」
「なんで言わなきゃならないの?意味分かんない」
「決まってらだべ?おめぇーは、わの弟んだはんで」
「それこそ、意味分かんない。僕は認めない」
「もう、決まった事だべ」
「むー」
えっと…喧嘩始まってるんですけどどうしたらいいですかこれ。
さっきオーブンに放りこんだ物から良いにおいがしてくる。
「チョコレートの匂いじゃ。何ば作ったんだ?」
「なんで、ハルが先に聞いてるの」
もう、二人とも落ち着いて。
「ちょっと練習がてら作ってみた物なんだけど、二人に食べてもらえたらうれしいなと」
オーブンに放りこんだ3個を取り出す。
数、ちょうど良かったね。
お盆にオーブンから出したものを乗せついでに作ったコーヒーも入れ、それを居間の自分の所と二人の目の前に出す。
「フォンダンショコラだな?」
ハルさんの言葉に頷く。
カムカム、とろとろチョコレート。
成功しますように。
真ん中をざくっとフォークで割ると……………うっ。
中にあるはずのとろとろチョコレートはすでに周りの生地に吸収されてベイクドショコラケーキに変わっておりました。
「期待してたのに、これじゃ意味ないと思うけど?」
わーん、試しに作っただけだもん。
練習品だもん。
「すっかどベイグドショコラだの」
わかってるわーこの辛辣兄弟!!!
「でも味は悪くないんじゃない?」
「、わはこっちの方がスキじゃ。フォンダンショコラよりりベイグドショコラの方が旨いし」
ありがとう、二人とも気遣ってくれて。
でも、あたしが作りたかったのはフォンダンショコラ。
本番で作る数は今回より多いから、今回は数少なかったからもう少し焼く時間少なくても良かったのかもね。
たとえ気遣ってくれてたのかもしても、美味しそうに食べてくれてるって言う事は喜んでもらえてるのよね。
まぁ、それはそれで良いか。
喜んでくれてるんだもんね。
そうこうしている間に菊ちゃん達が帰ってきた。
ディーネスさん(デンマーク)やベールヴァルドさんやティノさんも一緒だ。
おお、北欧5だ!!
今まで立ち話が多かったけど、座って話すのは初めてになるんだわ。
「菊ちゃん、お帰り」
「はい、ただいま帰りました。エイヴィン君はいらっしゃってますか?」
「うん、来てるよ」
そう言った瞬間、菊ちゃんが顔を近づける。
え?
「おや、甘い香りが」
ドキッ。
菊ちゃんが顔を近づけてきたのはあたしから漂ってるチョコレートの匂いを確認するため。
もう、いろんな意味でドキってするわ。
3つしかないフォンダンショコラはもうすでにない。
一応、他のもあるからそれでごまかされてくれればいいんだけど。
「クッキー、作ったの。お茶菓子にどうかなって」
菊ちゃんを誘導して大皿に入れたフォンダンショコラの前に出来てるクッキーをだす。
「今度のお茶会で出すクッキーですか?」
ティノさんが言う。
「違います。ちょっと人にあげようかなって思って作ったクッキーの練習です」
どうしようかなってまだ悩んでるんだけどね。
「ギルベルトか?」
ベールさんがジッとあたしを見て言う。
「はい。でもなんで?」
あたしはベールさんの言葉に頷いてこたえた。
なんで分かったの?
「前に来たって聞いたんだ。それにマメにいにゃってるとも聞いたべ」
行ってる?
誰が言ってたの。
なんか嫌な予感。
「本人だべ」
ギルのアホ!
って別にギルは悪くないか。
「まぁ、その通りです。ホットケーキ作りに来てくれるのでそのお礼です」
ホットケーキ食べたいって電話で話すたびに言ってるのは何を隠そうこのあたしだ。
まぁホントに美味しいし。
また作りに来てくれるって言うし。
それは楽しみだし。
「ホットケーキけ?」
「わも作れらぞ」
「ハルのは別にいい。ギルベルトのそんなに美味しいの?」
「まぁ、粉からきちんと量って作ってらっしゃいますから」
「え?普通そうじゃないの?」
「日本にはホットケーキの素があるんですよ」
ホットケーキの素からじゃなくて作った物があんなに美味しいなんて。
「それを食べたのがギルベルト君のだったのではそれがいがい付けなくなってしまったのです」
「そんな事ないわよ。菊ちゃんのだっておいしいって」
受け付けないなんて事ないって。
菊ちゃんは大げさだなぁ。
「菊ちゃんのだって美味しいって」
「そうですか?」
うん。
あたしが一番好きなのは菊ちゃんのご飯だし。
「……………ホットケーキは一番じゃないんですね」
「え?いや。それはほら」
「じゃあ、別にギルベルト君の為になんかわざわざ作る必要もないですよね」
「いや。だから、結構来てくれるし、それのお礼とかしたいから、作るんだもん。ギルにはそれだけじゃなくっていろいろお世話になってるし」
「お世話させた記憶はありません!!!彼が勝手にやってることですよ。それを了承してるだけです」
けど、お世話になったのは事実だし!!
あぁ、もう、菊ちゃんが納得してくれない〜〜。
あたしがあげたくて作るだけなのに〜。
「そういやあ、またギルベルトは日本に来んのかい?」
「あ、はい。前来たときにまた来るって言ってたから。結構マメにくるんですよね」
とディーネスさんの言葉に答える。
「あれ?」
ティノさんが不思議そうな顔をする。
「どうしたんですか?」
「この前、ベルリンで会ったとき会議が立て込んでるから動けないって言ってたような気がするよ。フランシスさんが結構いろいろだだこねてルートヴィヒさんが苦労してるから手伝わないとなって」
マジでか!!
聞いてないよ。
「菊ちゃん、ティノさんが言った事マジ?」
そう聞けば菊ちゃんはしれっとした顔で
「えぇ、そう言えばそんな連絡がありましたね。次にこれるのはお茶会の時だと言ってましたね」
ガーン。
聞いてない、ギルのアホー!!
髭のバカー!!
なんてことしてくれるんだ〜〜〜!!!
折角楽しみにしてたのに。
来たら一緒に買い物行こうかと思ってたのに。
「買い物ぐらいなら私が付き合いますよ」
うーうー。
なんか、すっごいヘコんでる。
「、買い物行ぐだか?」
「へ?」
ハルさん?
「、わど一緒に買い物さ行ぐぞ」
えっと、気を遣われちゃったかな?
「、ハルとじゃなくて僕と行って」
え、エイヴィン君まで。
「だ、大丈夫だよ。特に欲しいものあった訳じゃないから大丈夫。気にしないで。ハルさんもエイヴィン君も」
うん。
大丈夫、うん。
別に欲しいものあった訳じゃないって言うのは本当だもん。
「なら、ギルベルト君と出かける必要なんてないじゃないですか〜〜〜〜」
あぁ、また戻った。
「」
「なんですか?ベールさん」
ベールさんがジッとあたしを見る。
「ベーさん、どうしたんですか?ちゃんの事ジッと見て」
「…………、おめさ、それでいいのけ?」
「え?」
何がだろう。
何がそれでいいのだろう。
「何がですか?」
「わがんねぇならそれでいい」
な、なんなんだ〜〜〜!!!
「、僕の事ヴィて呼んでも構わないから。ハルのことハルって呼ばなくてもいいんだから」
「、俺の事はあんこでいいっぺよ!」
いや、だからなんなんだ。
なんか、北欧に振り回された感がたっぷり。