お天気雨、にわか雨、梅雨、雷雨、大雨
雨はいろいろあるんです。
珍しく、アヤと歩く。
二人で散歩。
真夜中の外出許可が降りるなんて珍しいからだ。
今日は、一応、地球での最後の夜だから、だろうか。
明日からまた、宇宙にあがる。
誰も歩いていない、真夜中の道路。
街灯だけが辺りをてらしていた。
川沿いの道。
川風が、少し寒いぐらいに吹いてくる。
川の流れる音が静かに聞こえてくる。
隣のアヤはただ、川風を気持ちよさそうに受けている。
「アヤ?」
不意に気付く。
隣にいたはずのアヤの姿がないことを。
振り向いてみると、手のひらを上に向けて、立ち止まり、上を向いていた。
「…何してんだよ…アヤ?」
「リュウ、雨が降ってきた」
アヤの言葉に、俺もアヤと同じようにしてみる。
『ポツリ』
音を立てるかのように、手のひらに雨粒が一つ落ちてきた。
「うわ、ホントだ。この分じゃ、雨、降ってくるのか?」
「そうでも、ないみたい…」
その言葉に、じっと同じ格好をしていると…雨は降ってこなかった。
「アヤって…スゴいな」
「…いきなり、何よ」
「いや…アヤって、何でも分かってるような気がする」
俺何かよりも、念動力はあるし。
やっぱり、大尉だし。
「そんなことないわよ。…分かる事なんて…ないもの…」
「…アヤ…」
「リュウの方が、分かってるんじゃないの?」
…アヤ?
「…でも、分かってないかもね」
そう言っていたずらっ子のようにアヤは微笑む。
「リュウは、分かってないわね」
「ど、どういう意味だよっ」
「リュウセイ…また、今日みたいに散歩しましょうね」
…え?
アヤ…?
それって。
「ほら、やっぱり分かってないじゃない。私からのデートの誘いだって事」
「……いや、だって、アヤがそう言うとは思わないからさぁ」
「もぉっっ。分かってたけどね、あなたがそう言う子だって事」
…ってそう言う子って言うなよっ。
結局、年下扱いか。
もうちょっと、俺、アヤに頼ってもらいたいなぁと思ってるんだけどなぁ。
「リュウ、ぼさっとしてない。明日も早いんだから」
「分かってるって」
「……わかってないわよ」
「マジで分かってます」
「ホントに?」
アヤが、俺の顔をのぞき込むように俺の前に立つ。
「ホントに分かってるの?」
「分かってるって」
「じゃあ、また誘って」
「……」
その言葉に俺は素直に頷く。
嬉しそうにアヤは微笑む。
「ま、そんなところでいいでしょう。帰りましょう、リュウ」
「あぁ」
風が吹く。
少し、湿り気を含んでる様な気がする。、雨雲を追いやっていく。
明日は晴れるのだろうか。
アヤと二人の散歩道。
そんなことを思う。
*あとがき*
アヤちゃんとリュウセイ君の話。
リュウセイ、超大人しいんだけどッ。
携帯をロッカーに忘れた夜に思い浮かんだ物です。
雨がホントに、2、3粒降ってきて、雨降るかぁ?と思ったら、結局その時は降ってこなかったって言う…。
最初はベタな展開で行こうと思いました。
陰鬱な雨がテーマでイングラム=プリスケンの事を思い出して苦しむアヤちゃんを支えるリュウセイ。
と言う、ベタベタな展開で行こうと思ったんですが、なんかなぁなんて思ってしまったんです。
で、いい感じに、雨が降ってきて、「リュウ、雨が降ってきた」って言うアヤちゃんのセリフが
浮かんだんですね。
念動力はリュウセイの方があるっぽいです。
でも、リュウセイはアヤの方があると思っています。
第2次αで、カーク=ハミルさんとヴィレッタさんの会話で「まだ、彼等は我々の計画には必要なのだから」と言っているんですが…。
やはり、SRX2って言うのが存在したりするのでしょうか
追記:SRXと言うよりもSuper Robot X number dimention計画でした。
2003/9/10完成