誰にだって秘密にしたいことはございます。
その事が怒られることだったり、驚かれることだったり。
それでも、秘密にしたいのです。
部屋の明かりを消して、都会の明かりを眺めている。
遠くに、この都会のシンボルのタワーが見える。
時々思う。
どうして、私はここにいるんだろう。
そんなことを時々思う。
「どうしたの?明かりつけないで」
彼は部屋の暗さとそれから私の様子に驚く。
「何となく、つけたくなかったから」
そう言った私に彼は軽く微笑む。
「おいで」
ベッドの端に座った彼は私を呼ぶ。
軽く、息を吐いて、彼の隣に座る。
「どうして、そこに座るの」
「駄目???」
「こっち、おいで」
手を広げて、私を待つ。
もう一度、息を軽く吐いて、彼のいうとおりにする。
膝の上にまたがるような形で座ると、彼は私を抱きしめる。
「何かあった?」
聞く彼に、私は何もいわない。
「黙ってちゃ分からないよ」
「時々ね、思うの。どうして、私はここにいるんだろうって。私があなたといることはきっと誰かにとがめられることだから」
「…それで」
「それでって…」
促された先の言葉に詰まる。
「どうしたい?」
どうしたい?
質問に考える。
どうしたいんだろう、私は。
彼といることは誰かに反対されること。
だから、…。
「側から離れる?僕は嫌だけど」
「……考えてもないよ」
「だったら、問題ないよ。僕は君の側にいる。君は僕の側にいる。それだけでしょ?」
頬にふれる手を感じて目を閉じる。
「側にいても平気?迷惑じゃない?」
「迷惑って考えたことないけど」
その言葉に泣きそうになる。
「側にいるよ」
優しくささやかれる言葉と、抱きしめられている優しい腕に、また泣きそうになる。
私が彼といることは誰も知らない。
知られたら、きっと私は責められる。
それでも、側にいたい。
部屋から見える、タワーの明かりしか目に入らなくても。
*あとがき*
あとがき
名前なしオリジナル小説。
都会はまちと読んでください。
イメージとしてはキッド×青子。
快斗=キッドっていうことを青子しか知らないから。
それでも好きだからごめんね。
って感じなんだけど。
キッドじゃないっていわれたらそれまでで。
いってみれば、禁断の恋愛に近い差の恋愛かな?
身分差だったり、年の差だったり。
年の差…な感じでもオーケーかもしれません。
むしろ、それが本命…っっ?(^_^;)。
2004/7/11:完成