あり得ないこと。手にすることが出来ないこと。見ることが出来ないこと。
無いものねだり。
月が泣くなんてあり得ない。
月の涙を見る事なんて出来るわけない。
月の雫を手に入れる事なんて出来るわけがない。
それでも……。
眠る君が隣。
部屋に差し込む月明かり。
何もいらないと君は言うけれど。
全てを君に与えたいと思うのは僕のわがままだろうか。
「ここにいて?あなたが、あなたであればそれで良いから」
「僕はいるよ?ここに。僕が僕であれば…ってどういう意味?」
「……考えて?」
猫みたいに首を傾げながらささやく君に、僕はどうしようもなく弱い。
朝が来て、夜がまた来る。
当たり前の繰り返しのはずなのに、どうしてこう、夜だけ愛おしいのだろうか。
君が側にいるから?
君の側にいれるから?
夜も、昼も、朝も、いつでも、どんなときでも。
それこそ、死ぬ瞬間でさえも。
君の側にいたいと願うのは、僕のわがままだろうか。
部屋に差し込む月明かりがいつも通りに僕らを照らす。
月だけはいつもと変わらない光を僕達に与えていた。
*あとがき*
最初の予定では、月の女王と地球の変な人の話。
まぁ、ターンAガンダムだったんですが。
でも、今ひとつうまい具合に行かなくって、とりあえず、保留。
真っ白な紙(方眼はいってるから)を目の前に、ペン片手に15秒。
イントロが出てきましたとさ。
結果的には2の秘め事のアンサー的な感じです。
秘め事が彼女からの視点、今回のCry for the moonが彼からの視点。
なんか、完結したんで、いい感じ。
完成2004/7/21