話の最後は、それでおしまい。
のはずがないから、その後を思わず、知りたくなる。
でも、その後も幸せなのかな?
「で、地球の女王様と騎士は幸せになった後どうしたの?」
何気ない子供の言葉。
『地球の女王様と騎士』と言う創作おとぎ話を聞かせた後の事だ。
「ねぇ、どうなったの?」
「うーん」
思わず、うなってしまった。
*****
「ねぇ、地球の女王様と騎士はその後どうなったの?アラブの王様はヨーロッパの女王と結婚したじゃない?無表情のピエロは、サーカス団の一員として今もやってる。龍の戦士は今もどこかを走り回ってる。ところで、死神さんはどうなったんだっけ?」
隣で、のんびり缶ビール片手に話を聞いていた、お下げ髪の少年は苦笑いを向ける。
「こら、まだ、未成年じゃないの?」
「んな、堅いこと言うなよ」
「もー」
その少年の手から缶ビールを奪い取り、一口飲む。
「あぁっオレの!!!」
「いいじゃない」
「はぁ」
「で、死神さんはどうなったの?」
軽く、抗議した彼に、笑ってかわし話を戻す。
「死神は、まぁ、一応、廃業かな?」
「一応なんだ」
「って言うか、何でこんな話になってるわけ?」
「今日聞かれたの。最初に言ったでしょ?話をしたの。おとぎ話。女王様と騎士になる前の話しから、いろいろあって、地球の女王様と騎士は幸せになりましたっ、て、言うおとぎ話」
「なんで、そんな話したんだよ」
「だって、せがまれたんだもん。しょうがないでしょ?」
そう言う私に彼は微笑む。
「でもさぁ、それ、ちょっと間違ってねぇか?」
「何が?」
「地球の女王と、騎士はまだ幸せになってるとは言えねぇぜ?」
そう言って、彼はテレビをつける。
『みなさま、平和を願うには、みなさまの力が必要なのです。ともに平和であることを願っていただきませんか?』
そう、演説している彼女が見える。
「大統領選挙真っ最中だもんね」
「まぁ、まず、間違いねぇとは思うけどな」
と彼は言う。
『ご静聴ありがとうございました』
優雅に微笑み、彼女は壇上を降りて行く。
カメラは彼女が壇上を降りていく様をつぶさに写す。
ふと彼女視線が移動する。
そこには彼女を支援する人々がいた。
「あ、さすが、きちんといんじゃん」
「ホントだねぇ。でも、良く見つけたね?」
「まぁな。まぁ、あそこが一番、守りやすい位置だろうしなぁ」
「そうなの?」
「遠距離狙撃を見つけるのはあそこが一番見つけやすい。防衛するよりも、予防したほうがいいだろう?」
「確かに事が起こってからじゃ、遅いもんね。会場が騒然となるし、話題づくりって思われてもおかしくないもんね」
「だろ?」
彼の言葉にうなずく。
「だから、今度聞かれたら、こう答えたらいいんじゃねぇの?」
「今、大統領選挙中だって?」
「違うって、まだ、地球のために女王様は戦ってるって。騎士はそれのお手伝い」
正しいわ。
今度聞かれたときはそう答えよう。
でも、今度は女王と騎士に聞いてみよう。
女王と騎士はその後どうなった?
って。
逆に聞かれるかもしれないけれど。
『死神と死神にとらわれたお嬢さんはどうなった』
って。
そしたら、なんて応えよう。
*あとがき*
最後の最後で書きたかったガンダムW。
でも、何故、デュオヒル語りのヒイリリ。
ホントは、ヒイリリラブを書きたかったんだけどさ。
総括に使用かと思ったんだけど、なんだか、地球の女王と騎士と言う文が浮かんだら、Wになってました
完成:2004/7/23