開けてはいけないもの。
でも、最後に残るモノは希望だったりする。
聞かなければ良かった。
顔を見なければ良かった。
「あなたとは戦いたくはありませんでしたよ…」
そんな言葉聞いたらどうして良いか分からなくなる。
あなたを手にかけるには。
聞いてはいけない言葉だった。
爆発光がそこら彼処で起きている。
あの機体の回りにあるのは。
あの機体を守るように取り囲んでいる。
「どうするつもり?」
通信を介して、リューネが問い掛ける。
あたしの不振な動きに気付いたのかも知れない。
「どうするつもりって…」
リューネには関係ない…なんて言えなかった。
どうしたいのか、あたしにさえもわかってないんだから。
「セニアっっ」
「何よっ、マサキ。戦闘中よ。他にかまけている暇なんて無いでしょう。あなたは、何のために、ココにいるの?ネオ・グランゾンを破壊しなくちゃ、イージス計画は成功しないのよ」
「んな事分かってる。俺の事じゃない。セニア、何しようとしてんだよっっ」
「何って」
マサキに言われて、気がつく。
本当は後衛にいるはずの自分が前衛の方まで出てきてる。
「…この期に何する気なんだよッ?今更、説得か?こんな事で聞くような奴じゃないのは、分かってるだろう?シュウの野郎がなにやらかしたか、一番理解してるの、セニア、お前だろうが」
そう言ってマサキはハイファミリアを飛ばす。
そう、分かってる。
ラングランを滅亡に追いやり、お父様を殺した。
わかってるのに、あたしは、彼の言葉の真意を知りたかった。
「今の私は、違うのかも知れません」
何もかもわかって彼は、こうしてる。
だったら…。
「リューネ、セニアを頼むっ」
マサキの声が聞こえる。
通信は全部聞こえるようにしてあるんだから当然…。
「リューネ?」
リューネのヴァルシオーネRがあたしのノルス・レイを捕まえる。
「…どうしようって言うの?」
「……リューネ…あたし、クリストフの事止められたのかも知れない。彼のこともう少しわかってあげられたのかも知れないの」
そんなこと、今更言っても無駄だってわかってる。
「セニア…あんた…」
リューネのつぶやきが聞こえる。
メカギルギルガンの爆発音に紛れて、最後の攻撃をマサキがしようとしている。
「さぁ、私を止めてみなさい。マサキ」
「あぁ、止めてやるさ。コレで終わりだっ。アァァカシックバスタァァァァァ!!」
炎に包まれたサイバスターがネオ・グランゾンに向かっていく。
「……見事…です」
「シュウ…お前…。なんで、…最後に」
「…単純なことです。生きるものあれば、滅びるものがあります。今回、それが、生きる者があなただとすれば、滅びる者は私だった…ただ、それだけのことです」
静かに、クリストフの言葉が流れていく。
「どうして?」
「さぁ…どうして…でしょうね。セニア。最後に、あなたの声が聞こえて良かったですよ…」
え……。
「クリストフ…どうして…そんなこと…」
「さぁ…どうして…でしょうね」
ネオ・グランゾンが爆発する。
あれだけのエネルギーを誇ったネオ・グランゾン。
最後はあっけないものだった。
イージス計画に不可欠なマイクロ装置に損害を全く与えず、消滅していった。
やっぱり、あなたは、全部わかってたの?
どうして、それを最後の最後でわたしに気付かせたの。
どうして?
わたしに『それ』を告げるの?
聞かなければ良かった。
何のためらいもなく、あなたを殺せたのに。
知らなければ良かった。
そうすれば、こんなに、思うこともなかったのに。
*あとがき*
α外伝でのラストの話。
でも、未クリア。当然、見てない。
どっかのサイト様で、セニア様がシュウに戦闘しかけたとき「あなたとは戦いたくありませんでしたよ」と言うことをしり、いろいろ書き足し、ねつ造。
セニア様はシュウのこと好きなのかわかってません。
シュウは思いっきり、セニア様が好き。
他の魔操機神関連は甘くするぞぉっ!!
完成:2003/12/7