「なんや、どないしたんや?」
太陽の様な笑顔を携えて、その人はテーブルの上で突っ伏しているあたしの所にやってきた。
呆れている菊ちゃんとローデリヒさんの事は気づかないふりをしよう。
皇帝達の集まり 〜夜の舞踏会〜 番外編2
(ワルツアンケート2位:アントーニョ・フェルナンデス・カリエド:スペイン)
あたしの座っているテーブルには菊ちゃん、ローデリヒさん、エリザ、ヴァルガス兄弟やルートさん。ギルはドコにいるか知らないけど、まぁそんないつものメンバーに囲まれている。
そこにやってきたアントーニョさんとベル。
再び踊ってきたらしい。
踊れる人はスゴいと思う。
あたしのは「踊れるようになった人」な訳で、お世辞にも上手とは言えないと思う。
それなのに、立て続けに5人と踊るってーあり得ない!!!
「と言うわけですよ」
「菊も無茶させよるなぁ」
もっと言って、アントーニョさん、もっと言って!!!!
ホント大変なんだから!!
「俺もロドに教わったときはエライ苦労をしたもんやしなぁ?」
「ほんま?簡単に踊っとるように見えたけど」
アントーニョさんの言葉にベルが不思議そうに言う。
「親分は実は出来る子なんやで」
「裏で、めちゃくちゃ練習してた」
「アホ、ロヴィ、そんなんいいなんなぁ。まぁすぐに覚えるの難しいねんでぇ。せやからちゃんが苦労しとるのようわかるんや」
アントーニョさん!!
うぉ〜〜〜あたしの苦労を分かってくれる人がいた!!!
ルートさんも結構分かってくれるんだけど、ギルのバカが!!
思い出したらムカついてきた!!
ギルってば、覚えられないのが不思議でしょうがないのよ?
何度嫌み言われたか!!
仕方ないじゃない、運動苦手なんだから!!
………あんまりエリザや、ローデさんには愚痴らなかったけど(言ったら大惨事になるのは目に見えてるし)
あの二人もギルと同じにすぐに覚えれたってー!!
ぐすん。
「せや、ちゃん、親分と踊ろうか」
へ?
「ヒーちゃんもロドも簡単に踊る二人やし。練習しとった時、ヒーちゃんに何言われたか簡単に想像がついてまうし、そん時の愚痴、親分が聞いたったる!!」
おやぶーん!!!!
ありがとう、おやぶん!!!
でも、良いの?
アントーニョさんはベルと踊るんじゃないの?
「あ、そんなん気にせんといて、うちはエリザがローデリヒさんとだけ踊るみたいにアントニとだけと違うから。な、ロヴィ。せやからうちと踊ろうか?」
「は?いきなりっ」
「いきなりと違うで?何、ロヴィはうちと踊ってくれへんの?」
「だ、だれも何もっっ」
ロヴィーノがベルに押されてる……
押されてるロヴィーノ始めてみた。
そっか……引くより押す方がロヴィには勝てるんだ。
勝てる?
いや、多分負ける、押し負ける。
結局最後に押される(T_T)。
「はいはーい!!兄ちゃんが踊らないんだったら俺が踊るよ!!」
「誰も、踊らねーなんて言ってねーだろが、このバカ弟!!行くぞ、ベル」
「最初っからそう言ってればええんよ」
「うるせー」
ロヴィ、可愛いよロヴィ、さすが子分。
「兄ちゃん、ベル姉ちゃんには逆らえないんだよねぇー」
「うるせー」
フェリシアーノの声が聞こえてたのかロヴィーノは悪態をついてくる。
「ほんなら親分達も行こか?」
アントーニョさんの声に頷いてフロアにでた」
「親分のリード、上手いやろ?」
「そ、そうですね」
まぁ、踊りづらくはない。
あ、ロヴィーノと踊った感覚に似てるかも?
「親分なぁ、ロヴィに練習付きおうてもろたんや。やっぱベルに頼むんは恥ずかしいヤロ?いくら初めて踊るいうても親分らしいとこ見せとこ思うてな?ロドに聞くんは嫌やしフランシスコとヒーちゃんの二人に聞いたんやけど、あの二人簡単に覚えよったし……。フランシスコはそう言うの好きやし、ヒーちゃん器用やろ?せやからしゃーない、ロヴィに手伝ってもろたんや」
「大変だったんですねぇ」
「一気にはやりよったからなぁ、覚えなしゃーないねん」
「はやらせたの誰だったんですか?」
ワルツがはやったのっていつだったっけ?
「自慢げにロドがエリザと踊ってフランシスコが飛びついたんや」
あぁ、その様子が目に浮かぶ。
いつはやったか分かった。
あの有名な「会議は踊る、されど進まず」の時か(ナポレオン戦後のヨーロッパの治安維持安定の為に開かれたウィーン会議。メッテルニヒさんが議長)
「せやけど、ちゃん、ちゃんと踊れとるなぁ」
「そうですか?ありがとうございます」
皆言ってくれるけど、ホントかな?
「ほんまやって、自信もってええんやで!!親分が保証したる」
と親分は太陽みたいな満面の笑顔で言ってくれた。