鬼とは人の形をした怪物。
角と牙があるというのは日本の鬼。
海外(主にヨーロッパ)で鬼を指すとコボルト(犬の顔をした奴)など、日本の鬼とは少し違った様子を見せる。
海外の方が絶対に弱い。
そして、人の心にも鬼は住んでいたりする。
「どこまで行くの?」
「どこへでも着いていきますって言ったのはどこの誰?」
『凛』と言う言葉がホントによく似合う彼女はキッと俺をにらみつける。
「あ、あ、あぁ…俺?……ですね」
「自覚してるの?」
「…一応」
「一応?サイテー、信じられない」
「一応じゃなくってちゃんときちんとしっかり反省しています」
「どうだか」
俺の言葉を信じてないのか彼女は軽く俺の言葉をながす。
「ひでー信じてくれないの?」
「言ったでしょ、信じられないって」
そう言って彼女は俺をにらみつけた後、よそに顔を向ける。
その反動で、髪がさらりと彼女の頬にかかる。
艶やかな黒髪…、きっとこう言うのを『濡れ羽色』とか言うんだろうなぁ。
と思わず、そんなことを考えて、頬がゆるむ。
こんな所、見られたらますます『最低』扱いされそうだけど。
「何笑ってるのよ、青島くん。そんな風にヘラヘラしてるからコーヒーをこぼすんでしょ」
「それと、コレとは関係ないと思うんですけど」
「誰?あたしのお気に入りのしかも買ったばかりのスーツにコーヒーこぼしたの」
「…ごめん…って。それに、それは今日の買い物でチャラでしょ?」
「別に、それでチャラにすると言った覚えはありません」
…え"?
「そうねぇ、今日の夕飯、豪華ディナーをおごってくれるって言うんだったら、良いけれど」
「…スーツ買って…豪華ディナーも?」
俺がそう言うと意地の悪い微笑みを見せる。
「それでチャラになるんだもん、安いもんでしょ」
「す、すみれさんの鬼!!!!」
「何とでも〜〜。さて、今日のディナーどこにしよう。すっごいおいしくて高いところにしてあげるわ、青島くん。」
デパートの休憩所のいすに座って、すみれさんはバックから今日買ったばかりのグルメ雑誌を取りだし、選び始めた。
元はと言えば、俺が誤って、すみれさんの新品のスーツにコーヒーをこぼしたことが原因。
染み抜きしても結局落ちなくって、結局買い直す羽目になった。
…俺が弁償。
それで許してくれるものだと思ってたんだけど。
…はぁ、すみれさん相手にそれだけで済むと思っていた俺がバカだったんだよな。
そして、給料日までが遠いことに気づき、ため息をついた。
*あとがき*
青すみデート。
実は、初期案とは全く変わってしまった話。
当初の予定では、仕事中のすみれさんの邪魔をした休日の青島。その代償に捜査を手伝わされる話だったのがどこで、どう間違ったのか、青すみ買い物デートになってました。
でもいい感じ。
完成:2004/7/12