甘ったるい1日。
精魂込める一日。
期待して待つ1日。
早く来ないかなぁと期待しつつ。
ふざけるな!!!!と叫びたい今日この頃を気付いてないのか!!!
「撩」
名前を呼ぶ。
「ん〜」
当の相手は気が乗らない風で、いつものごとく愛書片手ににやにやにやにや。
一発ハンマー降り下ろしたい気分だけど。
別に、良いわ。
復讐は単純。
期待して待ってる相手に、楽しみなんてくれてやんない。
「撩」
もう一回呼ぶ。
「あんだよ」
「口開けて」
「?」
不思議そうに顔を向けて口開けたそこにいっこ放り込む。
「……甘っ」
「はっぴーばれんたいん」
あくまでも無表情に言ってやる。
「……な、なんだよこれっ」
期待してたのに、ものすごく裏切られたって顔。
「だから、バレンタインのチョコレートよ」
「チョコレートの味しない」
「でしょうね」
「きなこの味するじゃねぇか!!!」
「でしょうね」
撩の口の中に入れたのはきなこもち味のチ○ルチョコ。
目に付いたから買ってみた。
ちなみにあげる予定だったチョコレートはあたしがおいしくいただきました。
「……ちゃんとしたのは?」
「知らない。朝帰りしたのなんか知らない。何軒回ってんだ撩のバカ!!!」
ハンマー降り下ろす。
「知ってんじゃん………」
「ミックから聞いたんだバカ!!!ミックの事さんざん引っ張り回して。一晩中待ってたあたしとかずえさんの身にもなってみろバカ!!!」
なんか、怒りが収まんない。
「……ごめんなさい」
ハンマーの下で愁傷に謝ってくる。
「ホントに悪いと思ってる?」
「思ってる」
「何に悪いと思ってる?」
「…………………飲んでて…帰ってこなかった事」
ちゃんと、分かってるのね。
「さすがにな…」
「ったく」
小箱をポケットから取り出す。
小箱の中身はチョコレートが2粒。
「撩、口開けて」
「あ」
開けた口にもう一個放り込む。
「おいしい?」
「甘い」
「これも食べようかなって思ってたんだけどね」
そう言って箱の中のもう一個はあたしが食べる。
今回は目に付いたもの適当に買った。
結構たくさん。
食べたいなと思うものからおいしいかななんて思うものまで。
手作りとどっちがお金掛かるんだろうなんて考えながら。
手作りだって結構バカにならないんだよね。
これおいしそうなんていってかずえさんと買い物したら結構な量になって、帰ってこなかった昨日は結局チョコレートパーティーになった。
ブランデー片手に、チョコレート。
結構、楽しかったからいいんだけど。
帰ってこないのとはまた別問題。
「ホントに反省してる?」
「してます」
「じゃあ、当分の間夜遊び禁止って言っても?」
「…………構ってくれるなら」
…か、構ってくれるならってどういう意味だ!!
って言うかそんな風に言わないでよ。
構ってあげてるでしょう?
っていうか、あたしが構われてるって言うか、好きにされてるって言うか!!!
「………かおり〜?」
「バカ」
悪態ついたら意地の悪い顔された。
「じゃあ、今からでもオーケー?」
何がだ何が!!!
「撩!!!」
気付いてたら抱き上げられてた。
「オッケーって事で」
バカーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!
「伝言板見に行くの却下な?チョコレートのお礼と、昨日寂しい思いさせたおわびって事で」
そんなのいらないってばぁ!!!
あたし、そういう意味で言ってんじゃないってっっ。
「撩っ!!!」
「何?」
「………」
う、なんか何も言えない。
せっかくバレンタインだからって……うーうー。
うーうー。
「香ちゃんも待ってたみたいだし〜」
嬉しそうに言うなぁ!!!
「相変わらず恥ずかしがり屋な事で」
恥ずかしいのは当然だってばぁっ。
「大胆になってもいいと思うけどぉ?」
そ、そんな事出来るかぁ!!!
「はいはい。お前は恥ずかしがりでいいんだよ」
なんて、そんな笑顔で言わないでよぉ。
一日遅れのバレンタインも撩のペースで運ぶってどういう事???
のまれない様に気をつけてたのにっ。
結局、自由になったのは次の日だって言うのはここだけの話だ。
伝言板見に行ってないんだけどっ。
仕事あったらどうするんだ!!!
そろそろピンチなんだからねっっ。
っていってチョコレートで散財したのは何処の誰だ?と突っ込まれましたが。